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47.ダンジョン捜索6 新たなる脅威

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 現在、ダンジョンの唯一の灯りは、響のロングコートから照らされる、認識カラーの灯りだけだ。

 突如とつじょ姿を現したキングワ-ムが、跳ね飛ばした岩々を、普通の人間であれば避ける事出来ずに、岩の下敷きになるか、頭に岩の欠片かけらが当たって『お陀仏だぶつ』となる所である。

 「あぶないね~!」
 クロエは、異変に気付き悪魔から距離を取った。

 跳ね飛ばされた岩々は、クロエと悪魔が戦っていた辺りにも、大小様々な大きさの、岩の欠片かけらが降り注ぎ、悪魔は大岩の下敷きになってしまった。

 「暗くてよく見えん、ア-リン、これを矢に付けて天井に打ち込め!」
 ジュリアンはア-リンに、響から受け取った発煙筒を手渡す。

 「はい! 響さん、発煙筒がまだあったら下さい!」

 「分かった!」
 響は、ポ-チから発煙筒を八個取出し、ア-リンに手渡す。

 ア-リンは、ふところのポケットからひもを取出して、矢に発煙筒をぶら下げるように付けて行く。
 矢にくくり付けてしまうと、発火させた時に火花が後ろに飛んで、矢を放つ事が出来ないからだ。

 その横では、ジュリアンが持った火炎瓶に、モカがマッチで火を点けると、ジュリアンは、暗闇に向けて火炎瓶を投げつける。
 火炎瓶を投げつけた、その先に浮かび上がる大きな影を見た響達は、息を呑む。
 先程取り逃がしたキングワ-ムが軽四自動車とすると、このキングワ-ムは、差ながらコンボイトラックと言った所であった。

 ア-リンは、発煙筒を発火させ、次々と天井に向けて矢を放って行く。

 「大きい~! リ-ダ-さっきと同じ攻撃パタ-ンでいい?」
 モカは、手が震えるのを感じながら、ブロードソードを両手に持って、攻撃の合図を待つ。

 「いいぞ、ア-リン頼む!」

 ア-リンは、水属性が付与された矢を、キングワ-ムに向けて放ち始める。

 響はとりあえず、ジュリアン達三人にダ-クオ-ラを掛ける。
 そして、ソ-ドブレ-ドとカッツバルゲルを手に取り、キングワ-ムに向けて走って行く。

 ア-リンが放った矢があたった場所に、ジュリアンとモカがウォータースラッシュで攻撃しているが、キングワ-ムの体が大きい分表皮が分厚く、ジュリアン達の攻撃はあまり功を奏していなかった。

 響は、ウォータースラッシュで攻撃しながらキングワ-ムに近づき、ソ-ドブレ-ドで切り付ける。
 だが、キングワ-ムの表皮を傷付けただけで、致命傷を与える事は出来なかった。

 クロエが、キングワ-ムの横からア-リンの矢があたった場所に、ダ-クブローを食らわすが、効果が薄い。

 「響、こいつ固すぎだ! 他に手は無いのかい!」
 クロエもここでは、『ダ-クショット』『メテオブレイク』が、使えないぶん決め手をいていた。

 「そんな事言われても……ガキィ-ン! 直ぐには……スラッシュ! 思い付く訳が……あっ! クロエ、オ-ブってどうやって使うんだ!」
 響は、琴祢が武器と一緒に転送して来た、オ-ブの事を思い出す。

 「オ-ブに魔素を送り込んで、光ったら投げる! 何が起きるか分からないからね……何のオ-ブだい? 破滅のオ-ブじゃぁないだろうね~」

 「多分、水属性……? だと思う……」
 響は、ポ-チからソフトボール位の白いオ-ブを取出し、クロエが言った様に、オ-ブに魔素を送り込む。

 クロエとジュリアン達は、響がオ-ブに魔素を送り込む時間稼ぎをするために、今まで通りの攻撃を繰り返す。

 「モカ! 奴にあまり近づくな!」

 「でも、リ-ダ-魔素が少なくなって、攻撃が届かないよ~」
 先程の小さいキングワ-ムとの戦いから、連続で魔素を使っている。
 三人の中で一番レベルの低いモカにとっては、きつい戦いになり始めていた。

 「こっちも、矢が残り少ないわ!」
 ア-リンは、矢を同じ場所に当てるように、一本一本狙いを定めて射掛ける。

 「よし! みんな! そいつから離れろ~」
 響が持った白かったオ-ブは、何らかの特殊効果を発揮するかのように、青く輝き始めた。

 響は、ジュリアン達が後退するのを確認して、オ-ブを剛腕投手の如く、大きく振りかぶりキングワ-ムに向けて投げ付ける。
 投げ付けたオ-ブが、キングワ-ムに当たり転がると、オ-ブの周りから水があふれ出してくる。
 あっと言う間にキングワ-ムの周りは水浸みずびたしになり、キングワ-ムの乾燥しきった岩のような表皮は、その体に水分を取り込んで、ブクブクと大きくなって行く。

 「攻撃するよ!」
 クロエは宙を舞い、キングワ-ムに向けて突進して行く。

 それを追い、響も駆け出し、クロエよりも先にキングワ-ムに、ウォータースラッシュの一撃を入れる。ウォータースラッシュの一撃を受けたキングワ-ムは、体液を飛び散らして跳ね上がる。そこへクロエが頭上から、ナックルダスターをハメた手に、オーラを纏わせてダ-クブローの一発を入れる。

 「行けるぞ! 何だ?…………わぁ~溶けてる!」
 クロエの一発が入った時、キングワ-ムの口から、体液とは違う黄色い液体が吐き出された。
 響は、その液体をソ-ドブレ-ドで振り払ったが、液体の一部がソ-ドブレ-ドの、ハンドガードに付着したかと思うと、ハンドガードの半分が見る見るうちに溶けて行き、ブレードはエネルギーを失い消えてしまった。

 「えぇぇ~! ……………………怒られる~」
 誰に怒られるのかは知らないが、響は焦っていた。

 「とっとと戦いな!」
 クロエが、怒るのも最もだと言わんばかりに、ジュリアン達は頭を縦に振っていた。
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