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18.女騎士アリシア
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ランベル王国は、モ-グズ大陸の南にあり、東にガズール帝国、西にリプトン皇国、北にトブリオ大森林、南は海に面した豊かな国である。
ランベル王国の王都サリュースは、隣国の中でも芸術や食文化の発展が目覚ましく、保養地としても人気が有り、隣国からの人や物流の拠点にもなっている。
三台の荷馬車が棺を積んで、王都サリュースに向かう。
響は、アルン村から高速で走り、王都近くの村で荷馬車を借りて、村人が見ていない所で座標を設定した。
そして、九つの棺と女騎士を『レオン』から移し、村人に荷馬車へ乗せてもらった後、王都まで運んでもらっている。
村人への手当は、騎士達の所持金から支払っている。魔族と人間は仲が悪いようなので、クロエには念のため、食料をいっぱい渡して、リングへ戻ってもらっている。
ごねたけど……
「旦那、ここらで昼飯にしようと思うんですが、いいですか?」
「かまいませんよ。急ぎませんから。後、王都まではどれくらいですか?」
「日暮れまでには、着きますよ」
街道脇に荷馬車を止めた、村人達は火を熾す準備を始める。
響は、腰に付けたポ-チから、ロールした厚手のマットを取出し、草むらに広げる。
このウエストポーチは、前に手に入れたジョルダーバッグを、ティスが改良し渡してくれた物だ。
前よりも小さくなり、ストックルームにもリンクしている。
響は、荷馬車に向かい女騎士を抱き抱えて、草むらに広げたマットに寝かせる。
女騎士の鎧は脱がせているので、ブランケットを取出し掛けてやる。
「しまった。火打石を、今朝の野営地に忘れて来ちまった」
「何やってんだお前は! 飯が作れねえじゃねえか!」
村人達が集まり、言い争う。
響は、村人が集めた薪に近づき、ウエストポーチから『MREレ-ション』を取出し、アクセサリーセット内のマッチで、火を点けてやる。
「何じゃそれは!」
「わしにも見せてくれ」
「これは、どうやって使う物なんですか?」
村人達は、初めて見るマッチを変わるがわる点けて、その都度騒いでいる。響にしてみれば火打石の方が珍しい。
響は、湯が沸く間レ-ションのレトルトパックを、人数分鍋に入れて温めさせてもらう。
「もうそろそろ、起こしてもいいよな」
響は、女騎士に近づき、リストコントロールを操作して、女騎士の眠りを覚まさせる。
女騎士は、ゆっくりと目を開き青空をみつめる。とその時、自分庇う小隊長の兜頭が、女騎士の目の前に転がり、小隊長と目があった。
「いやぁ~! 助けて……助けて……」
女騎士は、響に抱き付き体を震わせながら涙を浮かべて、助けを懇願する。
「もう、大丈夫ですよ。あなたは助かったんですよ」
響は、女騎士を抱きしめ、銀髪ショ-トの頭を撫でながら、優しく声お掛けて気持ちを落ち着かせようとする。
鎧を着ている姿は勇ましかったけど、この放漫な胸に気品のある顔立ち、何処かのお嬢さまって感じだな。
徐々に落ち着いて来たのか、体の震えも治まったようなので、響はポーチから『ミルクセ-キ』のペットボトルを取出し、キャップを開けて女騎士に手渡し、飲むように勧める。
「これは……まろやかな飲み物ですね。貴方は!」
飲んだ事も無い飲み物で、正気を取り戻したのか、女騎士は響の顔を見て、記憶が蘇る。
「旦那、湯が沸いたよ」
「話は、食事の後にしましょう」
響は、村人が興味深そうに見つめる、鍋に歩いて向かう。
鍋はグツグツと、沸騰を知らせる音を上げている。響は、熱々のレトルトパックを取出し、パックの口開け、スプーンさして村人それぞれに、『ハムスライス』、『照焼きビーフ』、『鳥の胸肉のグリル焼き』を渡してやる。
村人達は、思いがけない料理に大騒ぎをしながら、回し食いを始める。
響は、『ビーフシチュー』のパックを持ち、女騎士に近づきパックを手渡す。
「食べますか?」
「はい、ありがとうございます」
女騎士は、差し出されたパックを素直に受け取り、一度匂いを嗅いで、スプーンにのったビーフを口に運ぶ。
永い間、食事を取っていなかった事もあり、『ビーフシチュー』に、がっつき始める。響は、女騎士の隣に座り、クラッカーにピーナッツバターを、挟んで渡してやる。女騎士は頷き、響からクラッカーを受け取り、食べ始める。
「俺は響、君の名前は、なんて言うんですか?」
響は、今だ騒がしい村人達の方を向き、クラッカーをかじりながら、女騎士に尋ねる。
「アリシア……アリシア・シ-ドル、十七歳です」
「えっ、同い年なのか~ 落ち着いてるから、年上かと思ったよ~」
いきなり馴れ馴れしい、響であった。
その後、村人達に粉末ジュースとパウンドケーキを渡し、大喜びされた。
響は、コ-ヒ-とココアをカップに入れて、アリシアにココアを渡し、これまでの経緯を、少し脚色して話し始めた。
「自分は探険者で、秘宝を探しながら旅をしていたら、アリシア達に捕まって、アリシア達がナイトベアーに襲われている間に、縄を切って逃げようとしてたら、アリシアがナイトベアーに殺されそうだったので、落ちていた槍を投げたら、たまたまナイトベアーに当たって、ナイトベアーが倒れたので止めを刺して、騎士達の遺体を清めて棺に入れて、アリシアと一緒に王都に送り届ける所。ああそうだ、鎧と武器は送り届けるための、費用代わりに使いました」
本当は、琴祢が鎧と武器を勝手に『原子分解保存装置』に、入れちゃったんだよなぁ~
響の話を聞き終わると、アリシアはこれまでの事を話し出す。
アリシアは、ランベル王国公爵家の騎士で、北部で野人に村が襲われ、領民が虐殺されたと報告を受けて調査に来た所、ナイトベアーに襲われたそうだ。
昼食が済んだところで、ゴミはポーチに戻して、王都に向けて荷馬車は動き出す。
響が、ゴミをポーチに戻したのは、ティスに『この世界に存在しない物は、なるべく回収してください』と、言われたからだ。
ランベル王国の王都サリュースは、隣国の中でも芸術や食文化の発展が目覚ましく、保養地としても人気が有り、隣国からの人や物流の拠点にもなっている。
三台の荷馬車が棺を積んで、王都サリュースに向かう。
響は、アルン村から高速で走り、王都近くの村で荷馬車を借りて、村人が見ていない所で座標を設定した。
そして、九つの棺と女騎士を『レオン』から移し、村人に荷馬車へ乗せてもらった後、王都まで運んでもらっている。
村人への手当は、騎士達の所持金から支払っている。魔族と人間は仲が悪いようなので、クロエには念のため、食料をいっぱい渡して、リングへ戻ってもらっている。
ごねたけど……
「旦那、ここらで昼飯にしようと思うんですが、いいですか?」
「かまいませんよ。急ぎませんから。後、王都まではどれくらいですか?」
「日暮れまでには、着きますよ」
街道脇に荷馬車を止めた、村人達は火を熾す準備を始める。
響は、腰に付けたポ-チから、ロールした厚手のマットを取出し、草むらに広げる。
このウエストポーチは、前に手に入れたジョルダーバッグを、ティスが改良し渡してくれた物だ。
前よりも小さくなり、ストックルームにもリンクしている。
響は、荷馬車に向かい女騎士を抱き抱えて、草むらに広げたマットに寝かせる。
女騎士の鎧は脱がせているので、ブランケットを取出し掛けてやる。
「しまった。火打石を、今朝の野営地に忘れて来ちまった」
「何やってんだお前は! 飯が作れねえじゃねえか!」
村人達が集まり、言い争う。
響は、村人が集めた薪に近づき、ウエストポーチから『MREレ-ション』を取出し、アクセサリーセット内のマッチで、火を点けてやる。
「何じゃそれは!」
「わしにも見せてくれ」
「これは、どうやって使う物なんですか?」
村人達は、初めて見るマッチを変わるがわる点けて、その都度騒いでいる。響にしてみれば火打石の方が珍しい。
響は、湯が沸く間レ-ションのレトルトパックを、人数分鍋に入れて温めさせてもらう。
「もうそろそろ、起こしてもいいよな」
響は、女騎士に近づき、リストコントロールを操作して、女騎士の眠りを覚まさせる。
女騎士は、ゆっくりと目を開き青空をみつめる。とその時、自分庇う小隊長の兜頭が、女騎士の目の前に転がり、小隊長と目があった。
「いやぁ~! 助けて……助けて……」
女騎士は、響に抱き付き体を震わせながら涙を浮かべて、助けを懇願する。
「もう、大丈夫ですよ。あなたは助かったんですよ」
響は、女騎士を抱きしめ、銀髪ショ-トの頭を撫でながら、優しく声お掛けて気持ちを落ち着かせようとする。
鎧を着ている姿は勇ましかったけど、この放漫な胸に気品のある顔立ち、何処かのお嬢さまって感じだな。
徐々に落ち着いて来たのか、体の震えも治まったようなので、響はポーチから『ミルクセ-キ』のペットボトルを取出し、キャップを開けて女騎士に手渡し、飲むように勧める。
「これは……まろやかな飲み物ですね。貴方は!」
飲んだ事も無い飲み物で、正気を取り戻したのか、女騎士は響の顔を見て、記憶が蘇る。
「旦那、湯が沸いたよ」
「話は、食事の後にしましょう」
響は、村人が興味深そうに見つめる、鍋に歩いて向かう。
鍋はグツグツと、沸騰を知らせる音を上げている。響は、熱々のレトルトパックを取出し、パックの口開け、スプーンさして村人それぞれに、『ハムスライス』、『照焼きビーフ』、『鳥の胸肉のグリル焼き』を渡してやる。
村人達は、思いがけない料理に大騒ぎをしながら、回し食いを始める。
響は、『ビーフシチュー』のパックを持ち、女騎士に近づきパックを手渡す。
「食べますか?」
「はい、ありがとうございます」
女騎士は、差し出されたパックを素直に受け取り、一度匂いを嗅いで、スプーンにのったビーフを口に運ぶ。
永い間、食事を取っていなかった事もあり、『ビーフシチュー』に、がっつき始める。響は、女騎士の隣に座り、クラッカーにピーナッツバターを、挟んで渡してやる。女騎士は頷き、響からクラッカーを受け取り、食べ始める。
「俺は響、君の名前は、なんて言うんですか?」
響は、今だ騒がしい村人達の方を向き、クラッカーをかじりながら、女騎士に尋ねる。
「アリシア……アリシア・シ-ドル、十七歳です」
「えっ、同い年なのか~ 落ち着いてるから、年上かと思ったよ~」
いきなり馴れ馴れしい、響であった。
その後、村人達に粉末ジュースとパウンドケーキを渡し、大喜びされた。
響は、コ-ヒ-とココアをカップに入れて、アリシアにココアを渡し、これまでの経緯を、少し脚色して話し始めた。
「自分は探険者で、秘宝を探しながら旅をしていたら、アリシア達に捕まって、アリシア達がナイトベアーに襲われている間に、縄を切って逃げようとしてたら、アリシアがナイトベアーに殺されそうだったので、落ちていた槍を投げたら、たまたまナイトベアーに当たって、ナイトベアーが倒れたので止めを刺して、騎士達の遺体を清めて棺に入れて、アリシアと一緒に王都に送り届ける所。ああそうだ、鎧と武器は送り届けるための、費用代わりに使いました」
本当は、琴祢が鎧と武器を勝手に『原子分解保存装置』に、入れちゃったんだよなぁ~
響の話を聞き終わると、アリシアはこれまでの事を話し出す。
アリシアは、ランベル王国公爵家の騎士で、北部で野人に村が襲われ、領民が虐殺されたと報告を受けて調査に来た所、ナイトベアーに襲われたそうだ。
昼食が済んだところで、ゴミはポーチに戻して、王都に向けて荷馬車は動き出す。
響が、ゴミをポーチに戻したのは、ティスに『この世界に存在しない物は、なるべく回収してください』と、言われたからだ。
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