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第15章 激闘、セイクリア王国
第523話 vsモーゼス、決着?
しおりを挟む春風が放った「超・全力の一撃」こと「アンブレイカブル・パニッシャー」を受けて、モーゼスはビッグ・モーゼス諸共、空中から地面に落ち、ドォンという大きな音と共に激突した。
その後、春風達は恐る恐るビッグ・モーゼスに近づいたが、ビッグ・モーゼスはピクリとも動かなかった。
その様子を見て、
「お、終わったの……かな?」
と、リアナが春風に尋ねると、
「わからない。警戒はした方がいいと思う」
と、春風はビッグ・モーゼスに視線を向けたまま、首を左右に振るってそう答えた。
すると、春風の一撃を受けて形が大きく歪んだビッグ・モーゼスの頭部が割れて、
「ウオオオオオオオッ!」
と、中からモーゼスが勢いよく出てきた。
『っ!』
その姿を見て、すぐにバッと身構える春風達。
そんな彼らを前に、モーゼスは口を開く。
「ま、まだだ。まだ、終わっては……いないぞ!」
受けたダメージが大きかったのか、体中ボロボロな状態のモーゼスが苦しそうにそう言うと、痛そうに背中の翼を大きく広げて、
「まだ、私は生きてるぞぉおおおおおっ!」
と、春風達に向かって飛び出した。
「なっ!」
「キャア!」
「クラリッサ様!」
そのあまりの恐ろしさに驚いた水音、クラリッサ、翔輝の3人は、すぐに防御体勢に入った。因みに、その時翔輝はクラリッサを自身の後ろに隠した。
「ヌオオオオオオッ!」
と、モーゼスがそう叫ぶと、右手に魔力を纏わせて、それで攻撃しようとした。
そして、その攻撃がリアナに届こうとした、まさにその時……。
「させるかぁ!」
ーーガキィン!
春風は左腕のガントレットに魔力を纏わせて、その攻撃を防いだ。
「ハルゥ!」
「ハ、ハル様!」
驚くリアナとイブリーヌを無視して、春風は空いた右手をグッと握りしめると、
「ぶっ飛べこんちくしょうがぁ!」
と、その拳で思いっきりモーゼスを殴り飛ばした。
「うぐあああああああっ!」
殴り飛ばされたモーゼスは、その勢いで地面に何度も全身をバウンドさせると、ビッグ・モーゼスの残骸にぶつかった。
その際、モーゼスの背中の翼から、何枚もの白い羽根が取れて、宙に舞った。
ピクリともしないモーゼスを見て、
(こ、今度こそ終わった?)
と、誰もがそう思っていると、
「……ウグ」
と、モーゼスが意識を取り戻して、
「ま……まだだ……まだ、私……は……」
と、どうにかして動こうとしていた。
そんな様子のモーゼスを見て、
「ま、まだ来るっていうのか!?」
と、水音が戦闘大勢に入ろうとすると、
「ちょっと待った!」
と、突然ループスが「待った」をかけてきた。
「ど、どうしたのお父さん?」
と、リアナがループスに向かって尋ねると、
「おい、お前も何か感じたんじゃないか?」
と、ループスは水音と合体しているイチに向かってそう尋ねた。
その質問に対して、水音が「え?」と頭上に「?」を浮かべると、
「う、うん。何となくだけど、あの人から変な感じがしたよ」
と、イチはモーゼスを見ながらそう答えたので、ループスは「そうか」と言うと、モーゼスの側に駆け寄り、
「ちょっと失礼」
と、フンフンとモーゼスに鼻を近づけた。
「ちょ、お、お父さん!?」
驚いたリアナは、すぐにループスのもとへと駆け出し、それについて行くように、春風達も駆け出した。
リアナはフンフンとモーゼスを嗅ぐループスに、
「ど、どうしたのお父さん? そんな奴の臭いを嗅ぐなんて……」
と、尋ねると、
「……やっぱりな」
と、臭いを嗅ぎえたループスは、鼻をモーゼスから遠ざけると、
「オイ、起きろよ」
と、ループスはモーゼスの頭をガブッと噛んだ。
次の瞬間、
「グアッ! な、何をするんだ!?」
と、モーゼスは驚いて上半身を起こし、ループスを睨んだ。
そんなモーゼスを無視して、ループスは尋ねる。
「お前さんさぁ……もう『神』への信仰心、無いだろ?」
その質問を聞いて、リアナだけでなく春風達も、
『……え?』
と、首を傾げると、モーゼスは一瞬ギョッとなったが、すぐに真面目な表情になって、
「……やはり、わかってしまいましたか」
と、何処か観念したかのような表情でそう答えた。
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