ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第14章 更なる「力」を求めて

第398話 リアナ編14 「試練」、終盤

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 リアナとアデレード。

 「試練」の最中に起きた、2人のまさかの「愛の告白」に、周囲の人達はというと、

 「ど、どうしようイオ姉、ウチらすんごいの聞いちゃったんだけど……」

 「大丈夫だよシオちゃん、私もどうすればいいかわかんないから」

 双子姉妹、彩織と詩織は2人して顔を真っ赤にし、

 「へへ、スゲェぜリアナ嬢ちゃん。おじさん、なんだか心にグッと来たぜぇ」

 ギャレットは何らや恥ずかしそうにそっぽを向いていた。

 そして、

 「うぅ。リアナ、成長したのねぇ。ねぇ、シルビアさん……」

 と、感動の涙を流すヘリアテスが、チラリとシルビアを見ると、

 「……て、シルビアさん! そして、エルネストさん! お2人とも、なんか消えそうになってるんですけどぉっ!?」

 と、ヘリアテスが驚いているように、幽霊のシルビアとその夫エルネストは、今にも消えてしまいそうな感じに全身がなっていた。

 「どうしよう、あなた。私達の娘が、すんごいことになってるんだけど……」

 「そうだね。僕、もうどうすればいいのかわかんないよ」

 と、遠くを見つめながらそんなことを言う2人をヘリアテス達は必死になって慰めた。

 さて、そんなヘリアテス達をよそに、リアナ達はというと、

 「あー、人間の私。今の気分はどう?」

 「うん、すっごく最高……って、あなた達も『私』なんだから、わかるでしょ?」

 「「うん、わかる」」

 と、そんな会話をしていた。その時のリアナは、何処かスッキリしたかのような表情になっていた。

 その後、リアナは2人のリアナ達を見て深呼吸すると、その手に持つ燃え盛る薔薇を見て、

 「この『試練』に必要なのは、じゃない」

 と、小さな声で呟くと、その場に燃え盛る薔薇を突き立てた。

 「「!」」

 それを見て、2人のリアナ達が警戒体勢に入ると、

 (ハル、ちょっとだけハルの『真似』をさせてもらうね)

 リアナは自分の胸に手を置いて両目を閉じると、

 「全スキル、オフ」

 と、再び小さな声で呟いた。

 次の瞬間、リアナの雰囲気がガラリと変わった。

 それを見た2人のリアナ達は更に警戒体勢に入り、ヘリアテス達はたらりと冷や汗を流してシーンと静まり返った。

 多くの人達に見守られる中、リアナは精神を集中する。

 (……感じる。私の中には、確かに『力』がある)

 と、リアナは心の中でそう呟くと、

 「私の中に眠る『獣人の力』と『妖精の力』よ……」

 ゆっくりと目を開けて、

 「今こそ、1つに!」

 と、小さく叫んだ。

 次の瞬間、リアナの全身から、ブワッと白いオーラが勢いよく溢れ出した。

 それを見てヘリアテス達は「うわ!」と驚いたが、それとは対照的に2人のリアナ達は警戒体勢に入ったままで、特に驚いている様子はなく、寧ろ、

 「ああ、漸くか」

 「うん、漸くね」

 と、落ち着いた口調でそう言っていた。

 そんな2人を前に、リアナはスッと右腕を上げた。

 するとそれに反応したかのように、全身から出ていた白いオーラの一部が形を変えた。

 それはまるで、鋭い爪を持つ大きな「手」だった。

 そして、

 「いっけぇえええええええっ!」

 と、リアナが叫ぶと、2人のリアナ達向かって、思いっきり右腕を振り下ろした。

 それに続くかのように、白い大きな『手』も振り下ろされた。

 すると、バァンという大きな音と共に白いエネルギー波が発生し、それが2人のリアナに襲いかかった。

 それを見たヘリアテス達は、
 
 『よ、避けるのか!?』

 と、ゴクリと固唾を飲んだが、肝心の本人達はというと、

 「「……(コクリ)」」

 と、落ち着いた表情でお互い顔を見合わせて頷き合うと、2人とも警戒体勢をとき、スッと両腕を広げて、

 「「それでいいんだよ」」

 と、小さな声で言うと、2人はまるで受け入れたかのようにそのエネルギー波に飲み込まれた。

 その後、ドォーンという大きな音が、その場一帯に響き渡った。

 そして、音がおさまったのがわかって、ヘリアテス達がその音の発生源を見ると、2人のリアナ達が立っていた場所は地面が大きく抉れていて、そこにいた筈の、2人のリアナ達の姿はなかった。

 「お、終わったのか?」

 と、ギャレットが呟くと、

 「う……ぐ、あああああああっ!」

 と、リアナの悲鳴が聞こえたので、全員すぐにリアナの方へと振り向くと、そこには白いオーラを発生させた状態で苦しそうにするリアナの姿があった。

 「り、リアナ! どうしたの!?」

 と、アデレードが声をかけると、

 「まずいぞ、リアナ嬢ちゃんスキルもなしにあれ程の『力』を振るった所為で、苦しんでやがる!」

 と、ギャレットが戦慄した表情でそう言った。

 「え、何それどういうこと!?」

 と、詩織がギャレットに尋ねると、

 「元々スキルってのは、人間が持つ『力』を制御し、スムーズに引き出す為の道具なんだ。俺はリアナ嬢ちゃんと戦ってわかったんだが、嬢ちゃんの中にはスゲェでけぇ『力』があって、それがスキルで制御されていたんだ。だが、嬢ちゃんはそれを捨ててあの『力』を引き出した。あのままだと、嬢ちゃんは溢れ出た『力』に潰されちまう!」

 と、ギャレットは戦慄した表情のまま答えた。

 その瞬間、

 『リアナァ!』

 と、ヘリアテス、シルビア、エルネスト、そしてアデレードが、リアナに向かって駆け出した。

 「あ、おい! 危ねぇぞ!」

 と、ギャレットやジェロームらが止めようとしたが、リアナから溢れ出た「力」に阻まれて、その場を動けずにいた。

 「うぅ、お、抑えきれない……!」

 と、リアナが辛そうにしていると、

 「リアナ!」

 「え?」

 ヘリアテス、シルビア、エルネスト、アデレードが、リアナに抱きついた。

 「お、お母さん! 母さんに父さん! アーデまで! は、早く逃げてぇ!」

 と、驚いたリアナがヘリアテス達にそう叫ぶと、

 「いや、絶対に離さない!」

 「そうよ! 幽霊になって17年、やっとあなたに会えたんだもの!」

 「そうだ! 僕達はもう、絶対にリアナから離れないからな!」

 と、ヘリアテス、シルビア、エルネストが拒否した。

 そして、

 「リアナ……」

 と、アデレードが優しくそう話しかけると、

 「大丈夫だから、私達を信じて」

 と言って、優しくリアナの唇にキスをした。

 その時……。

 ーーほら、もう大丈夫だよ。

 ーーうん、大丈夫。

 と、不意にそんな声が聞こえて、リアナは安心したのか、ゆっくりと目を閉じた。

 すると、勢いよく溢れ出ていた白いオーラが、まるで落ち着いてきたかのようにリアナ達を優しく包み込み、やがて白いドームのようになった。

 「と、止まりやがった」

 「り、リアナ達、大丈夫なの?」

 と、ギャレット達がドームに近づこうとした、まさにその時、

 「な、何だって!?」

 と、それまで共にリアナ達を見守っていたコールが驚きの声をあげた。

 「ど、どうしたんじゃコール!?」

 と、ジェロームがコールに尋ねると、

 「い、今、見張り役のボーンビースト達が、『敵襲』だって……」

 「な、何じゃと!?」

 コールの答えにジェロームが驚いていると……。

 ドォーン!

 と、頭上で大きな音がした。
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