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第14章 更なる「力」を求めて
第394話 リアナ編10 リアナvs2人のリアナ
しおりを挟むリアナの「試練」が行われているフォルトーラ村。
今、空から飛んできた1つの「影」が、両目を細めて、ニヤリと口元を醜く歪めながら、その村に向かっていた。
しかし、そんなことを知らないリアナはというと、
「くらえ、ビーストブロー!」
ズガン!
「イヤァアアアアアッ!」
「火と風の精霊よ、熱き嵐を起こせ! 『ブレイズ・テンペスト』!」
ゴォオウ!
「ヒエエエエエエエッ!」
「えい、尻尾ビンタ」
ペシン。
「アウ」
「オリャア! ビースト踵落とし!」
ドゴン!
「ヒィイイイイイッ!」
「土の精霊よ、怒りの拳を突き上げろ! 『ロックアッパー』!」
ズゴォン!
「ヒョエエエエエッ!」
「えい、尻尾ビンタ」
ペシン。
「ハウ」
と、このように、獣人リアナと妖精リアナを相手に苦戦を強いられていた。
そんなリアナを見て、ヘリアテス達はというと、
「リアナーっ! 頑張ってぇー!」
「そこで踏ん張ってぇっ!」
「行け行けぇ!」
と、頑張って戦っているリアナを応援していた。ただ、
(何で獣人のリアナ嬢ちゃんは、時々尻尾でビンタするんだ?)
と、ギャレットは頭上に「?」を浮かべながら、心の中でそう呟いていた。
そして、そんな彼らをよそに、今も戦っているリアナはというと、
「うぅ、キツい。この2人の攻撃、すんごいキツいよぅ。特に尻尾のビンタが精神にダメージ受けてるよぉ」
と、2人のリアナによる強烈な攻撃に、挫けそうになっていた。特に獣人リアナが繰り出す「尻尾ビンタ」が、リアナの精神にダメージを与えていた。
しかし、そんな状態のリアナに向かって、
「ホラホラァ! もうお終いなの人間の私ぃ!?」
「そんなんじゃ、私達に勝つことは出来ないよ?」
と、獣人リアナと妖精リアナが、ニヤリと笑って挑発してきた。
そんな彼女達を、リアナはキッと睨むと、
「こうなったら、[獣人化]!」
と、自身の専用スキルを発動したが、
「……あれ?」
何故か、スキルが発動しなかった。
おかしいと感じたリアナは、
「それなら、[妖精化]!」
と、今度は別の専用スキルを発動したが、
「何でぇ!? 何で変身出来ないのぉ!?」
と、こちらも発動しなかった。
そんなリアナに向かって、獣人リアナと妖精リアナが声高々に言う。
「フフフ、無駄だよ人間の私ぃ!」
「そう、私達がこうしてあなたの目の前にいる限り……」
「「あなたは変身出来ない(のだぁ)!」」
「そ、そんなぁ!」
2人のリアナの言葉を聞いて、リアナはショックで膝から崩れ落ちそうになったが、「そうはいくか!」とどうにか踏ん張った。そして、リアナを、ヘリアテス達は心配そうに見ていた。
リアナは彼女達を再びキッと睨むと、
「もう、何なのあんた達!? なんかジェロームさん、私の『本能』がどうとか言ってたけど、それでどうして2人も出て来ちゃうのさ!? 意味わかんないんだけど!?」
と、最早ヤケクソといった感じで喚き散らした。
すると、2人のリアナは急に真面目な表情になって、
「「まだわからないの? 人間の私」」
と、静かにそう言ってきたので、リアナは「ふえ?」とポカンとした表情になった。
「わ、『わからないの?』って、何言ってるの?」
と、リアナが尋ねると、
「確かに私達は、あなたの『本能』が具現化した存在だけど……」
「その『本能』の他にもう1つ、『あるもの』も混ざってるの」
と、獣人リアナと妖精リアナは、真面目な表情を崩さずにそう答えた。
「な、何? その、『あるもの』って……」
恐る恐るそう尋ねたリアナに、ヘリアテス達もゴクリと固唾を飲む中、2人のリアナは静かに答える。
「「人間達に対する、『黒い感情』」」
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