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第13章 新たな「旅立ち」に向けて
第359話 みんなへの「報告」
しおりを挟む結局、それから春風、リアナ、アデレードの3人は、小夜子にこっ酷く叱られた。特に春風は、
「単独行動は禁止と言っただろうが!」
と、リアナとアデレード以上に叱られて、
「ご、ごめんなさい」
と、冗談抜きでシュンと小さくなっていた。
しかし、小夜子はそんな春風に構わず、
「お前、まだ何か私達に言ってないことがあるんじゃないか? いい機会だから、お前が私達のもとを飛び出したあの日から今日までのこと、全部纏めて報告しろぉ!」
と、報告を求めてきたので、春風は「うぅ……」と若干気まずそうしながらも、集まってきた人達の前でセイクリア王国を飛び出してから、シャーサルでハンターとして活動し、ウォーレンら断罪官達との戦いや、レギオン「七色の綺羅星」の結成。更に歩夢達との再会から、「邪神の眷属」ことループスの分身との戦い、その後はギルバートに強引にウォーリス帝国に招待され、そこで水音と凛依冴との再会から闘技場での決闘と、女神マールの乱入から水音の固有職保持者への覚醒、アレス教会の誕生にアデレードとの出会いと決闘と再戦の約束に、地球との通信手段の獲得、「英雄転生召喚」を用いた死んだ両親達との再会に、五神教会との一悶着(暗殺されそうになったことも含む)と、その間に起こった煌良達との再会からの対決、断罪官達との2度目の戦いから、アッシュ達の襲撃と、彼らに囚われた星乃香の救出。そして、この地での小夜子達との再会からループスとの決闘とガストとの戦いなど、途中休憩を挟みながら、今日まで体験した全ての出来事を話した。
「……とまぁ、こんな感じです」
と、春風が全てを話し終えると、
『お、お……』
「お?」
『おぉ前は一体なんなんだぁあああああああっ!?』
と、小夜子とクラスメイト達は一斉にそう叫びながら、ガクリと膝から崩れ落ちた。
それを見て、
「え、何何何!?」
と、春風は戸惑ったが、よく見ると小夜子達だけじゃなく、集まってきた人達ーーウィルフレッドやセイクリア王国とウォーリス帝国の兵士と騎士達に、シャーサルから来たハンター達、更にはクローディアらグレイシア王国の面々も似たような状態だった。特にクローディアは、
「……わ、私の娘を、潰しただと?」
と、白目をむいていた。
「え、ちょ、これどうなってんの!?」
と、春風が驚いていると、水音が近づいてきて、
「いや、これ全部君の所為だから」
と、春風の肩に手を置いた。
「え、俺の所為なの!?」
「当たり前だよ、そこまで凄いことやらかしてたら、誰でも衝撃を受けるよ。特に先生やクラスのみんななんか、普段学校で見てる春風とのギャップがありすぎて、かなりのショックを受けてるんじゃないかな」
「あー、確かに俺、目立つの嫌いだから、学校じゃ大人しくしてるけどぉ」
と、2人でそんな話をしていると、
「春風殿」
と声をかけられたので、春風が「ん?」と声がした方へと振り向くと、そこには今にも倒れそうな様子のウィルフレッドがいた。
「ど、どうしたんですかウィルフレッド陛下?」
と、春風が恐る恐る尋ねると、ウィルフレッドはヨロヨロと春風に近づいて、
「我が国の騎士達が、大変申し訳ないことをした!」
と、勢いよく深々と頭を下げて謝罪した。
春風はそれを見て、
「え、ちょっと待ってください! ルイーズさんやアッシュさん達のことでしたら、俺が原因なんですから!」
と、ウィルフレッドに頭を上げるよう促したが、
「そうはいかない! 騎士達の責任は国王である私の責任だ! 本当に、申し訳ない!」
と、ウィルフレッドは頑なに頭を上げようとしなかった。
するとそこへ、
「あーすまないが、ちょっといいか?」
と、正気になったクローディアが「ハイ」と手を上げた。
「な、何でしょうかクローディア女王陛下?」
と、春風が尋ねると、
「その悪さをした騎士達なんだが、もう『刑罰』は決まったのか?」
と、クローディアはそう尋ね返した。その質問を聞いて、周囲の人達は皆「え?」と頭上に「?」を浮かべた。
すると、春風は真面目な表情になって、
「……それでしたら、一応ギルバート陛下に『アイデア』を出しました。後はその『アイデア』について、ウィルフレッド陛下とも話し合う予定です」
と、その問いに答えると、
「そうか。もし差し支えなかれば、私にも教えてほしいんだが、いいだろうか?」
と、再び尋ねてきたので、春風はチラリとギルバートを見た。
ギルバートはそんな春風を見て、
「(コクリ)」
と無言で頷くと、春風は「ありがとうございます」と言って、
「わかりました、お話しします」
と、クローディアに向かってそう言った。
「ふむ。で、そいつらどうする気なのだ?」
クローディアに質問されて、春風は答える。
「1年間の、『冷凍封印刑』にします」
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