ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第12章 集結、3人の「悪魔」

第323話 春風への「罰」

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 幸村春風17歳、異世界で「有罪判決」を受ける。

 罪状、「セイクリア王国の王族(国王、王妃、王女2人)をときめかせた罪」。

 その「罰」は、「第2王女イブリーヌと結婚せよ」。

 この一連の流れに、春風は理解することが出来ずに、暫くの間フリーズしていると、

 「ハッ! ちょっと待ってくださいウィルフレッド陛下! 何なんですかその『罰』!?」

 と、我に返ってすぐに大慌てでウィルフレッドに質問した。

 すると、ウィルフレッドは真剣な表情で口を開く。

 「昨夜イブリーヌから『全て』を聞いたぞ。其方、イブリーヌに唇をささげられただけでなく、『愛の告白』までされたそうだな?」

 「……あ」

 ウィルフレッドの問いに、春風がそう声を漏らした瞬間、周囲から、

 『何ぃいいいいいいいっ!?』

 『きゃあああああああっ!』

 「ほほう……」

 「あらぁ……」

 という悲鳴やら何やらが聞こえてきた。その中に混じって、

 「どういうことだ幸村ぁ!? 説明しろぉおおおおおっ!」

 と叫ぶ小夜子の声が聞こえたが、春風はそれどころではないようで、

 「ちょ、ちょっとま、待って……」

 と、ウィルフレッドに向かって何か言おうとしたが、

 「その後、其方は帝城の大浴場で、イブリーヌとそうだな?」

 というウィルフレッドのとんでもない爆弾発言(?)に、春風は「ふがぁっ!?」とわけのわからない悲鳴をあげると、

 『な、何ぃいいいいいいいっ!?』

 『きゃああああああああっ!』

 「ほほう!」

 「あらあらぁ!」

 と、周囲からも悲鳴やらなにやらがあがっていた。当然、その中に、

 「ど、どういうことだ幸村ぁ!? 説明しろぉおっ!」

 という小夜子の叫び声もあったが、春風はというと、ダラダラと滝のように冷や汗を流し、口をパクパクとさせていた。

 そんな春風に向かって、ウィルフレッドは真剣な表情で再び口を開く。

 「というわけで、これほどまでイブリーヌに愛されているのならば、其方には責任をもってイブリーヌと結婚してもらう……」

 と、最後まで言おうとした、まさにその時、

 「ちょっと待てやぁ!」

 と、それまで黙っていたギルバートが「待った」をかけてきた。

 「む、どうしたギル?」

 「だから、『どうしたギル?』じゃねーよ! さっきも言ったが、春風は帝国うちのもんだって言ってるだろ!」

 顔を真っ赤にしてそう怒鳴り散らすギルバートを見て、ウィルフレッドは「うーむ」と考え込むと、春風の方を見て、

 「春風殿」

 「へぁ!? は、はい!?」

 「ギルはこう言ってはいるが、其方帝国向こうではどのような立場なのだ?」

 と、尋ねてきたので、春風は「あ……」と声を漏らすと、途端に申し訳なさそうな表情になって、

 「その、俺的には帝国では今『お世話になっている』っていう状態でして、お恥ずかしい話ですが、俺はまだ帝国にはという状況でして……」

 と、答えたその時、ギルバートを含めた帝国勢が皆、

 『……え?』

 と、一斉に「お前、何言ってんの?」と言わんばかりの表情になった。

 そんな表情になっている彼らを見て、春風は「あれ?」と首を傾げると、

 「……お前さぁ、自分が今帝城内でなんて呼ばれてるか知ってるか?」

 と、ギルバートが尋ねてきたので、春風は「え? なんて?」と、再び首を傾げると、ギルバートはビシッと春風を指差して、

 「『帝国宮廷料理人』兼『帝国宮廷魔術教官』兼『宮廷訓練教官』兼『宮廷魔導具開発技術者』……だそうだ」

 と、ハッキリとそう言った。

 それを聞いた春風は一瞬フリーズすると、

 「ハァア!? 何それ!? そんなの聞いてないんですけど!?」

 と、悲鳴のような叫びをあげたので、ギルバートは「ハァ」と溜め息を吐いて説明を始めた。

 「いや、お前。帝国うちに来てから料理だけじゃなく、兵士、騎士、魔術師達に訓練つけてるだかじゃなく、魔術師共と魔術に関する熱ぅい議論をして、更に訓練がない時はオズと一緒になって新しい魔導具開発してるそうじゃねぇか」

 (うぐ! そ、そういえば……)

 ギルバートのその言葉に思い当たるところがあるのか、春風はその時のことを思い出していた。

 確かに、ギルバートが言っていたように、春風は料理や訓練だけじゃなく、時折帝国に仕える魔術師達と「魔術」に関する議論を繰り広げ、第3皇子のオズワルドと一緒に魔導具開発を行っていた。

 「そのおかげで、魔術師達は『新しい魔術の可能性を見出せた!』って嬉しそうになって、オズや他の魔導具開発技術者からは『春風のおかげでいいものが作れそうだ』って喜んでいたぞ。お前、十分すぎるくらい返してるじゃねぇか。寧ろ、こっちがお礼を言いたいわ」

 と話すギルバートに、春風は「ええ?」と信じられないと言わんばかりの表情になった。

 すると、それを聞いてウィルフレッドが、

 「おお! ならばギル、があるぞ!」

 と、ギルバートに声をかけた。

 「ああ? 良い案?」

 「そうだ。そこまで彼に世話になっているなら、お礼として彼に帝国内での『身分』を与えるのはどうだ?」

 「身分?」

 「そうだ。それも、イブリーヌと釣り合うくらいの立派なものだ。それを持った状態で、春風殿とイブリーヌが結婚すれば、セイクリアとウォーリス、2つの国の絆がより強固なものになると思わんか?」

 ウィルフレッドの説明を聞いて、ギルバートは真剣な表情になると、

 「……良いのか? そんなことしたら、五神教会の連中が黙っていないと思うぞ?」

 と尋ねた。

 すると、

 「知らん。教会の連中なんかより、国民と妻と2人の娘の幸せの方が大事だ。というより、ギルも知ってるだろ?」

 「……何をだ?」

 「私は元々、だってことをだ」

 そのとんでもない発言を聞いた時、誰もが口をあんぐりと開けると、

 「……ハハ! そういやそうだったなお前!」

 と、ギルバートが笑いながら言うと、ガシッとウィルフレッドの手を掴んで、

 「しょうがねぇな! その案、乗ってやるよ!」

 と、高々に叫んだ。

 その際、

 「ちょっと待てぇえええええええ!」

 と、春風が悲鳴をあげていたが。
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