ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第8章 友との決闘

第166話 まさかの……

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 「あ、あの、ちょっとよろしいでしょうか」

 春風の衝撃の過去を聞いた後、暫くの間固まっていたリアナとイブリーヌだったが、先にイブリーヌが我に返って口を開いた。

 「何ですかイブリーヌ様?」

 「お、お二人が幼なじみだというのはわかりましたが。その、春風様は、歩夢様の事……す、好きなのですか?」

 イブリーヌのその質問に、リアナは「え、ちょっと!?」と言わんばかりの、驚いた表情になった。

 春風と歩夢はお互いに顔を見合わせると、

 「「はい。好きです」」

 と、どちらも顔を赤くして答えた。

 その答えに、リアナは顔を下に向けて、イブリーヌは「……そうですか」と若干悲しそうな表情になると、

 「あの、えっと、ではお二人はその、『キス』とかもしたのですか?」

 と、なんとも言いづらそうにそう尋ねた。

 春風と歩夢は「うっ!」と小さく叫んで再び顔を見合わせると、先程以上に顔を赤くして、何も答えなかった。そんな2人の表情を見て、イブリーヌは「……そうですか」と小さく呟くと、先程以上に悲しい表情になった。

 するとその時、リアナがガタンと音を立てて椅子から立ち上がり、無言で春風に近づいた。

 (ああ、これは思いっきりぶっ飛ばされるな)

 と、そう考えた春風だったが、次の瞬間、

 「……の口か」

 『……え?』

 「この口かぁあああああ!?」

 「むぐっ!?」

 リアナは、春風を思いっきりベッドの上に押し倒し、その唇に自身の唇を強引に押し当てた。

 つまり、キスをしたのだ。

 「~~~~~~~っ!」

 「…………………っ」

 春風はベッドの上でジタバタともがいたが、リアナはいっこうに離れる気配がなかった。そんな2人を見て、イブリーヌはハッと我に返り、

 「り、リアナ様、何をしているのですか!?」

 と、未だに春風から離れようとしないリアナに向かってそう怒鳴った。

 すると、リアナはゆっくりと春風から離れて、ギロリと歩夢を睨みつけると、

 「この口なのかぁあああああああ!?」

 「え、ちょ、むぐぅ!?」

 なんと、春風と同じ様に歩夢もベッドの上に押し倒し、その唇に強引にキスをしたのだ! しかも、春風よりもかなりディープなものだった!

 「り、り、リアナ様ぁ!? 一体何をしているのですかぁ!?」

 イブリーヌはリアナの行動に困惑していると、リアナはガバッと歩夢から離れて、イブリーヌの方を向いた。

 「イブリーヌ様!」

 「は、ハイ!」

 「さっきは『駄目』って言っちゃったけど、イブリーヌ様もどうぞ!」

 「え、ええ? いえ、あの、何を……」

 「ハルの事、『好き』なんでしょう!? だったら、ここは退所じゃなくて、所でしょ!?」

 「! はい!」

 「いや、『はい』じゃなくて……」

 リアナにキスされた所為か、未だに動けずにいる春風は弱々しく抗議したが、

 「春風様、すみません!」

 と、イブリーヌはガバッと春風に飛びつき、その唇にキスをした。

 「むぐぅう(ちょ、ちょっとぉおおおおおおお)!?」

 まさかのお姫様からのキスに、春風の心の中は混乱状態だった。

 その後、イブリーヌは春風から離れると、

 「ごめんなさい、春風様」

 と、申し訳なさそうに謝罪した。

 「い、いえ……じゃなくて、リアナ、どういうつもりだよ!?」

 漸く上半身を起こせる様になった春風は、リアナに向かって問い詰めた。

 リアナは春風の方を見て、真剣な眼差しを向けた状態で答える。

 「私は、ハルの事が好き」

 「……え?」

 「異世界人である以上、春風はいつか元の世界に帰らなきゃいけないのはわかってる。だけど……」

 「……」

 「だけど、私は、ハルにこの世界に残ってほしい。残って、一緒に暮らしてほしいって思ってる。ユメさんと一緒にいたいなら、ユメさんと一緒でも良い。私が、両方好きになれば良いんだから。勿論、ギルバート皇帝陛下には渡さないけどね」

 「リアナ……」

 「わたくしもです、春風様」

 「イブリーヌ様?」

 「わたくしも、春風様の事が好きです。勇者召喚が行われたあの日、騎士達と戦う春風様を、とても美しいと感じましたし、ハンターとして活動するあなたを見て、『ああ、この人はとても素晴らしい人なのですね』とも思いました。わたくしは、そんなあなたを見て、その……惚れてしまいました」

 「……買い被りすぎです。 俺は、そんな大層な人間じゃ……」

 と、春風が否定の言葉を言おうとした、まさにその時、

 「いやいや、十分大層な人間だって」

 『!?』

 突然の女性の声に、春風達はハッとなってその声がした方を見ると、声がしたのは部屋の扉の辺りで、そこには凛依冴とエリノーラが立っていた。

 「し、師匠! それにエリノーラ様も! いつからそこに!?」

 「最初からよぉ、春風ちゃん」

 「いやぁ、流石私の弟子兼スウィートハニー、モテモテねぇ」

 からかい気味にそんな事を言う凛依冴とエリノーラに、春風達は顔が真っ赤になった。

 「お、俺の事はとりあえず置いといて、師匠もエリノーラもどうしたんですか、こんな夜遅くに!?」

 春風は大慌てでそう質問すると、エリノーラは真面目な表情で答える。

 「『決闘』の日程が決まったわ、春風ちゃん」

 「! いつですか?」

 「3日後よ。あなたと水音ちゃんの『決闘』は、3日後に行います」

 そう言い終えると、エリノーラは穏やかな笑みを浮かべた。

 そしてそれを聞いた時、

 (3日後……)

 春風はゴクリと固唾を飲んだ。
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