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第1章 誕生、ユニークな賢者
第1話 日常の終わり
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*本日2本目の投稿です。
西暦20XX年5月24日。
その日も、いつも通りの「日常」を迎える筈だった。
「じゃあオヤジ、行ってきます!」
「おう、行ってらっしゃい!」
元気の良い挨拶をして、その少年は家を出た。
少年の名は、幸村春風。17歳の高校2年生だ。
幼い時に「とある出来事」で両親を亡くし、今は養父である涼司と2人で暮らしている。
プライベートにちょっと問題があるが、平穏をこよなく愛し、必要以上に目立つ事を嫌う。
そんな、何処にでもいるごく普通の男子高校生だ。
まぁそれはさておき、そんな春風はその日、いつものように朝早く起きて、日課であるトレーニングを済ませると、シャワーを浴びて涼司と一緒に朝ごはんを食べる。その後、高校に行く準備をすると、涼司に「行ってきます」と言って家を出て、ヘルメットをかぶって、愛用のバイクに跨ると、エンジンをかけて高校へと出発した。
いつもの通学路をバイクで走っていると、目的地である建物が見えてきた。
「常陽学園高等学校」。
それが、春風が通っている高校の名前だ。
校門の近くまで進むと、バイクを降りて、それを押しながら校門をくぐった。その後、校内にある駐輪場にバイクを置くと、校舎に入って下駄箱で靴を上履きに履き替えた。
春風の教室は2階にある為、春風階段を上がって教室に向かった。
2年A組。それが春風のクラスだ。
教室に入った春風は、クラスメイト達へ軽く挨拶すると、静かに窓側にある自分の席に座った。そして鞄から教科書などを机に入れると、予鈴が鳴るまで一休みした。
予鈴が鳴って少しすると、1人のスーツを着た長髪の女性が教室に入ってきた。担任教師の高坂小夜子だ。
「起立、礼!」
『おはようございます!』
小夜子が教壇に立つと、春風を含むクラスメイト達が、一斉に挨拶した。
「ああ、おはよう皆!」
それに応えるように、小夜子も元気良く挨拶した。そして、朝のホームルームが始まり、その後、1時間目の授業が始まった。
と、ここまでは、いつも通りだった。
授業が終わると、帰宅部である春風は高校を出て真っ直ぐ家まで帰り、涼司が店長として経営している喫茶店を手伝い、店が終わると夕ごはんにして、風呂に入り、明日の準備をして就寝する。それが、春風のいつも通りの「日常」だった。
だがその日、そんな春風の「日常」は、突然の終わりを迎えた。
それは、4時間目の授業が終わって昼休みを迎えようとした時だった。因みに、担当教師は小夜子だ。
春風が「お昼ごはんにしよう」と鞄の中から弁当を取り出そうとしたその時、耳元で何やら奇妙な声が聞こえた。
言葉はわからないが、どうやら複数の人間による何かの「呪文」のようなものだということは何となくわかった。
そしてそれは、春風だけでなく小夜子とクラスメイト達にも聞こえているようだった。
クラスメイト達が「何だ何だ」とざわつき始めたその時、教室の扉がピシャリと勝手に閉まり、床が眩い「光」を放った。
春風はその「光」になんとなく嫌な予感がして、咄嗟に近くのカーテンを掴んだ。
次の瞬間、小夜子がその光に吸い込まれた。その後、クラスメイトも1人、また1人と、光の中に消えた。
やがて残ったのが春風だけなり、「光」は春風も飲み込もうとしたが、春風は必死にカーテンにしがみつき、その「光」に抵抗した。
しかし、それでも「光」は春風を少しずつ飲み込んでいった。
(も、もう駄目だ)
春風が諦めかけていた、その時だった。
「この手に掴まって!」
何処からか女性の声がしたのだ。
春風は「何だ?」と思って周りを見回すと、突然天井が光って、そこから女性のものらしき1本の腕が伸びてきたのだ。
春風はいきなり現れた腕に驚いたが、このまま「光」に吸い込まれるよりマシだと考え、カーテンから手を伸ばして、その腕を掴んだ。
すると、物凄い勢いで「光」から引っ張り上げられたが、その衝撃で春風は意識を失った。
こうして、ごく普通の高校生として過ごしてきた春風の「日常」は終わった。
西暦20XX年5月24日。
その日も、いつも通りの「日常」を迎える筈だった。
「じゃあオヤジ、行ってきます!」
「おう、行ってらっしゃい!」
元気の良い挨拶をして、その少年は家を出た。
少年の名は、幸村春風。17歳の高校2年生だ。
幼い時に「とある出来事」で両親を亡くし、今は養父である涼司と2人で暮らしている。
プライベートにちょっと問題があるが、平穏をこよなく愛し、必要以上に目立つ事を嫌う。
そんな、何処にでもいるごく普通の男子高校生だ。
まぁそれはさておき、そんな春風はその日、いつものように朝早く起きて、日課であるトレーニングを済ませると、シャワーを浴びて涼司と一緒に朝ごはんを食べる。その後、高校に行く準備をすると、涼司に「行ってきます」と言って家を出て、ヘルメットをかぶって、愛用のバイクに跨ると、エンジンをかけて高校へと出発した。
いつもの通学路をバイクで走っていると、目的地である建物が見えてきた。
「常陽学園高等学校」。
それが、春風が通っている高校の名前だ。
校門の近くまで進むと、バイクを降りて、それを押しながら校門をくぐった。その後、校内にある駐輪場にバイクを置くと、校舎に入って下駄箱で靴を上履きに履き替えた。
春風の教室は2階にある為、春風階段を上がって教室に向かった。
2年A組。それが春風のクラスだ。
教室に入った春風は、クラスメイト達へ軽く挨拶すると、静かに窓側にある自分の席に座った。そして鞄から教科書などを机に入れると、予鈴が鳴るまで一休みした。
予鈴が鳴って少しすると、1人のスーツを着た長髪の女性が教室に入ってきた。担任教師の高坂小夜子だ。
「起立、礼!」
『おはようございます!』
小夜子が教壇に立つと、春風を含むクラスメイト達が、一斉に挨拶した。
「ああ、おはよう皆!」
それに応えるように、小夜子も元気良く挨拶した。そして、朝のホームルームが始まり、その後、1時間目の授業が始まった。
と、ここまでは、いつも通りだった。
授業が終わると、帰宅部である春風は高校を出て真っ直ぐ家まで帰り、涼司が店長として経営している喫茶店を手伝い、店が終わると夕ごはんにして、風呂に入り、明日の準備をして就寝する。それが、春風のいつも通りの「日常」だった。
だがその日、そんな春風の「日常」は、突然の終わりを迎えた。
それは、4時間目の授業が終わって昼休みを迎えようとした時だった。因みに、担当教師は小夜子だ。
春風が「お昼ごはんにしよう」と鞄の中から弁当を取り出そうとしたその時、耳元で何やら奇妙な声が聞こえた。
言葉はわからないが、どうやら複数の人間による何かの「呪文」のようなものだということは何となくわかった。
そしてそれは、春風だけでなく小夜子とクラスメイト達にも聞こえているようだった。
クラスメイト達が「何だ何だ」とざわつき始めたその時、教室の扉がピシャリと勝手に閉まり、床が眩い「光」を放った。
春風はその「光」になんとなく嫌な予感がして、咄嗟に近くのカーテンを掴んだ。
次の瞬間、小夜子がその光に吸い込まれた。その後、クラスメイトも1人、また1人と、光の中に消えた。
やがて残ったのが春風だけなり、「光」は春風も飲み込もうとしたが、春風は必死にカーテンにしがみつき、その「光」に抵抗した。
しかし、それでも「光」は春風を少しずつ飲み込んでいった。
(も、もう駄目だ)
春風が諦めかけていた、その時だった。
「この手に掴まって!」
何処からか女性の声がしたのだ。
春風は「何だ?」と思って周りを見回すと、突然天井が光って、そこから女性のものらしき1本の腕が伸びてきたのだ。
春風はいきなり現れた腕に驚いたが、このまま「光」に吸い込まれるよりマシだと考え、カーテンから手を伸ばして、その腕を掴んだ。
すると、物凄い勢いで「光」から引っ張り上げられたが、その衝撃で春風は意識を失った。
こうして、ごく普通の高校生として過ごしてきた春風の「日常」は終わった。
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