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第七章・スリジャの結婚

63・スリジャのイメチェン*前編

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 「ねぇアルジェ。私ずっとグラン聖国の衣裳を着てるでしょう?そろそろラシアの衣裳も着てみたいって思うんだけど┉。」
 
 ここラシア王国に来てから、ずっと故郷の衣裳を着ていた。
 やっぱり嫁に来たからには、郷に入れば郷に従え!ですよね?って思って、スリジャは言ってみた。

 「えぇ!スリ様がですか!?どうかなぁ┉スリ様って、やっぱりフワフワな衣裳が似合うと思うんですよね~。ラシアの衣裳って、カッチリした感じですからね?」

 ──フワフワとカッチリ┉?

 グラン聖国で一般的に来ている衣裳は、柔らかい薄衣を何枚も重ねて腰紐で結ぶタイプのものだ。
 自分の好きな色や似合う色を組み合わせて、自分なりの色彩を魅せるのがグラン流のオシャレなのだ!

 では、ラシア王国では?って言うと、ズボンに詰め襟のカッチリとした上着に正式な場だったらマント。いわゆる普通の貴族服だ。
 オシャレと言えば、色の違いと上着に刺繍を入れたり、マントを止めるピンくらいなのかな?

 でもそんな衣裳も着てみたい。だって┉ロイ様の妃になるから!

 そんなスリジャの気持ちを知ってか知らずか、アルジェは用意しますよ!って言ってくれた。

 次の日アルジェは、何パターンかの組み合わせで衣裳を用意してきた。

 「ありがとう!アルジェ。早速着てみたいなぁ~。」とちょっとワクワクして言う。

 「スリ様、ごめんなさい。私ちょっと今から結婚式の段取りの打ち合わせで┉。もう間近ですから!」と鼻息荒くアルジェは言って、小一時間こいちじかんほどで帰って来るから待ってて欲しいって言う。

 「着るのをお手伝いしますから、ホントに待ってて下さいね~!」と言って出ていった。

 スリジャは手持ても無沙汰ぶさたで、何して待とうかな?って思ったが┉自分で着ればいいんじゃない?って思いたつ。

 「グランの衣裳と違って、重ねる必要ないし一人でだって着れるよね?」と、チャレンジしてみる。

 ズボンと┉この上着を着ればいいんだね?

 ──全然自分で着れる!!なんか身軽でいいな、この衣裳。

 すっかりお気に入りになって、鏡の前でクルッと回って見てみた!   

 意外と似合ってる?┉ちょっと正直、少年みたいだが悪くはないと思った。┉そこでスリジャは。

 ──ロイ様に見せに行こう!って思う。

 すっかり気を良くしたスリジャは、ロイの執務室まで一人で歩きだす。

 すると通りすがる人達の反応がいつもとは違う┉。

 ──もしかして!私だって皆んな気付いてない?
 きっとイメージが違うんだ!って思って、イメチェン成功を確信する。

 「──コン、コン。ロイ様!居ますか?」

 そんなスリジャの声に勢いよく扉が開く。

 「ス、スリジャ!?どうしたんだ?衣裳が┉。全然違う人みたいだな!でもこっちも可愛くて似合ってるよ!」
 と、ロイが褒めてくれた。

 嬉しくなって、スリジャはロイに抱きつく。

  ──あんっ┉!

 スリジャは咄嗟に口を押さえる。
 ロイはそんなスリジャに驚きながら、どうかしたのか?って聞いた。

 ──どうしよう┉前が、、、擦れ┉る。
 
 着たことのない分厚い上着┉それも素肌の上から。

 何も言わないスリジャを心配して、ロイが身体をさするのだが、擦れば擦るほど甘い声が洩れる。

 「んっ┉ふぁッ┉ハァ┉ン」

 いゃだぁ、マズい~!

 でも┉このままではいけない!って思って、意を決するスリジャ。

 これ以上ないくらい真っ赤な顔をして┉

 上着のボタンをおもむろに外して、ロイに向けて前を開けて┉見せた。


          ──to be continued.
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