【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO

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第三章・伯爵家当主マリン

40・親子の確執

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 ──もしかして、今の僕達の会話を聞いていたんですか?マズくない?

 「父上!許可もなくいきなり入られては困ります。それに…そんな事をおっしゃって、ロテシュ伯爵が驚いているではありませんか!」

 レオ殿下が父である王をキッと睨む。

 ──ちょっとちょっと!王様だよ?いくら何でもその言い草はキツくない!?

 僕はそんな乃恵留の態度にビックリして、やっぱり不仲の噂は本当だったんだと心配になった。

 「いえ、大丈夫ですから!でもその結婚の話は…実は冗談で言っておりまして、レオ殿下は僕に対してそのような気持ちは持てないと思いますよ?」

 僕はそんな険悪な雰囲気を何とかしなくては!と、愛想笑いしながら二人の顔をチラチラと交互に見た。

 ──この二人の、間に挟まれてるの…辛いってー!

 「そうなのか?残念だのう…。レオは結婚について消極的だから嬉しかったのだが。だけど、そんな冗談が言えるほど仲良しなんだな?それは上々だ!」

 王の嬉しそうにそう話す表情を見ていたら、この二人何とかならないの?って思うけど…
 そして乃恵留をチラッと見たら…真顔だ!!困ったな。

 ──この親子は、こじれまくってるね?

 用がないなら出てって下さい!と言うレオの言葉に、王はハァーッと大きな溜め息を吐く。

 「レオ…もう赦してはくれないか?お前が小さかった時の私と皇后の対応は良くなかったのは認める!だけど、そんな五つになったばかりの子供に、兄が死ぬだの隣国の学校に留学したいだの言われてそれを受け入れられると思うか?それに、第一王子は今も生きていて、それ隣国に居るから生きていられたんだ!と言われても私達には真実なのか分からんよ?」

 王様のその言葉に僕は、そりゃそうだよね?って思う…
 もちろん、乃恵留の気持ちも良く分かるし、王様の気持ちも分かる。どうしたらいいんだろ?

 「あの…お二人の会話に口を挟んで、申し訳ありません。だけどどうしてもお伝えしたい事がございます!よろしいでしょうか?」
 僕はおずおずとそう言って、発言の許可を求めた。

 すると王と乃恵留は、一体何を言うつもりだ?って驚いた様子で、それから発言の許可が出た。

 「恐れながら申し上げます。レオ殿下がおっしゃった事、全て事実です。第一王子があのままこの国に居たとしたら、亡くなられていたでしょう。実は…レオ殿下は予知夢を見る能力がお有りです。そしてこの僕も同じ能力を持っているので、それが事実だと分かっています!この前お会いした時に偶然その話になり、僕達の予知夢は同一だと確認致しました。それでこのように短期間で意気投合して仲良くなりました。」

 思い付いたままにそう言ってみたけど、ちょっと苦しいかな?
 でも、小説だと言う事は口が裂けても言えない!となると、こんな感じで誤魔化すしかなくない?
 そう納得してもらって、この先は和解した方がいいってー!絶対に!!

 それに驚き過ぎて絶句していた王様だったけど、その後なぜだか号泣しだす。

 ──えっ…大丈夫?

 「そうだったのか!疑って悪かったなレオ…。お前を信じたい気持ちはあったけど何しろ突拍子もない話だったから。それにお前はずっと隣国に行ったっきりで、ろくに話しも出来ないし…。信じる。レオを信じるぞ!この先は。」

 そう言ってオイオイと泣く王様に、僕も思わずもらい泣きで。
 それから乃恵留をチラッと見たら、何やら複雑な顔をしていたけど、口の端が上がってるのを僕は見逃さなかった!嬉しいくせに~

 僕はそんな二人の手と手を取って、ぎゅっと握り合わせて、これからは仲良くね!って言いながら微笑んだ。

 ──うん…王様が単純な人で良かった!!僕も泣いたり笑ったり忙しかったけど…

 その事が功を奏したのか、僕はすっかりと王様のお気に入りに。なんと王族の居住スペース出入り自由になった!なかなかにレアだよ?

 もちろん乃恵留と気兼ねなく会えるのは嬉しいんだけどさ、お気に入りになり過ぎて乃恵留のところに行くと必ず顔を出す王様が…なんで?暇なのかなぁ~

 だけどこれが、後々に僕とミシェルにとってマズい事態になったんだ…
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