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第二章・小説の中の僕
23・皇太子殿下とのお茶会
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石を積み上げられて造られたであろう堅牢な城門をくぐって、そこから真っすぐに延びた石畳の道を進めば、正面に重厚な扉が見える。
その前に馬車が横づけされてスッと止まった。
まずミシェルがそこに降り立って、くるりと向きを変えて僕にそっと手を差し出した。
女性じゃないのに?と思うけれど、その気遣いが嬉しくって笑顔でその手を取って馬車を降りる。
既にお城の侍従らしき人が待っていて、ギルフォード公爵家のミシェル様とロテシュ伯爵家のマリン様ですね?と声を掛けられて、二人で緊張しながら頷いた。
「皇太子殿下がお待ちでございます。どうぞこちらにおいで下さい。」
その侍従に続いて僕達とギルバート、オリヴァーは城内に案内される。
ミシェルは慣れているのか、いつもと変わらぬ表情で歩いていくけれど、僕はというと…興奮していた!
だって、前世の時にテレビや写真でしか見た事がないような豪華絢爛な世界がそこにあったから。
公爵家も相当立派だけれど、流石一国の城だ。
重厚な扉も広すぎるホールも、規模が全く違う!どこもかしこもピカピカに磨き上げられていて、調度品一つでさえ一体いくら?な物が置かれているのだと分かる。
──こんな所に住んでる王子に僕の作品を見せる訳?それはちょっと躊躇しちゃうよ~!
そんな事を思って遅れぎみになった僕に気付いて、ミシェルは振り返って待っていてくれた。
「歩くの早すぎるか?まだ会ってもないのに緊張しなくてもよくないか?」
からかうように僕に言ってきて、もーう!って頬を膨らませたけど、その意味は良く分かっている。
ミシェルは僕の緊張を解こうとしてくれてるんだって事!
──優しいなぁ~ミシェルってば!
それでちょっとだけ楽になった僕は、気を引き締め直して足早に後に付いて行った。
長い回廊を抜けると中庭のような場所に出て、えっ…外なの?って思う。
すると、ガラス張りの温室のような建物が見えてきた。
その中に通されると冬だというのに暖かで、色とりどりの沢山の花々が咲き乱れている。
──なんか天国みたいな所に来ちゃったよ!温室の中は春みたいだ~。
その温室の奥にテーブルが置かれていて、そこに意外にも人懐っこい笑顔を浮かべる人物が僕達を待っていた。
──何っ!なんかエルフみたいな人いない?あれ…。この世界の人?
「よく来てくれたねミシェルにマリン。忙しいところ、わざわざ来てもらってすまなかったね。さあ!こちらにかけてくれ。」
眩しい光を放ったかのような美麗な皇太子殿下が、笑顔で僕達を歓迎してくれた。
「皇太子殿下におかれましてはご機嫌麗しく。本日はお招きいただきましてありがとうございます。ミシェル・グランバードと申します。それと…」
先に挨拶をしたミシェルが、僕に挨拶のタイミングを教えてくれる。ナイス!って…
「お初にお目にかかります。マリン・ロテシュです。今日は僕の作品を見ていただけるそうで、持ってまいりました。よろしくお願いします!」
僕は緊張しながらも元気良く挨拶をして、殿下がすすめてくれた椅子に腰掛けた。ちょっとだけホッとしたところで、目の前の皇太子殿下をマジマジと見つめた。
やっぱりリンダさんが言ったように凄く綺麗な方だ…
少しウェーブがかかった光を集めたような金髪、吸い込まれそうなサファイアブルーの瞳。
それに輝くような微笑みで人を惹きつける。
──イケメンだ!間違いなく超絶イケメン!!ミシェルとはまたタイプの違う感じだね。
東の横綱がミシェルなら、西の横綱は皇太子殿下だね!
でもさ「東」がミシェルだよ?西より東の方が番付上だからね!
──ちょっと待て!何で大相撲番付で例えてんだ!?僕…
「さあさあ、お茶でも飲みながらマリンの作品を見せて貰おうかな!それと、私の事はレオと呼んでくれ。二人にはそれを許そう!」
満面の笑顔でレオ殿下がそう言って、光栄です…と二人で返してからオリヴァーに目配せして僕の作品をテーブルに一つ一つ並べてもらう。
「僕の作った作品の女性用と男性用を何点か持ってまいりました。それとこちらですが…失礼ながらレオ殿下に贈り物をと作ってきました。良かったらお使いいただけると嬉しいのですが。」
僕はプレゼント用に持ってきたハンカチを手渡す。
レオ殿下が、それはありがとう!って受け取ってじっくりとそのハンカチを見ている。
「これも見事なものですね!まるで生きているような…ライオンですね?僕の名前からこの柄にしてくれたのですね。それにこの蔦の模様も素敵です!それに『カイト』…」
ちょっと待て!い、今┉僕の前世の名前のカイトを?
ハンカチにブランドネームとして入れてあった、日本語で刺繍されてある名前を指でなぞりながら『カイト』と言ってなかった!?
──それ、偶然なの?
その前に馬車が横づけされてスッと止まった。
まずミシェルがそこに降り立って、くるりと向きを変えて僕にそっと手を差し出した。
女性じゃないのに?と思うけれど、その気遣いが嬉しくって笑顔でその手を取って馬車を降りる。
既にお城の侍従らしき人が待っていて、ギルフォード公爵家のミシェル様とロテシュ伯爵家のマリン様ですね?と声を掛けられて、二人で緊張しながら頷いた。
「皇太子殿下がお待ちでございます。どうぞこちらにおいで下さい。」
その侍従に続いて僕達とギルバート、オリヴァーは城内に案内される。
ミシェルは慣れているのか、いつもと変わらぬ表情で歩いていくけれど、僕はというと…興奮していた!
だって、前世の時にテレビや写真でしか見た事がないような豪華絢爛な世界がそこにあったから。
公爵家も相当立派だけれど、流石一国の城だ。
重厚な扉も広すぎるホールも、規模が全く違う!どこもかしこもピカピカに磨き上げられていて、調度品一つでさえ一体いくら?な物が置かれているのだと分かる。
──こんな所に住んでる王子に僕の作品を見せる訳?それはちょっと躊躇しちゃうよ~!
そんな事を思って遅れぎみになった僕に気付いて、ミシェルは振り返って待っていてくれた。
「歩くの早すぎるか?まだ会ってもないのに緊張しなくてもよくないか?」
からかうように僕に言ってきて、もーう!って頬を膨らませたけど、その意味は良く分かっている。
ミシェルは僕の緊張を解こうとしてくれてるんだって事!
──優しいなぁ~ミシェルってば!
それでちょっとだけ楽になった僕は、気を引き締め直して足早に後に付いて行った。
長い回廊を抜けると中庭のような場所に出て、えっ…外なの?って思う。
すると、ガラス張りの温室のような建物が見えてきた。
その中に通されると冬だというのに暖かで、色とりどりの沢山の花々が咲き乱れている。
──なんか天国みたいな所に来ちゃったよ!温室の中は春みたいだ~。
その温室の奥にテーブルが置かれていて、そこに意外にも人懐っこい笑顔を浮かべる人物が僕達を待っていた。
──何っ!なんかエルフみたいな人いない?あれ…。この世界の人?
「よく来てくれたねミシェルにマリン。忙しいところ、わざわざ来てもらってすまなかったね。さあ!こちらにかけてくれ。」
眩しい光を放ったかのような美麗な皇太子殿下が、笑顔で僕達を歓迎してくれた。
「皇太子殿下におかれましてはご機嫌麗しく。本日はお招きいただきましてありがとうございます。ミシェル・グランバードと申します。それと…」
先に挨拶をしたミシェルが、僕に挨拶のタイミングを教えてくれる。ナイス!って…
「お初にお目にかかります。マリン・ロテシュです。今日は僕の作品を見ていただけるそうで、持ってまいりました。よろしくお願いします!」
僕は緊張しながらも元気良く挨拶をして、殿下がすすめてくれた椅子に腰掛けた。ちょっとだけホッとしたところで、目の前の皇太子殿下をマジマジと見つめた。
やっぱりリンダさんが言ったように凄く綺麗な方だ…
少しウェーブがかかった光を集めたような金髪、吸い込まれそうなサファイアブルーの瞳。
それに輝くような微笑みで人を惹きつける。
──イケメンだ!間違いなく超絶イケメン!!ミシェルとはまたタイプの違う感じだね。
東の横綱がミシェルなら、西の横綱は皇太子殿下だね!
でもさ「東」がミシェルだよ?西より東の方が番付上だからね!
──ちょっと待て!何で大相撲番付で例えてんだ!?僕…
「さあさあ、お茶でも飲みながらマリンの作品を見せて貰おうかな!それと、私の事はレオと呼んでくれ。二人にはそれを許そう!」
満面の笑顔でレオ殿下がそう言って、光栄です…と二人で返してからオリヴァーに目配せして僕の作品をテーブルに一つ一つ並べてもらう。
「僕の作った作品の女性用と男性用を何点か持ってまいりました。それとこちらですが…失礼ながらレオ殿下に贈り物をと作ってきました。良かったらお使いいただけると嬉しいのですが。」
僕はプレゼント用に持ってきたハンカチを手渡す。
レオ殿下が、それはありがとう!って受け取ってじっくりとそのハンカチを見ている。
「これも見事なものですね!まるで生きているような…ライオンですね?僕の名前からこの柄にしてくれたのですね。それにこの蔦の模様も素敵です!それに『カイト』…」
ちょっと待て!い、今┉僕の前世の名前のカイトを?
ハンカチにブランドネームとして入れてあった、日本語で刺繍されてある名前を指でなぞりながら『カイト』と言ってなかった!?
──それ、偶然なの?
応援ありがとうございます!
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