上 下
16 / 67
第一章・僕が公爵家に居るワケ

15・謎の金髪碧眼?

しおりを挟む
 それから僕は、リンダさんと新作についての打ち合わせをしてアドバイスを受ける。
 いくつか必要な確認を取ってから、そう言えば買っていただいた方ってどんな方だったんだろう?って気になって聞いてみた。

 「お買い上げいただいた方って、どんな方だったんでしょうか?今後の為にも出来れば知りたいのですが。」

 リンダさんは僕の問いに、それは気になりますよね?って、売上を記したノートを確認してくれる。

 「そうですね、ほぼ淑女の方々ですが…あの大作のテーブルクロスありましたよね?そちらだけは紳士の方がお買い上げ下さいました。私が接客したのですが…お若くて金髪碧眼のお綺麗な方でしたね。」

 ──あの「花鳥風月」テーブルクロスを?
 金髪碧眼の綺麗な男性…だって?おまけに若いの?

 金髪碧眼…小説アルアルでは王子様とかだよね?まさかなぁ…

 「実はその方、作者の名前をお聞きになりました。でも勝手にお名前を教える事は出来ないとお断りを。それで良かったですよね?そして、今後もしその方が現れて同じ事を言われたとしたらどうすればいいでしょうか?」

 ──な、名前を?なんだろう…ただ興味で聞いてきたのだろうか?でも知らない人だし。でも…

 「リンダさん、お気遣いありがとうございます。それで良かったです。でも、もしも今後そのような事があったとしたら、ブランドネームだけは言っていただいて結構です。『カイト』と。その他の情報は今後も秘密にしていだだけますか?」

 僕が真剣にそう言うと、リンダさんは大きく頷いて了承してくれた。
 今後、どこに大きな商談が転がっているか分からない。
 もしもそういう事であればビジネスチャンスだ!
 扱ってくれるお店が増えたとしたら、それだけ利益も得られる。
 もちろんリンダさんには今後も優先販売権をお渡しするよ?それだけお世話になっているし。

 その金髪碧眼の方はよく分からないけど、たとえ危険な人物だったとしても、もうミシェルにはこの事は話してある。
 こうやって護衛も付いていただいているし、余程の事でもない限り大丈夫だろう。
 となると、この前バレて良かったのかも?ふとそんな気がした。

 そしてその帰り道…僕達は買い食いした!
 
 「いやぁー良かった!屋台で食べたいって言ったら反対されるかと思いましたよ。今日付いてきていただいたお礼ですから、ギルバートさんも沢山食べて下さいね?」

 僕とオリヴァーは、串焼きの肉にかぶり付きながら、ギルバートさんにも肉を渡す。
 意外にもギルバートさんはすんなり受け取って、僕達と同じように齧り付いた。

 「大丈夫です。私、平民出身ですから。剣術を見込まれて今の地位をいただきました。だから買い食い、大好きです!」
 ギルバートさんはそう言って、ハハハッと笑った。

 ──うっ、眩しい~!イケメンの微笑み、いただきました!

 「ふぉんとに?へいひんだっはんだね~。」
 驚いてそう言ったけど、肉が噛み切れなくて何言ってんだか分からないやぁ~。
 
 それにしてもギルバートさん、カッコイイよねー!護衛騎士だけあって筋肉隆々だしさ。それに平民だったからか?最初から親しみやすいと思っていた。
 もしも貴族だったとしたら、こうはいかなかったよね?また叱られてたかも。

 それからそう言えば…って、お近付きになったついでに気になっていた事を聞いてみる。

 「ミシェル様って、僕のこの行動をどう思っているんでしょうか?実は怒ってるなんて…ないですよね?」
 
 それにギルバートさんは少しだけ考えてから、それは大丈夫ですね!って答える。

 「マリン様がお屋敷に初めて来られた時、お部屋に何も無かったでしょう?あれミシェル様の指示だったんですが、後で物凄く後悔されてました。その事が原因でお金を…ってなったとお聞きしたので、まず反対される事は有り得ませんよ。今も悪かったと思ってるのかと。」

 ──ええっ!ミシェルが!?それは初耳だ。そうか…反省してるならもういいか。天敵のロテシュ家から来た僕だし、仕方がないかな?って。

 「ああそうそう!ですからマリン様が池で溺れた時も、ミシェル様自ら人工呼吸をされたんだと思いますよ?」

 ──な、何ですと!!嘘でしょう?

 「人工呼吸って、口と口でハーッ!ってヤツ?あっ、フーッか?」

 そうですよ?って、当たり前のように答えられたけど…それ大丈夫?ましてや僕の知らないうちに┉。

 それにしても一つ聞きたい!人工呼吸って、キスに入りますか?
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

BL / 完結 24h.ポイント:511pt お気に入り:2,339

ろくでなしの君と

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:81

なんだか泣きたくなってきた 零れ話集

BL / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:159

Ω令息は、αの旦那様の溺愛をまだ知らない

BL / 連載中 24h.ポイント:752pt お気に入り:2,911

処理中です...