11 / 67
第一章・僕が公爵家に居るワケ
10・脱出作戦
しおりを挟む
ビックリした事に、リンダさんのお店に置いてもらった僕の作品が…売れた!!
──なんと全てだよ?信じられない。
僕なりに頑張って作ったけれど、この世界には馴染みのない柄だし、造り手としても初心者で。なのに?
新しい風、吹いたのだろうか?
やっぱり新鮮だったのかもしれないね!
そりゃぁ伝統にのっとった柄も素敵だけれど、オリジナリティがない。
人と差をつけようとするには、新しいものを取り入れないと!
それにしても小物はお安めだし売れるかも?って思っていたけど、あの大作の『花鳥風月』デーブルクロスも売れたとは。
僕って、やっぱり才能あるのかもね?
もっと奮起させる為に大袈裟に自分で褒めておく。
プロの意見を聞いた方がいいだろうから、売上を貰いに行くついでにリンダさんに相談してみようか?新しい作品について。
それからオリヴァーに連絡を取ってもらって、今からリンダさんのお店に行く事に。
またそっとお屋敷を出なくっちゃ!
二人で目立たない服に着替えて部屋を出た。
辺りを見渡して誰も居ないのを確認する。
今の時間帯は掃除や昼食も終わって、廊下の人通りが少ない筈だ。
オリヴァーと目配せしながらそうっと廊下を走り抜け外に出た。
ここまで来たら後は通用門から屋敷の外に出るだけ…って、何で!!
驚いたことに、使用人用の通用門の所にミシェルの護衛騎士のギルバートさんがいる。
──な、何でさー!ちゃんとミシェルの護衛してろって!
僕とオリヴァーは顔を見合わせて、少し離れた所まで撤退する。
「なんでかな?護衛騎士が何であんな所にいるの?」
僕は意外な人が意外な所にいる事で、すっかり面食らってしまった。
「どうなんでしょうか…。今までギルバートさんが通用門に居た事などないんですがね?何かあったんでしょうか…」
オリヴァーがそう言って、ちょっと他の人に聞いて来ます!って、僕を残して駆け出して行った。
僕は誰にも見られないように、植え込みの木の根本に身体を丸めて隠れていた。
──弱ったな…約束の時間まで余りないし…
商売は信用が第一だからね?時間に遅れるなんて、言語道断だ!
少し焦って来たけど、今回だけは仕方ないかも?ってオリヴァーを待った。
やがて人目を避けるようにオリヴァーが戻ってきた。
「大変です!屋敷の周りに怪しい人物がいたようで、護衛の者を出入り口全てに配置しているようですね。だから今日は難しいんじゃないですか?外出は…」
──それは困ったなぁ~今日は新作について相談があったのに。
やっと売れ始めたところだよ?
商品を切らすといけないし、どういう客層だとか聞いてみたいと思っていたのに。リサーチって大切なんだけど…
そう思って考えていると、この公爵家を取り囲んでいる外塀に目がいった。
目の前の塀にこちらから大きな木が張り出している。
──これ、登れるんじゃない?
僕だって、二年前まで平民だ。木登りだってやった事くらいはある。
ただ、久しぶりだしどうなんだろ?とは思うけど。
行きだけでも何とか外に出る事が出来れば、帰ってくる頃にはきっと解除されているだろう。ちょっとそう思ってオリヴァーに提案してみる。
「えーっ!マリン様が!?出来ます?木登り。私は日を改めた方が良いのでは…と。」
そんなオリヴァーの言葉に僕は首を横に振って、やるだけやってみよう!って。
オリヴァーが先に登って、僕を引き上げて貰う手はずだ。
オリヴァーは流石に身のこなしが軽く、難なく木にスルスルと登って塀の上に飛び移る。
──ワオ!凄いやぁ~僕もあのルートで登って行けばいいよね!
意を決して僕は木の枝に足を掛ける。
ぐんと枝の方の足に体重を掛けながら、もう片方を蹴り上げると一段目線が高くなった。
楽勝~!そう思いながら次も繰り返して、さてもう一踏ん張り!って体重を掛けると…
──メキッ。バキバキ…
体重を掛けた方の枝が折れた!ヤバい~!!
僕は落ちる覚悟をした。だけどその瞬間、誰かが僕のお尻を支えて押し上げる。
──だ、誰よ!?命の恩人。
大袈裟だけどそう思って、僕を支えてくれている人を見下ろす。
「あっ、ミシェル様。ごきげんよう…」
見ると、男前台無しの般若のような顔をしたミシェルが僕を落とすまいと懸命に支えてくれていたんだ──。
──なんと全てだよ?信じられない。
僕なりに頑張って作ったけれど、この世界には馴染みのない柄だし、造り手としても初心者で。なのに?
新しい風、吹いたのだろうか?
やっぱり新鮮だったのかもしれないね!
そりゃぁ伝統にのっとった柄も素敵だけれど、オリジナリティがない。
人と差をつけようとするには、新しいものを取り入れないと!
それにしても小物はお安めだし売れるかも?って思っていたけど、あの大作の『花鳥風月』デーブルクロスも売れたとは。
僕って、やっぱり才能あるのかもね?
もっと奮起させる為に大袈裟に自分で褒めておく。
プロの意見を聞いた方がいいだろうから、売上を貰いに行くついでにリンダさんに相談してみようか?新しい作品について。
それからオリヴァーに連絡を取ってもらって、今からリンダさんのお店に行く事に。
またそっとお屋敷を出なくっちゃ!
二人で目立たない服に着替えて部屋を出た。
辺りを見渡して誰も居ないのを確認する。
今の時間帯は掃除や昼食も終わって、廊下の人通りが少ない筈だ。
オリヴァーと目配せしながらそうっと廊下を走り抜け外に出た。
ここまで来たら後は通用門から屋敷の外に出るだけ…って、何で!!
驚いたことに、使用人用の通用門の所にミシェルの護衛騎士のギルバートさんがいる。
──な、何でさー!ちゃんとミシェルの護衛してろって!
僕とオリヴァーは顔を見合わせて、少し離れた所まで撤退する。
「なんでかな?護衛騎士が何であんな所にいるの?」
僕は意外な人が意外な所にいる事で、すっかり面食らってしまった。
「どうなんでしょうか…。今までギルバートさんが通用門に居た事などないんですがね?何かあったんでしょうか…」
オリヴァーがそう言って、ちょっと他の人に聞いて来ます!って、僕を残して駆け出して行った。
僕は誰にも見られないように、植え込みの木の根本に身体を丸めて隠れていた。
──弱ったな…約束の時間まで余りないし…
商売は信用が第一だからね?時間に遅れるなんて、言語道断だ!
少し焦って来たけど、今回だけは仕方ないかも?ってオリヴァーを待った。
やがて人目を避けるようにオリヴァーが戻ってきた。
「大変です!屋敷の周りに怪しい人物がいたようで、護衛の者を出入り口全てに配置しているようですね。だから今日は難しいんじゃないですか?外出は…」
──それは困ったなぁ~今日は新作について相談があったのに。
やっと売れ始めたところだよ?
商品を切らすといけないし、どういう客層だとか聞いてみたいと思っていたのに。リサーチって大切なんだけど…
そう思って考えていると、この公爵家を取り囲んでいる外塀に目がいった。
目の前の塀にこちらから大きな木が張り出している。
──これ、登れるんじゃない?
僕だって、二年前まで平民だ。木登りだってやった事くらいはある。
ただ、久しぶりだしどうなんだろ?とは思うけど。
行きだけでも何とか外に出る事が出来れば、帰ってくる頃にはきっと解除されているだろう。ちょっとそう思ってオリヴァーに提案してみる。
「えーっ!マリン様が!?出来ます?木登り。私は日を改めた方が良いのでは…と。」
そんなオリヴァーの言葉に僕は首を横に振って、やるだけやってみよう!って。
オリヴァーが先に登って、僕を引き上げて貰う手はずだ。
オリヴァーは流石に身のこなしが軽く、難なく木にスルスルと登って塀の上に飛び移る。
──ワオ!凄いやぁ~僕もあのルートで登って行けばいいよね!
意を決して僕は木の枝に足を掛ける。
ぐんと枝の方の足に体重を掛けながら、もう片方を蹴り上げると一段目線が高くなった。
楽勝~!そう思いながら次も繰り返して、さてもう一踏ん張り!って体重を掛けると…
──メキッ。バキバキ…
体重を掛けた方の枝が折れた!ヤバい~!!
僕は落ちる覚悟をした。だけどその瞬間、誰かが僕のお尻を支えて押し上げる。
──だ、誰よ!?命の恩人。
大袈裟だけどそう思って、僕を支えてくれている人を見下ろす。
「あっ、ミシェル様。ごきげんよう…」
見ると、男前台無しの般若のような顔をしたミシェルが僕を落とすまいと懸命に支えてくれていたんだ──。
応援ありがとうございます!
19
お気に入りに追加
2,106
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる