91 / 107
第十一章・僕らの幸せ
90・手荒い歓迎(後半ちょっとだけ*)
しおりを挟む
「エリオット!良かったなぁ~でも探してやったんだからメシおごれ」
「死んだのかと思ったよ?元気そうでなにより~」
「お前は馬鹿か!一人で行くなど無謀だろ?」
「エリオットって前から警戒心が薄いのよ!今後気を付けなさいよね」
エドモア公爵家に帰って来た途端、凄い言われようだ…
ルグル村を出発しておよそ二日、何の問題もなく進んでこの王都までやって来た。道中二人きりの馬車の中…あっ、御者席にはアルベルトさんがいるけどね?それは全く気にせずに僕と坊ちゃまは、会えなかった一年という時を埋めるように、いちゃついたりこれまでのことを話しりした。僕はお料理をしたりジャッキーと遊んだりのごく普通の生活をしていたのと比べて、坊ちゃまはやはりというか凄く大変だったのだと知る。それでも僕を悲しませないように、変わらず学園に通ってくれていたなんて…なんて努力家さんなんだろう?そのことに深く感謝した。
でも、本当に良かった!もしも休学していたとしたら、卒業も延びてしまう。それでは知り合った同級生達とは同時に卒業出来なくなってしまうし…寂しいだろうなって。そういえば、トムさんや他の仲良くしてくれた使用人達はどうしてるだろうか?心配しただろうな…そう思って感傷に浸っていると…
「コラッ!聞いてるのか?」
「何よ?坊ちゃまのことはともかく、今学園のことを考えてんじゃないわよ!」
またまた酷い言われよう。えっ…また口に出ていたのかなぁ?それから公爵家の皆さんからバシバシと手荒い歓迎を受けて…コレコレ!公爵家の使用人といえばコレだよね?手荒さが愛情の証つーか!
そのことがちょっぴり懐かしくて、へへへっと笑っていると…白くてワサワサとしたものが視界に入って…
──何だ?この白いポンポン…白組かぁ~っての!チアリーディングぅ?なんて思ってよく見ると…
「あっ!御茶ノ水~」
違った、違った…スミンさんだったわ!久しぶりのスミンさん…前は魅惑的な御髪がケサランパサランになっていたけど…祝!復活~そのことに安心して、笑顔で見つめる。
「前から思ってたけど、その御茶ノ水って何よ?だけど、無事で本当に良かった…心配したよエリオット。おかえり!」
そう言って涙ぐむスミンさん。僕もそれにもらい泣きして、思わずスミンさんに抱き着く。相変わらず頬にモフモフが触れてくすぐったい!僕のマッシュルームぅ♡
それにやはりというか、後ろからコラッ!と坊ちゃまの声が聞こえたけど、平常運転だ!
それから皆と一緒に公爵邸へと入ると、僕は目が点になる。僕の使用人部屋が無くなっていて、荷物は坊ちゃまと同じ部屋に移動されていた。えっ…これ、大丈夫なの?
「坊ちゃま!僕の荷物がこんなところに?キラキラの坊ちゃまの御衣装の隣には、余りにもそぐわないんじゃぁ…」
「いいから、いいから。心配だから一緒な部屋にしょ?もう正式な婚約者だからいいんじゃないかな」
──もしもし?正式…では無かったようなぁ。婚約指輪は貰ったけど、知っているのは公爵家の人達だけだったよね?そう思って困惑していると…
「前にアノー伯爵代理にお会いした時、もう全てお話ししてある。エリオットが幸せになるならと了承していただいたよ?それで城の貴族統括部署にも届けを出して、正式に承認して貰ったんだ」
「へっ…正式に?ということは、正真正銘婚約者同士ってコト!?」
そう言って呆然とする僕に坊ちゃまは、ハハハッと笑いながら抱き着いて、そのままベッドにボヨヨンとダイブする。そして…
「チュッ…チュ、っ」
それから心から安心したように口づけを繰り返した。それから坊ちゃまの熱い手が、服の隙間から差し入れられる。その手が感触を確かめるように僕の身体を弄り、そして敏感なところを撫であげる。
「アアッ!あっ…あぁ」
官能の声を上げ、僕も!と坊ちゃまの上衣を震える指で脱がせる。一糸まとわぬ姿になった二人は、嬉しさで泣きながらお互いの身体の温かさを感じあった。もう再び離れることなど出来ない…そうなれば途端に心の臓が止まるだろう。冗談などではなくて、本当そうなるだろうと感じながら…
汗ばむ身体に熱い吐息…まるで一つの身体になったかのように溶け合う。ただ一つのところ以外は、もう既に熟知しているその身体。どこを触ったら感じて、ここをこうしたらまるで魚のように跳ねるのかを…
そして確信する。君は私の半身だね?お互いが同じことを思いながら、愛する二人は二つで一つの魂なのだと感じる。一つでは完全ではなくて、二つでやっと心が満たされるんだ!無くてはならない相手…その奇跡のような偶然の出会いに感謝する。
「愛してるエリオット…」
「愛してます坊ちゃま…ジュリアス!」
もはやこの世界はゲームでも何でもなくて、僕達が生きる世界だ。それには他人の思惑も意志も関係ない。お互いの気持ちだけ…
今後もしかして、またゲームの中だということを疑う時が来るかも知れない。だけど僕は、自信がある!だって僕達は愛し愛されているから…そのことはこの世界のただ一つの真実だ。それは未来永劫変わることはなくて、お互いの存在が生きる意味だからね!
それからいつもの日常に戻り半年が過ぎた。坊ちゃまは首席で学園を卒業し、それと同時に公爵を継いだ。今では立派なエドモア公爵様だ!前から実権は坊ちゃまだったけどね?
前公爵様は結局仲が悪い夫人と離婚して、大好きな父上の元へ行きたいとロウヘンボクへと旅立った。それでいいと思う!無理して一緒にいるよりも、お互いの幸せを今からだって探したらいいと思うんだ。
そしていよいよ明日、僕と坊ちゃまの結婚式が執り行われる。
「死んだのかと思ったよ?元気そうでなにより~」
「お前は馬鹿か!一人で行くなど無謀だろ?」
「エリオットって前から警戒心が薄いのよ!今後気を付けなさいよね」
エドモア公爵家に帰って来た途端、凄い言われようだ…
ルグル村を出発しておよそ二日、何の問題もなく進んでこの王都までやって来た。道中二人きりの馬車の中…あっ、御者席にはアルベルトさんがいるけどね?それは全く気にせずに僕と坊ちゃまは、会えなかった一年という時を埋めるように、いちゃついたりこれまでのことを話しりした。僕はお料理をしたりジャッキーと遊んだりのごく普通の生活をしていたのと比べて、坊ちゃまはやはりというか凄く大変だったのだと知る。それでも僕を悲しませないように、変わらず学園に通ってくれていたなんて…なんて努力家さんなんだろう?そのことに深く感謝した。
でも、本当に良かった!もしも休学していたとしたら、卒業も延びてしまう。それでは知り合った同級生達とは同時に卒業出来なくなってしまうし…寂しいだろうなって。そういえば、トムさんや他の仲良くしてくれた使用人達はどうしてるだろうか?心配しただろうな…そう思って感傷に浸っていると…
「コラッ!聞いてるのか?」
「何よ?坊ちゃまのことはともかく、今学園のことを考えてんじゃないわよ!」
またまた酷い言われよう。えっ…また口に出ていたのかなぁ?それから公爵家の皆さんからバシバシと手荒い歓迎を受けて…コレコレ!公爵家の使用人といえばコレだよね?手荒さが愛情の証つーか!
そのことがちょっぴり懐かしくて、へへへっと笑っていると…白くてワサワサとしたものが視界に入って…
──何だ?この白いポンポン…白組かぁ~っての!チアリーディングぅ?なんて思ってよく見ると…
「あっ!御茶ノ水~」
違った、違った…スミンさんだったわ!久しぶりのスミンさん…前は魅惑的な御髪がケサランパサランになっていたけど…祝!復活~そのことに安心して、笑顔で見つめる。
「前から思ってたけど、その御茶ノ水って何よ?だけど、無事で本当に良かった…心配したよエリオット。おかえり!」
そう言って涙ぐむスミンさん。僕もそれにもらい泣きして、思わずスミンさんに抱き着く。相変わらず頬にモフモフが触れてくすぐったい!僕のマッシュルームぅ♡
それにやはりというか、後ろからコラッ!と坊ちゃまの声が聞こえたけど、平常運転だ!
それから皆と一緒に公爵邸へと入ると、僕は目が点になる。僕の使用人部屋が無くなっていて、荷物は坊ちゃまと同じ部屋に移動されていた。えっ…これ、大丈夫なの?
「坊ちゃま!僕の荷物がこんなところに?キラキラの坊ちゃまの御衣装の隣には、余りにもそぐわないんじゃぁ…」
「いいから、いいから。心配だから一緒な部屋にしょ?もう正式な婚約者だからいいんじゃないかな」
──もしもし?正式…では無かったようなぁ。婚約指輪は貰ったけど、知っているのは公爵家の人達だけだったよね?そう思って困惑していると…
「前にアノー伯爵代理にお会いした時、もう全てお話ししてある。エリオットが幸せになるならと了承していただいたよ?それで城の貴族統括部署にも届けを出して、正式に承認して貰ったんだ」
「へっ…正式に?ということは、正真正銘婚約者同士ってコト!?」
そう言って呆然とする僕に坊ちゃまは、ハハハッと笑いながら抱き着いて、そのままベッドにボヨヨンとダイブする。そして…
「チュッ…チュ、っ」
それから心から安心したように口づけを繰り返した。それから坊ちゃまの熱い手が、服の隙間から差し入れられる。その手が感触を確かめるように僕の身体を弄り、そして敏感なところを撫であげる。
「アアッ!あっ…あぁ」
官能の声を上げ、僕も!と坊ちゃまの上衣を震える指で脱がせる。一糸まとわぬ姿になった二人は、嬉しさで泣きながらお互いの身体の温かさを感じあった。もう再び離れることなど出来ない…そうなれば途端に心の臓が止まるだろう。冗談などではなくて、本当そうなるだろうと感じながら…
汗ばむ身体に熱い吐息…まるで一つの身体になったかのように溶け合う。ただ一つのところ以外は、もう既に熟知しているその身体。どこを触ったら感じて、ここをこうしたらまるで魚のように跳ねるのかを…
そして確信する。君は私の半身だね?お互いが同じことを思いながら、愛する二人は二つで一つの魂なのだと感じる。一つでは完全ではなくて、二つでやっと心が満たされるんだ!無くてはならない相手…その奇跡のような偶然の出会いに感謝する。
「愛してるエリオット…」
「愛してます坊ちゃま…ジュリアス!」
もはやこの世界はゲームでも何でもなくて、僕達が生きる世界だ。それには他人の思惑も意志も関係ない。お互いの気持ちだけ…
今後もしかして、またゲームの中だということを疑う時が来るかも知れない。だけど僕は、自信がある!だって僕達は愛し愛されているから…そのことはこの世界のただ一つの真実だ。それは未来永劫変わることはなくて、お互いの存在が生きる意味だからね!
それからいつもの日常に戻り半年が過ぎた。坊ちゃまは首席で学園を卒業し、それと同時に公爵を継いだ。今では立派なエドモア公爵様だ!前から実権は坊ちゃまだったけどね?
前公爵様は結局仲が悪い夫人と離婚して、大好きな父上の元へ行きたいとロウヘンボクへと旅立った。それでいいと思う!無理して一緒にいるよりも、お互いの幸せを今からだって探したらいいと思うんだ。
そしていよいよ明日、僕と坊ちゃまの結婚式が執り行われる。
526
お気に入りに追加
1,440
あなたにおすすめの小説
推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!
華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?
七角@中華BL発売中
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。
その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー?
十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。
転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。
どんでん返しからの甘々ハピエンです。

【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?
北川晶
BL
BLゲームじゃないのに、嫌われから溺愛って嘘でしょ? 不遇の若き王×モブの、ハートフル、ファンタジー、ちょっとサスペンスな、大逆転ラブです。
乙女ゲーム『愛の力で王(キング)を救え!』通称アイキンの中に異世界転生した九郎は、顔の見えない仕立て屋のモブキャラ、クロウ(かろうじて名前だけはあったよ)に生まれ変わる。
子供のときに石をぶつけられ、前世のことを思い出したが。顔のないモブキャラになったところで、どうにもできないよね? でも。いざ、孤島にそびえる王城に、王の婚礼衣装を作るため、仕立て屋として上がったら…王を助ける人がいないんですけどぉ?
本編完結。そして、続編「前作はモブ、でも続編は悪役令嬢ポジなんですけどぉ?」も同時収録。
出来損ないのオメガは貴公子アルファに愛され尽くす エデンの王子様
冬之ゆたんぽ
BL
旧題:エデンの王子様~ぼろぼろアルファを救ったら、貴公子に成長して求愛してくる~
二次性徴が始まり、オメガと判定されたら収容される、全寮制学園型施設『エデン』。そこで全校のオメガたちを虜にした〝王子様〟キャラクターであるレオンは、卒業後のダンスパーティーで至上のアルファに見初められる。「踊ってください、私の王子様」と言って跪くアルファに、レオンは全てを悟る。〝この美丈夫は立派な見た目と違い、王子様を求めるお姫様志望なのだ〟と。それが、初恋の女の子――誤認識であり実際は少年――の成長した姿だと知らずに。
■受けが誤解したまま進んでいきますが、攻めの中身は普通にアルファです。
■表情の薄い黒騎士アルファ(攻め)×ハンサム王子様オメガ(受け)
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト
しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。
飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。
前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる……
*主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。
*他サイト様にも投稿している作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる