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第十章・不思議の国のエリィ
82・その名を聞くと
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その匂いを辿ろうと、感覚を研ぎ澄ませようとした。だけどこれだけの人の中、それは容易ではなくて…
──誰だ?そして、どこにいる?
踊りの輪の中にいて、身動きも出来ずにキョロキョロする。焦る気持ちとは裏腹に、この場は沢山の匂いに溢れている。
人々の体臭に、踊りで巻き上げられた土埃。焼けた肉に、飲まずとも酔っぱらってしまいそうな酒の匂い。その数々が、その懐かしい匂いを掻き消してしまう。そしていつしか、消えてなくなった…
「ああ、分かんなくなっちゃったか」
そう呟いてガックリと肩を落とす。すると、誰かが僕の肩をポン!と叩いて…
「エリイにジェイ!踊りに参加していたんだね?」
いつの間にか踊りの輪から飛び出ていた僕達。それで気付いたようで、ルーカスは声をかけて来た。少し酔っ払らっているのか、顔が真っ赤だ。
「はい、楽しませていただきました!このアジャンタは凄く活気があって良い街ですね。それに皆さん、この地に深い愛情があって…この祭を見て本当にそう思います」
僕が笑顔でそう言うと、ルーカスは嬉しそうな顔をする。だけど次の瞬間…えーっと、何で?
「グシュッ。そうなんだ…ぐあっ、ハァ…愛情が、溢れ、てんだよ!うわぁ~っ」
ルーカスがそう言って、その後何故だかオイオイと泣き崩れる。
──おいおい…溢れてんのは、あんたの涙でしょ?泣き上戸って、凄く迷惑なんだよなぁ。
それには若干引きぎみの僕。そして何を思ったのかルーカスは、突然僕にガバっと抱きついた…はあっ?
「な、なんだぁ?おい!ヤメロよ~」
「ルーカスさん、おやめください!兄を早く離して下さい」
──ゾゾゾゾーッ!っと、悪寒が走った。
ルーカスに抱き締められた瞬間、得も言われぬ感覚が…酒臭いからなのか、ルーカス本人に拒否反応なのかは分からない。そして、その初めての感覚に狼狽える。ジェイとだと全然大丈夫なのに、他人だからかな?意外に僕は潔癖なんだろうか…とを考えていると、またまたルーカスが、あろう事が僕の頭を撫でてきて…キャーッ!ヤメてぇ~
「あ、痛っ!」
わざとではないだろうが、その手が頭の傷に触れる。半年前は目立つものだったそれも、今では少し髪も伸びて殆ど見えなくなっている。ただ傷のせいで分け目が浮いて見えるというか、寝癖みたいに見えて困ってるくらい?
知らない人から見たら、いつも寝癖がついてる人だと思われてるかもね…
「兄さんは少し前に頭を怪我したんです。だから頭を撫でるのも禁止です!」
そう怒った顔でルーカスに伝えるジェイ。一応ルーカスって貴族だから、怒って大丈夫かなと心配になるが…だいぶ酒を飲んでいるから覚えてないか?
「そうなの?ごめんね!それお詫びにあげるから」
ふらふらと千鳥足のルーカスが、意外にも素直に謝る。もーう!仕方ないな…と思っていると、ポケットから何かを出して、僕の手に無理矢理それを握らせる。何だ?と、その手を開いてみると…
「ま、魔法石!そんな無造作にポケットに突っ込んでおく…ものなの?」
僕の手の平には、オレンジの魔法石が乗っている。親指の先ほどの小さいものだが、これだけでも相当な金額がする筈だけど…
「どうぞどうぞ、気分がいいから、あげちゃう!」
あげちゃう!…じゃないでしょうよ?これ一つで、確か僕達の家くらい買えるんじゃないかな?まあ、くれるってーんなら貰っておく?ジェイのためにも…とその気になってくる。それに、抱き着いたことへの慰謝料だと思っておこう!
その予想外のプレゼントにシメシメとポケットに突っ込んだ。それから目の前のルーカスを見ると、何か不思議な感覚に襲われる。
──この人、今日初めて会った筈なんだけど、見てるとなんか腹立つんだよねぇ。酒癖は悪いけど、基本的には貴族だと偉そうにしていないし、いい人だと思うんだけど…もしかして、何処かで会ったことがあったんだろうか?
そう思ってルーカスをマジマジと見ていると、そのルーカスは突然顎に手をやりながら、何か悩みだして…
「そういえばさっき、頭を怪我した貴族の男性を知らないかと、商会を訪ねて来た人がいたなぁ…まさか違うよね?」
そう問われてドキッとする。貴族?…だったら僕とは関係はない。なのに、過剰に反応してしまった。どうしてなのかは自分でも分からない!だけど、違う…よね?
「その方が探されてるのは貴族でしょう?それなら絶対に違います。ちなみに、その聞いてきた人はどこに…」
突然ジェイが、焦った様子で質問する。それに僕は面食らって…
「うん?ああ、あの人なら祭を見てみたいって。その辺にいるんじゃないのかな…」
その答えに、ジェイは辺りをキョロキョロと見回した。僕はそんな行動をしだしたジェイを不思議そうに見ていた。どうしたんだろう?と思いながら…。ジェイはかなり落ち着かない様子で、何故かガタガタと震えだして…
「ジ、ジェイ?具合が悪いの?早く帰らないと!」
僕は顔色の悪いジェイを連れて、歩き出す。かなり汗をかいていたし、今は逆にそれで身体が冷えてしまったのかも知れない。温かいお湯に浸かって温めないと!そう思って…
宿屋に帰り着いた僕達は、行水用の湯を頼んで自分達の部屋へと入った。それからタライにたっぷりの湯を張って貰って…
顔が青いままのジェイに、その湯に浸かるように促した。ジェイは力無く頷いて、素直に洗面所へと入って行く。
それに少しだけホッとすると、ドッと疲れが襲ってくる。早朝からの移動の疲れと、踊った疲れがいっぺんに襲ってきて。それで、僕はちょっとだけだからとベッドに寝転んだ。だけどちょっとの筈が、いつの間にか寝てしまって…
突如聞こえる、ガタガタという音にハッと目が覚める。どのくらい時間が経ったのだろう?それ程経ってはいない筈だけど…
そう思ってパチっと目を開くと、少し離れたところにあるソファにジェイが腰掛けているのが見える。寛いだ様子で、ソファに身体を預けるように座って。それに安心して、湯冷めするから早くベッドに入るように言わなくては…と思っていると…
「ジュリアスが来たのか…?アイツ、諦めてはいないのだろうか…」
そう微かに呟くジェイ。その言葉を聞いた瞬間、僕の胸はドクン!と跳ねた。な、何故だろう?
──ジュリアス…その名を聞くと、僕の胸が早鐘を打つ。ドクドク…ドクドク。なんだ、これ…
──誰だ?そして、どこにいる?
踊りの輪の中にいて、身動きも出来ずにキョロキョロする。焦る気持ちとは裏腹に、この場は沢山の匂いに溢れている。
人々の体臭に、踊りで巻き上げられた土埃。焼けた肉に、飲まずとも酔っぱらってしまいそうな酒の匂い。その数々が、その懐かしい匂いを掻き消してしまう。そしていつしか、消えてなくなった…
「ああ、分かんなくなっちゃったか」
そう呟いてガックリと肩を落とす。すると、誰かが僕の肩をポン!と叩いて…
「エリイにジェイ!踊りに参加していたんだね?」
いつの間にか踊りの輪から飛び出ていた僕達。それで気付いたようで、ルーカスは声をかけて来た。少し酔っ払らっているのか、顔が真っ赤だ。
「はい、楽しませていただきました!このアジャンタは凄く活気があって良い街ですね。それに皆さん、この地に深い愛情があって…この祭を見て本当にそう思います」
僕が笑顔でそう言うと、ルーカスは嬉しそうな顔をする。だけど次の瞬間…えーっと、何で?
「グシュッ。そうなんだ…ぐあっ、ハァ…愛情が、溢れ、てんだよ!うわぁ~っ」
ルーカスがそう言って、その後何故だかオイオイと泣き崩れる。
──おいおい…溢れてんのは、あんたの涙でしょ?泣き上戸って、凄く迷惑なんだよなぁ。
それには若干引きぎみの僕。そして何を思ったのかルーカスは、突然僕にガバっと抱きついた…はあっ?
「な、なんだぁ?おい!ヤメロよ~」
「ルーカスさん、おやめください!兄を早く離して下さい」
──ゾゾゾゾーッ!っと、悪寒が走った。
ルーカスに抱き締められた瞬間、得も言われぬ感覚が…酒臭いからなのか、ルーカス本人に拒否反応なのかは分からない。そして、その初めての感覚に狼狽える。ジェイとだと全然大丈夫なのに、他人だからかな?意外に僕は潔癖なんだろうか…とを考えていると、またまたルーカスが、あろう事が僕の頭を撫でてきて…キャーッ!ヤメてぇ~
「あ、痛っ!」
わざとではないだろうが、その手が頭の傷に触れる。半年前は目立つものだったそれも、今では少し髪も伸びて殆ど見えなくなっている。ただ傷のせいで分け目が浮いて見えるというか、寝癖みたいに見えて困ってるくらい?
知らない人から見たら、いつも寝癖がついてる人だと思われてるかもね…
「兄さんは少し前に頭を怪我したんです。だから頭を撫でるのも禁止です!」
そう怒った顔でルーカスに伝えるジェイ。一応ルーカスって貴族だから、怒って大丈夫かなと心配になるが…だいぶ酒を飲んでいるから覚えてないか?
「そうなの?ごめんね!それお詫びにあげるから」
ふらふらと千鳥足のルーカスが、意外にも素直に謝る。もーう!仕方ないな…と思っていると、ポケットから何かを出して、僕の手に無理矢理それを握らせる。何だ?と、その手を開いてみると…
「ま、魔法石!そんな無造作にポケットに突っ込んでおく…ものなの?」
僕の手の平には、オレンジの魔法石が乗っている。親指の先ほどの小さいものだが、これだけでも相当な金額がする筈だけど…
「どうぞどうぞ、気分がいいから、あげちゃう!」
あげちゃう!…じゃないでしょうよ?これ一つで、確か僕達の家くらい買えるんじゃないかな?まあ、くれるってーんなら貰っておく?ジェイのためにも…とその気になってくる。それに、抱き着いたことへの慰謝料だと思っておこう!
その予想外のプレゼントにシメシメとポケットに突っ込んだ。それから目の前のルーカスを見ると、何か不思議な感覚に襲われる。
──この人、今日初めて会った筈なんだけど、見てるとなんか腹立つんだよねぇ。酒癖は悪いけど、基本的には貴族だと偉そうにしていないし、いい人だと思うんだけど…もしかして、何処かで会ったことがあったんだろうか?
そう思ってルーカスをマジマジと見ていると、そのルーカスは突然顎に手をやりながら、何か悩みだして…
「そういえばさっき、頭を怪我した貴族の男性を知らないかと、商会を訪ねて来た人がいたなぁ…まさか違うよね?」
そう問われてドキッとする。貴族?…だったら僕とは関係はない。なのに、過剰に反応してしまった。どうしてなのかは自分でも分からない!だけど、違う…よね?
「その方が探されてるのは貴族でしょう?それなら絶対に違います。ちなみに、その聞いてきた人はどこに…」
突然ジェイが、焦った様子で質問する。それに僕は面食らって…
「うん?ああ、あの人なら祭を見てみたいって。その辺にいるんじゃないのかな…」
その答えに、ジェイは辺りをキョロキョロと見回した。僕はそんな行動をしだしたジェイを不思議そうに見ていた。どうしたんだろう?と思いながら…。ジェイはかなり落ち着かない様子で、何故かガタガタと震えだして…
「ジ、ジェイ?具合が悪いの?早く帰らないと!」
僕は顔色の悪いジェイを連れて、歩き出す。かなり汗をかいていたし、今は逆にそれで身体が冷えてしまったのかも知れない。温かいお湯に浸かって温めないと!そう思って…
宿屋に帰り着いた僕達は、行水用の湯を頼んで自分達の部屋へと入った。それからタライにたっぷりの湯を張って貰って…
顔が青いままのジェイに、その湯に浸かるように促した。ジェイは力無く頷いて、素直に洗面所へと入って行く。
それに少しだけホッとすると、ドッと疲れが襲ってくる。早朝からの移動の疲れと、踊った疲れがいっぺんに襲ってきて。それで、僕はちょっとだけだからとベッドに寝転んだ。だけどちょっとの筈が、いつの間にか寝てしまって…
突如聞こえる、ガタガタという音にハッと目が覚める。どのくらい時間が経ったのだろう?それ程経ってはいない筈だけど…
そう思ってパチっと目を開くと、少し離れたところにあるソファにジェイが腰掛けているのが見える。寛いだ様子で、ソファに身体を預けるように座って。それに安心して、湯冷めするから早くベッドに入るように言わなくては…と思っていると…
「ジュリアスが来たのか…?アイツ、諦めてはいないのだろうか…」
そう微かに呟くジェイ。その言葉を聞いた瞬間、僕の胸はドクン!と跳ねた。な、何故だろう?
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