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第八章・アノー家の人達
58・新学期
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「まあね…仲良きことはなんたらって名言あるくらいだからさ、あれ?あれって友情のことだっけな?」
そう気付いて考えるけどイマイチ分かんないや、前世の時だからね。
あれから王都へと帰路につき、思いのほか帰り着くまでに時間がかかった僕達は、慌てて新学期に向けた準備に取り掛かった。それと同時にアルベルトさんにジョナサンのことを頼んで、もう一度気持ちを確認して欲しいって。それから先は、ジョナサンと大旦那様に任せる他はないだろう。僕はほんの少し背中を押してあげるだけだ。だけどさ、そもそも僕に会いにきたのはなんでだろ?何か伝えたいことでもあったのかな?僕だって会いたいけど、今回の休みはとにかく時間が無かったから。
そして王都学園に戻った僕と坊ちゃまは、いつのも日常に戻った…はずなんだけどね、新学期早々にある人物の訪問を受けている…目の前には何故か、イーライとガイ君が。
坊ちゃまが学園へと向かった後、さあ掃除!とお仕事に勤しんでいた僕は、突然面会の人が来ていると呼び出された。誰だろう?とロビーまで降りてみると…その意外な人の顔が見えて面食らった。何故ここに?って。
聞けば今日は試験休みで、二人して王都学園までやって来たんだと…
何だが分からないけどふーん?と、取り敢えず連れ立ってメイドカフェへとやって来た。
「お兄さんのお陰で、我がセデナス領も生まれ変わりそうです!兄のシュテファンが俄然ヤル気になりまして、春からのハーブ量産体制に備えて頑張っています。あの細かく書かれたハーブ図鑑もありがとうございました!我が家の家宝にしますから~」
ガイ君はいつになくテンションが高い。でも良かった~僕の提案を実践してくれているようだ。ガイ君のお兄様のシュテファン様は、元々近衛騎士団で支部長を務めていたお方だ。荒くれ者をまとめ上げる手腕とキレキレの頭脳で、難なく事業の方も軌道に乗せてくれるだろう。
「それは良かったね!なにか分からないことがあったらいつでも聞いてね。それと…二人で来たということは、告白…成功したんだと思ってもいいのかな?」
それにガイ君は、ガハハハッと盛大に笑って僕の肩をバンバン叩いてくる。痛てぇよ!馬鹿力~もーう…
「ごめんなさい!嬉しくてつい…。今日はそのご報告も兼ねて来てみましたぁ」
ガイ君はそう言って、明るく笑う。おいおい…嬉しそうだなぁ~。それに比べてイーライは俯いたままだけど?
「イーライ、どうした?喜んでいいんだぞ。これからは二人で手を取り合って生きていきなさい!何事にも感謝を忘れずにな」
僕は敢えて厳しめにそう言った。イーライはどうも昔から喧嘩っ早い。先日の交流戦の一件で分かったのは、どうも厳しく言った方が心に響くということ。だから…兄として、お小言を言うのも大事だろ?それにイーライは、ちょっとだけ口を尖らせながら…
「わ、分かった。あ、兄上の言うことを…聞いてやっても、いいけど!」
あれ…何だかイーライ、気に入らなかったのかな?子供に言うように言っちゃったから気を悪くした?そう思ってイーライの方に顔を向けると、何だか頰を膨らませている。
「あ、ありがとう…兄上」
──へっ?頰を膨らませながら、ありがとうって言う感じ…なんてツンデレ~!!
僕にはツンデレ属の弟がいたのか…ちと萌えるっ~
僕はそんなイーライの行動に想像以上に可愛いとか思っちゃって、胸にぐっと手を当てる。なんかさ、心持ちが変わると見え方も変わる…ってホントだね!前まで全く気付かなかったイーライの性格が見えてきて、全然腹立たないやぁ。
「それでイーライは第一騎士団への入団が決まったのかな?入団テストがあったって聞いたけど…」
ずっとどうなったのか気になっていた。それによって二人の関係性が変わってしまうから。この前はロミオとジュリエットで、ちょっと素敵!なんて思っちゃったけと、近衛と第一にそれぞれ別れた場合、忙しさですれ違いや結婚時期が遅くなるなどありそうだ。だからちょっと心配なんだよね…
「それが…マクベス大公殿下が口添え下さいまして、二人共…近衛騎士団に入団が決まりましたー!」
「おおーっ!スゲェ~」
それからはヤンヤヤンヤの大喝采だ。大公様、ナイスアシスト~!三人で無理矢理ウェーブしちゃったもんね!
「それは凄く有り難いね!大公殿下に足向けて寝られないよ?それでやっと安心したなぁ」
僕がそう興奮気味に言うと、ガイ君の目がウルウルになっている。その隣に座るイーライも
そんなガイ君を見ながら微笑んで、同じように目の端をキラリと光らせていた。そんな微笑ましい二人をウンウン頷いて見ていた僕が、そういえば…と思い出す。
「あのさ、今日…あの子、うんとジェイ!ジェイとは会って帰らないの?少し待ってれば授業も終わると思うよ。二人のお付き合いの報告するのは、恥ずかしいからしない感じ~?」
せっかくここまで二人でやって来た。ジェイとイーライは、僕とは違って両親どちらとも同じな兄弟だ。ガイ君と付き合う報告はともかく、ここまで来たんだから会ったらいいのに…と思ったんだけど。そう思ってイーライの顔を覗き込むと、何故か表情は暗い。うん?どうした…
「兄上、実はジェイとは長く会っていないんだ。」
はぁっ?長く…会っていないだと!?それってどういう意味なのか…
そして僕は思い出す…イーライの後ろに隠れているジェイを。あんなに仲が良かった兄弟が、会ってないだって?そして急に気になってくる…僕がアノー家を飛び出してから、残された人達はどうしていたのかと…
そう気付いて考えるけどイマイチ分かんないや、前世の時だからね。
あれから王都へと帰路につき、思いのほか帰り着くまでに時間がかかった僕達は、慌てて新学期に向けた準備に取り掛かった。それと同時にアルベルトさんにジョナサンのことを頼んで、もう一度気持ちを確認して欲しいって。それから先は、ジョナサンと大旦那様に任せる他はないだろう。僕はほんの少し背中を押してあげるだけだ。だけどさ、そもそも僕に会いにきたのはなんでだろ?何か伝えたいことでもあったのかな?僕だって会いたいけど、今回の休みはとにかく時間が無かったから。
そして王都学園に戻った僕と坊ちゃまは、いつのも日常に戻った…はずなんだけどね、新学期早々にある人物の訪問を受けている…目の前には何故か、イーライとガイ君が。
坊ちゃまが学園へと向かった後、さあ掃除!とお仕事に勤しんでいた僕は、突然面会の人が来ていると呼び出された。誰だろう?とロビーまで降りてみると…その意外な人の顔が見えて面食らった。何故ここに?って。
聞けば今日は試験休みで、二人して王都学園までやって来たんだと…
何だが分からないけどふーん?と、取り敢えず連れ立ってメイドカフェへとやって来た。
「お兄さんのお陰で、我がセデナス領も生まれ変わりそうです!兄のシュテファンが俄然ヤル気になりまして、春からのハーブ量産体制に備えて頑張っています。あの細かく書かれたハーブ図鑑もありがとうございました!我が家の家宝にしますから~」
ガイ君はいつになくテンションが高い。でも良かった~僕の提案を実践してくれているようだ。ガイ君のお兄様のシュテファン様は、元々近衛騎士団で支部長を務めていたお方だ。荒くれ者をまとめ上げる手腕とキレキレの頭脳で、難なく事業の方も軌道に乗せてくれるだろう。
「それは良かったね!なにか分からないことがあったらいつでも聞いてね。それと…二人で来たということは、告白…成功したんだと思ってもいいのかな?」
それにガイ君は、ガハハハッと盛大に笑って僕の肩をバンバン叩いてくる。痛てぇよ!馬鹿力~もーう…
「ごめんなさい!嬉しくてつい…。今日はそのご報告も兼ねて来てみましたぁ」
ガイ君はそう言って、明るく笑う。おいおい…嬉しそうだなぁ~。それに比べてイーライは俯いたままだけど?
「イーライ、どうした?喜んでいいんだぞ。これからは二人で手を取り合って生きていきなさい!何事にも感謝を忘れずにな」
僕は敢えて厳しめにそう言った。イーライはどうも昔から喧嘩っ早い。先日の交流戦の一件で分かったのは、どうも厳しく言った方が心に響くということ。だから…兄として、お小言を言うのも大事だろ?それにイーライは、ちょっとだけ口を尖らせながら…
「わ、分かった。あ、兄上の言うことを…聞いてやっても、いいけど!」
あれ…何だかイーライ、気に入らなかったのかな?子供に言うように言っちゃったから気を悪くした?そう思ってイーライの方に顔を向けると、何だか頰を膨らませている。
「あ、ありがとう…兄上」
──へっ?頰を膨らませながら、ありがとうって言う感じ…なんてツンデレ~!!
僕にはツンデレ属の弟がいたのか…ちと萌えるっ~
僕はそんなイーライの行動に想像以上に可愛いとか思っちゃって、胸にぐっと手を当てる。なんかさ、心持ちが変わると見え方も変わる…ってホントだね!前まで全く気付かなかったイーライの性格が見えてきて、全然腹立たないやぁ。
「それでイーライは第一騎士団への入団が決まったのかな?入団テストがあったって聞いたけど…」
ずっとどうなったのか気になっていた。それによって二人の関係性が変わってしまうから。この前はロミオとジュリエットで、ちょっと素敵!なんて思っちゃったけと、近衛と第一にそれぞれ別れた場合、忙しさですれ違いや結婚時期が遅くなるなどありそうだ。だからちょっと心配なんだよね…
「それが…マクベス大公殿下が口添え下さいまして、二人共…近衛騎士団に入団が決まりましたー!」
「おおーっ!スゲェ~」
それからはヤンヤヤンヤの大喝采だ。大公様、ナイスアシスト~!三人で無理矢理ウェーブしちゃったもんね!
「それは凄く有り難いね!大公殿下に足向けて寝られないよ?それでやっと安心したなぁ」
僕がそう興奮気味に言うと、ガイ君の目がウルウルになっている。その隣に座るイーライも
そんなガイ君を見ながら微笑んで、同じように目の端をキラリと光らせていた。そんな微笑ましい二人をウンウン頷いて見ていた僕が、そういえば…と思い出す。
「あのさ、今日…あの子、うんとジェイ!ジェイとは会って帰らないの?少し待ってれば授業も終わると思うよ。二人のお付き合いの報告するのは、恥ずかしいからしない感じ~?」
せっかくここまで二人でやって来た。ジェイとイーライは、僕とは違って両親どちらとも同じな兄弟だ。ガイ君と付き合う報告はともかく、ここまで来たんだから会ったらいいのに…と思ったんだけど。そう思ってイーライの顔を覗き込むと、何故か表情は暗い。うん?どうした…
「兄上、実はジェイとは長く会っていないんだ。」
はぁっ?長く…会っていないだと!?それってどういう意味なのか…
そして僕は思い出す…イーライの後ろに隠れているジェイを。あんなに仲が良かった兄弟が、会ってないだって?そして急に気になってくる…僕がアノー家を飛び出してから、残された人達はどうしていたのかと…
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