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第六章・僕のいる場所
43・君ってやつは
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──もしもし、何がどうしちゃってるって?
そう考えて、閉じてる瞼の中では眼球がグルングルンしてしまってる。「僕の」って言ってたけど、そういう意味なのか…?
寝たフリをしながら戸惑いまくっている私の気持ちなど知らないエリオットは、行動をどんどんエスカレートさせる。
こめかみや首筋をクンクンしたかと思えば、何故だか二の腕をムンズと掴んで、私の脇の下を露わにさせる。もう無理だ!そう思って薄っすらと目を開けると…そこに恍惚の表情をしながら、脇の匂いを嗅ぐエリオットが!
そして、「レベチ!レベチ!」と意味不明な言葉を叫んでいる。だから一体、何やってる?それにこんなに騒いでいるのに、私が起きてない訳ないだろうと思わない?
それからあろう事か、そのカモシカみたいな足を私の足にスリスリさせる。シルクってさ、薄いから刺激がダイレクトな訳よ?分かってるのかなぁ~もう限界…だけど、うつ伏せで良かった~!
だけど待て!何か当たってないか…?こ、これは!?
そのことに呆然として身動き出来ないでいると、「ダメだ…オカズ…」と呟くエリオット。オカズって?
それからエリオットは弾かれたように私から離れ、「怖っわぁ~」と前を押さえながらバスルームへと消えていく。
「…………。……………。」
──怖いのは、私の方だと思うが?
時々というか、頻繁にエリオットは意味の分からない言葉を吐く。それは?と聞いてみたい気持ちもあるけれど、そうしたらきっとその後は、言葉を選んで言うようになってしまうだろう。それは絶対に避けたい!私の前ではいつも自然体でいて欲しいから…
だけど今回は参った…自分で言うのも何だが、私は常に冷静な人間だ。それがエリオットにだけは振り回されている自覚がある。惚れた弱みといわれればそうなんだが、そのエリオットの行動の根底には、いつだって私への愛情があるから。でも、実はその愛情がどういう種類のものなのか分からずにいた。だけど今日は…
これは私のこと、好きだろう?性的な意味も含めて。
私は意外なところから降って湧いた幸運に、逃してはなるまいとあの計画を進める決心をした。
──待っていてくれ!エリオット…だけどその前にこれを処理しなくては!
それから私は、いつバスルームから戻ってくるとも知れないエリオットにドキドキしながら、昂った自分のものを握って上へ下へと動かし始めた。
+++++
「坊ちゃま昨日はすみませんでした。まさかあれから朝まで寝てしまうとは!」
僕がバスルームから出ると、既に坊ちゃまは目覚められていて身支度を整えられていた。それに慌てていつもの従者用の制服を着て、朝食をとダイニングルームへとやって来た。
昨日頑張ったから今日は特別だよ?と共に朝食を取らせていただくことに…。メイドのルーシーさんが熱々の紅茶を注いでくれて、それが喉に染み渡る。それから焼き立ての白パンと野菜たっぷりのスープを流し込むと、公爵邸に帰って来たんだなぁ~と落ち着いて来た。すると坊ちゃまが…
「ルーシー、父上は相変わらず忙しいのだろう?ならば家令のロベルトに、近々大事な話をするから父上との時間を取れるように調整して欲しいと伝えてくれるかい?そうだな…学園に帰る前の日でいいよ」
紅茶を飲みながら静かにそう言う坊ちゃまに、慌ててルーシーさんは返事をする。
「…はい坊ちゃま!そのようにロベルトさんに伝えます。差し支えなければどのような…」
大事な…話?それはルーシーさんじゃなくても僕だって興味があるけど…
「それは詮索無用だ!用向きのことは事前にロベルトには伝えずに、直接父上だけにお話しするから」
どうやら坊ちゃまは、それ以上は話さないおつもりだ。大事な…って、将来にかかわるものなのかな?僕は途端に心配になった…まだ学園の一年生だが、三年なんてものはあっという間だ。それから…のお話?
そう言われたルーシーさんは、余計なことを申し上げました…と深々と頭を下げる。それから、まだロベルトが屋敷にいるようなら伝えてくれるかい?と言う坊ちゃまに、早速…と言ってダイニングルームから出て行った。そしてここに残された二人…すると突然、坊ちゃまが思い出したように僕に声を掛けた。
「新しい年を迎えるのは、ここじゃない。明後日、領地の方に向かおうと思う」
──り、領地に?
エドモア公爵領は、ここから馬車で二日ほど移動したところにある。明日出発したとしたら新年を迎える日までには着くことが可能だけど…普通行くのは暖かくなる春や夏休暇の時だ。だから雪が降るような冬になってからは向かわない。それに休みも、たった三週間ですけど?往復四日かけてワザワザ行く理由が思いつかない。ポカンとした顔で見つめる僕に対して坊ちゃまは、ふふふっと笑うだけだ。坊ちゃまと旅行に出かけるのは嬉しいが、一つだけ僕には心配事があるんだ…
エドモア公爵家の領地、ロウヘンボクには本邸が建っており、そこには今でも大ボスのようなお方が住まわれている。それは先代のエドモア公爵様である坊ちゃまのお祖父様だ。だけど…僕の天敵とも言えるその方のお顔を思い浮かべて、何やら嫌な予感がした…
そう考えて、閉じてる瞼の中では眼球がグルングルンしてしまってる。「僕の」って言ってたけど、そういう意味なのか…?
寝たフリをしながら戸惑いまくっている私の気持ちなど知らないエリオットは、行動をどんどんエスカレートさせる。
こめかみや首筋をクンクンしたかと思えば、何故だか二の腕をムンズと掴んで、私の脇の下を露わにさせる。もう無理だ!そう思って薄っすらと目を開けると…そこに恍惚の表情をしながら、脇の匂いを嗅ぐエリオットが!
そして、「レベチ!レベチ!」と意味不明な言葉を叫んでいる。だから一体、何やってる?それにこんなに騒いでいるのに、私が起きてない訳ないだろうと思わない?
それからあろう事か、そのカモシカみたいな足を私の足にスリスリさせる。シルクってさ、薄いから刺激がダイレクトな訳よ?分かってるのかなぁ~もう限界…だけど、うつ伏せで良かった~!
だけど待て!何か当たってないか…?こ、これは!?
そのことに呆然として身動き出来ないでいると、「ダメだ…オカズ…」と呟くエリオット。オカズって?
それからエリオットは弾かれたように私から離れ、「怖っわぁ~」と前を押さえながらバスルームへと消えていく。
「…………。……………。」
──怖いのは、私の方だと思うが?
時々というか、頻繁にエリオットは意味の分からない言葉を吐く。それは?と聞いてみたい気持ちもあるけれど、そうしたらきっとその後は、言葉を選んで言うようになってしまうだろう。それは絶対に避けたい!私の前ではいつも自然体でいて欲しいから…
だけど今回は参った…自分で言うのも何だが、私は常に冷静な人間だ。それがエリオットにだけは振り回されている自覚がある。惚れた弱みといわれればそうなんだが、そのエリオットの行動の根底には、いつだって私への愛情があるから。でも、実はその愛情がどういう種類のものなのか分からずにいた。だけど今日は…
これは私のこと、好きだろう?性的な意味も含めて。
私は意外なところから降って湧いた幸運に、逃してはなるまいとあの計画を進める決心をした。
──待っていてくれ!エリオット…だけどその前にこれを処理しなくては!
それから私は、いつバスルームから戻ってくるとも知れないエリオットにドキドキしながら、昂った自分のものを握って上へ下へと動かし始めた。
+++++
「坊ちゃま昨日はすみませんでした。まさかあれから朝まで寝てしまうとは!」
僕がバスルームから出ると、既に坊ちゃまは目覚められていて身支度を整えられていた。それに慌てていつもの従者用の制服を着て、朝食をとダイニングルームへとやって来た。
昨日頑張ったから今日は特別だよ?と共に朝食を取らせていただくことに…。メイドのルーシーさんが熱々の紅茶を注いでくれて、それが喉に染み渡る。それから焼き立ての白パンと野菜たっぷりのスープを流し込むと、公爵邸に帰って来たんだなぁ~と落ち着いて来た。すると坊ちゃまが…
「ルーシー、父上は相変わらず忙しいのだろう?ならば家令のロベルトに、近々大事な話をするから父上との時間を取れるように調整して欲しいと伝えてくれるかい?そうだな…学園に帰る前の日でいいよ」
紅茶を飲みながら静かにそう言う坊ちゃまに、慌ててルーシーさんは返事をする。
「…はい坊ちゃま!そのようにロベルトさんに伝えます。差し支えなければどのような…」
大事な…話?それはルーシーさんじゃなくても僕だって興味があるけど…
「それは詮索無用だ!用向きのことは事前にロベルトには伝えずに、直接父上だけにお話しするから」
どうやら坊ちゃまは、それ以上は話さないおつもりだ。大事な…って、将来にかかわるものなのかな?僕は途端に心配になった…まだ学園の一年生だが、三年なんてものはあっという間だ。それから…のお話?
そう言われたルーシーさんは、余計なことを申し上げました…と深々と頭を下げる。それから、まだロベルトが屋敷にいるようなら伝えてくれるかい?と言う坊ちゃまに、早速…と言ってダイニングルームから出て行った。そしてここに残された二人…すると突然、坊ちゃまが思い出したように僕に声を掛けた。
「新しい年を迎えるのは、ここじゃない。明後日、領地の方に向かおうと思う」
──り、領地に?
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