【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO

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第三章・攻略の行方

13・一つの疑問

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 あれから僕は、色々あったけど丸く収まって良かったな!って一安心した。だけどハッと気付いた!あれ…スチュワートルートって、どうなったんだ?って。

 途中あんなことがあったけど、確かに坊ちゃまの言葉がスチュワート様の心に響いて、ひとつ大人になられたようだ。
 それを証拠に僕は、スチュワート様の部屋に招かれ、トムも交えてお茶を楽しんだ。トムなんか初めてのことで恐縮しつつも嬉しそうで…僕は二人の仲良さそうな姿を見て、ホッと胸を撫でおろしたんだ。

 スチュワート様といえば、なんと瓶底めがねを外されていた。元々視力が悪かった訳でなく、人と付き合うのが煩わしかったようだ。特注で外から見たら瓶底で、中から見たらスッキリ見える眼鏡だったらしいよ?凄い技術だ!メイド・イン鯖◯かな?

 キラキラのお目々をしてスチュワート様は言う「本当にありがとうエリオット」って。なんだろ?坊ちゃまをお誘いするのは気が引けたのかな?あんな圧倒的な美を前にしたら、言いたい事も言えないもんね。ホント恥ずかしがり屋さんだ~
 それから僕は、自分の部屋に戻ってから考えた。攻略、進んでるのかな?って…
 
 本当だったらあの図書室で、ジュリアスとスチュワートは初めての会話を交わすんだ。スチュワートは天才過ぎるが故に壁にぶち当たっている。家庭教師から学ぶならまだしも学園に通うということは、他の生徒にも合わせなければならない。だから授業が退屈に思えてしまって…それで図書室に籠もりきりになってしまうんだけど、そこにジュリアス登場だ!
 
 ジュリアスの博識ぶりに感動を覚えるスチュワート。一方ジュリアスも、自分より頭の良い人物に会うのは初めてで、気になって仕方がない。そんな二人が、これは恋なんだと気付くのは必定で…なんだけどね?
 スチュワート様が、坊ちゃまから本を投げられて終わっちゃった…困った。

 「ジュリアスって意外にムキムキなんだね?恋のストライク♡頂きました!」

 「スチュワートこそ、瓶底めがねがセクシーだよ♡」

 ──ダメダメ!これじゃない!!
 
 あかん…全然ダメ!僕が望むのは「恥じらうジュリアスが…」とか「あっ!落ちた本を拾おうとしただけなのに…」とか、そんなヤツだよ?
 僕はハァーッと溜息を吐きながら天を仰いで、「伝説のルート消えた…」と呟いた。


 +++++


 カッ、カッ、カッーン。

 「お待たせしてしまいましたか?申し訳ありません」

 その声にジュリアスは、ゆっくりと振り返る。そのまま暫くの間目を合わせて、それからこの上なく美しく微笑んで答える。

 「いいえ。ちっとも待っていないよ?私も今来たところだ。だけど…同級生なのだから、もっと砕けてもいいんじゃないかな?」

 「ふふふっ…」

 その人は目を閉じ、ほんの少し首を振りながら、薄い唇から微かな笑いを漏らす。それにジュリアスは、きゅっと眉をひそめた。

 「あなたは公爵家の令息だ。それは同級生だとしても赦されないでしょう?私はわきまえていますから」 

 その言葉を聞いてジュリアスは無言で歩き出した。あと少し…もう一歩進むと、身体が当たってしまう、そのくらいまで近付いて止まったジュリアス。そして…

 「君は火のような髪色に真っ黒な瞳なんだね。とっても印象的だ…兄弟達もそうなのかい?」

 いつものポーカーフェイスを崩して、挑むような眼差しにシニカルな笑みを口元に浮かべるジュリアスは、まるで違う人のよう。大抵の人ならばそれに憂虞ゆうぐしてしまうだろう。だけど目の前の人は、畏れる様子もない。

 「そうですね父親と兄も全く同じなんです。母は黒髪に緑の瞳でまるで違いますから…父親似なのです。」

 臆することもなくそう答えるその人。それにジュリアスは一言、そうなんだ…と呟いた。

 「ところでどんな用なのかな?この私をこんなところに呼び出すからには、とても重要な話なんだろうね?」

 「ああすみません!エドモア公子様の貴重なお時間を。だけどとても重要なお話なんです…驚かれることと思いますが。実は…」

 その人がそう言いかけた時、ジュリアスはスッとあと半歩前に出た。その行動を先程までは全く動揺も見せなかったその人は、流石に意外だったのかビクッと身体を震わせひるんだ。
 息までもかかりそうなその距離感で、ジュリアスはほんの少し屈んで目線を合わせる。

 「全くおかしいですね?あなたの家門にそのような瞳の子供が生まれるなんて!ねぇ、ジェイデン・アノー令息」

 
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