【完結】あなたの妻(Ω)辞めます!

MEIKO

文字の大きさ
上 下
26 / 108
第ニ章・幸せな結婚?

25・不敵な笑み(ちょっとだけ*)

しおりを挟む
 あれから伊織の言う通りになって、ヒートの時は直哉に抱かれる…
 
 忙しいのに私と一緒に休暇を取ってくれて、二人で部屋にもる。

 どうして?って聞くと、何でもするって言ったよね?って。

 涼は俺の妻だから…って。

 ──私、ホントはあなたのオメガになりたいんだ…
 
 そんな事を思いながら、見えないようにポロッと涙を流して、直哉さんをぎゅって抱き締めた。




 「涼、今日一緒に撮影現場に行くぞ!」
 編集部に入るなり東雲しののめさんからそう言われる。

 「はい!分かりました。現場は何処どこですか?」

 「ブライダルフェアだ。KANAI の。」

 ──KANAIの!?まさか、居たりしないよね?裕貴さん…
 
 「来月号の特集がそれだからな。今から行くぞ!」

 もしも会ったら…と一抹いちまつ不安ふあんはあるものの、重役のあの人が撮影現場にまで来ないだろうと現場に急ぐ。


 「わぁ、凄い規模ですね!流石にKANAIです。」
 
 フェアの開催は明日からになっていて、もう既にブースのセッティングは済んでいるようだ。後は微妙な調整をするのみになっている。
 各担当者がせわしなく動いていて、準備に余念よねんがない。

 その一画に装花など生花を扱った「Flower」ブースがある。
 そこでモデルを使った撮影があるんだ。

 「凄く綺麗だな!こんなの見てるともう一度結婚したくなるんじゃないのか?涼。」と東雲さんがニヤニヤしながら言う。

 ──全くこの人は…
 
 それなら自分がしたらいかがですか?って言ったら、痛いところを突いたようで、渋い顔になる東雲さんを見て大笑いした。

 「…涼が、涼が酷いこと言う…おっ!撮影が始まるようだ。急ぐぞ!」

 そこに登場した男女のモデルに息を呑む…なんて綺麗!

 本当に同じ人間なんだろうか?それにしても素敵だ…ん?あの人は…

 「涼さん、お仕事でここに?」その男性のモデルはなんとすぐるさんだった。
 そう言えば、涌井さんとも仕事で知り合ったって。ブライダルモデルもされているんだね…

 「はい!『ETERNAL FLOWER』の来月号に掲載させていただくために来ているんです。優さん、凄く素敵ですね!」
 そう言いながら今日はよろしくお願いしますと頭を下げる。

 こちらこそ!と笑顔の優さんは私の肩をポンとたたいてスタッフの元に戻った。

 「直哉さんの弟だろ?兄弟揃って凄いイケメンだなぁ~」と驚く東雲さんの隣で、私は全く違う事を考えていた…

 なんでだろうか…この違和感。

 何かを言われた訳でも、嫌な態度を取られた訳でもないんだ…

 何故かこの人はきっと表の顔は笑っていても、裏では違うのだろう…そんな気がするのだ。

 行くぞ!という東雲さんの声に我に返り、駆け出した。


 

 「は…ぁん。ふっ…ぅん!」

 かえるような甘い香りが充満する…

 艶のある肌にじわっと汗がにじんでその香りが官能をはらんだものに変わった。

 「は、早くぅ…もっとして!」

 男の上で激しく腰を振り、余りの快感に嬌声きょうせいをあげ…る。

 「…くっ、ハァ…ァ。お前、いきなり呼ぶ…の、やめろって!」男はそう言ってにらむ。

 それに…裕貴は笑う。
 
 「ハ、ハハッ。何…言ってんの?この僕が抱かせてやるって言ってんだよ?直ぐ来なきゃ、ハァ…」
 
 二人はベッドの上で荒い息を落ち着かせる。そして…

 「ねぇすぐる。あんた復讐したいと思わないの?…涼にさ。」
 そう言って裕貴は不敵な笑みを浮かべた──。

 
しおりを挟む
感想 117

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

処理中です...