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第ニ章・先輩が彼氏に?

17・こ、恋人の?

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 「こちら、大学の後輩で恋人の葛西瑞樹です。」 

 そう言われて胸がドキドキした┉。

 あっ、そう言えば僕もう葛西じゃなくて内藤なんですけど┉とは思ったが、そんな事どうでもいいくらいに。

 ──こ、恋人~!?

 いいんですか?そんな事言っても┉先輩?
 そう思って、隣の先輩を見つめる。

 先輩は、当たり前かのように涼しい顔をしていた。

 意外だったのは、言われた人達だ。
 そうなんだ!可愛いくていいなぁ~なんて言っている。

 可愛いくていいなぁ~┉なんですか?うそっ!?

 ちょっとまだドキドキしているが、いつまでも動揺している訳にはいかない!先輩に迷惑かかるし┉。

 なんかフワフワした気分で、先輩に言われるがままゲームコーナーでお手伝いを。

 はいはい!お子様向けの、スーパーボールすくいですね?僕、得意です。と言っても僕はやらないけどね?

 「瑞樹は子供の相手得意だよね?俺はなぁ、周りに子供が居ないからどう扱っていいんだか┉だから任せた!」
 そう言って、僕に笑い掛ける。

 ──どうしよう?幸せすぎて怖いな。

 『お試し』だから。『お試し』だよ?瑞樹!!
 もう一度自分に言い聞かせる。

 そしてわらわらと自分に集まってくる子供達にポイを渡していく。

 「はーい!ポイ破れちゃった人から渡してね、袋に入れてあげるからね~。取れなかった子も言ってね!サービスであげちゃうよ。」
 そう笑顔で言ってお手伝いに精をだす。

 先輩のお兄さんが社長なんだよね?確か。
 こういう家族向けのイベントとかあって良い会社だね~
 先輩もきっと、お兄さんの為にこうやって頑張っているんだろうな!だから僕も出来るだけ協力したいんだ。

 それから自分も楽しみつつ、しっかりとお手伝いをして、そろそろもう終わりかな?って片付けをし始めた時、先輩が落ち込んだ様子で近付いてきた。

 ──先輩?どうしたんだろう┉。

 「瑞樹、前に兄さんと離婚した相手が男性オメガだって話したよな?その人をさっき見掛けたんだ。俺、信じられなくって名簿を確認してみたんだけど間違いないようで┉。それに再婚していて子供までいるんだ!」
 そう言う先輩は、ショックで顔が強張っている。

 先輩のただならない様子に、ちょっと不安になったけど本当なんだろうか?って思う。
 確かにお兄さんが離婚して三年ほど経っている。
 でも理由を聞いてみたら、お互いに愛情があるのに別れて┉。

 そんなに早く再婚するかな?僕だったら無理だ!
 だからきちんと裏付けが取れないうちは、お兄さんには話さない方がいいって言った。

 「そうだよな┉。その人と一緒に居た人が今の結婚相手だとしたら俺の同僚なんだ。だからそれとなく様子を伺ってみるよ。今日はイベントの事もそうだけど、本当に瑞樹が側にいてくれて良かった!俺だけだったらどうなっていたか┉。」

 ──ありがとう!瑞樹。

 そう言って僕を┉抱き締めた。

 え~~っ!┉は、初めて!!

 先輩に初めて身体を抱き締められて、驚き過ぎて体温が急上昇する。絶対今、顔真っ赤だ!

 そしてトクトクと先輩の心臓の鼓動が伝わってきて、ちょっとだけ落ち着いた僕は、おずおずと先輩の背中に手を回して服をキュッと掴む。

 そして先輩を見上げたら、優しい笑顔で僕を見つめていたので、再び真っ赤になって思わずうつむいた┉。

 これ┉ホントにお試し?

 お試しだとしたら、刺激が強すぎませんか?
 そう思って、僕は途方に暮れた。
 
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