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第ニ章・先輩が彼氏に?

14・お試しの彼氏

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 「せ、先輩?そんな無理やり┉。そんなこと僕求めてないですから本当に。やめて下さいよ冗談は┉。」

 僕は、先輩の言葉にむちゃくちゃ動揺してしまって、自分でも何言ってるのか分からなくなるくらいだった┉。

 「冗談じゃないよ、本気だけど?俺は試しに付き合ってみるのもアリだと思ってる。どうだ?」

 ──どうだ?┉じゃないよ!!

 一体、どういう意味?予想外過ぎて頭が回らない。

 少し離れた所にいる母さんが、何故だか僕の方を向いて頷いている。もしかしてOKしろ!って事?
 て言うか、あそこまで聞こえるんだ!?

 なんだか急に恥ずかしくなって来てしまった┉。

 「俺は正直、瑞樹とこのまま会えないのは嫌だ!だけど、この気持ちが何なのかは分からない。これが本当の今の気持ちだよ。それでも良かったら┉って思ってるけど?」

 どうしよう┉だけどゼロじゃないって事だよね?お試し┉こうなったら、オメガは度胸だね?この案に乗ってみるしかないのかも。

 「うん┉分かりました。でも先輩、無理ってなったら言って下さいよ?イヤイヤ付き合うのだけは御免ですから!」

 僕は、絶対ですよ?って念を押して『お試し』する事にしたんだ。

 ──だけど、お試しって何だ?って思うけど┉。

 先輩が嬉しそうな顔をして、よろしくな!って。
 その顔を見ていたら、仕方がないか┉って思った──。



 「ええぇーっ!?お試し?」

 立巳が驚いてビックリしている。

 「しーっ!声が大きいって!でも、そうなんだ┉どういう意味なんだろうって思うよね?」 

 それに翔琉は憮然として、それってどうなんだろう┉って言う。

 「それってさ、キープしておきたいって事じゃないか?そんなの可怪しいだろ?それ俺だったらヤダな!」

 「ハハッ!誰も翔琉には言わないって!」

 うるせぇよ立巳、例えだろ?って言う翔琉の声を聞きながら、僕は考えた。

 前からずっと思ってるけど、優先輩は見た目からは想像出来ないけど、相当に不器用なんだ。

 見た目は格好良くって行動もスマートで。
 だけど、きっと何かが足りない?
 だから付き合っても長続きしない。
 きっと、心にキズを負ってるから┉って思う。

 両親の┉特に母親からのキズもあって、更にあの男性オメガからの。だけど、その他にも何かあるんじゃ?┉って。

 先輩のその不器用さを、まさか自分がもって体験することになるなんて──。

 だけど、本気にしちゃいけないよ?瑞樹!!自分にそう言い聞かせる。

 あくまで『お試し』なんだ。

 もう先輩が無理ってなったら引いてあげないと┉。

 そして一番肝心なのは、オメガだって言ってないこと。
 その時が、きっと本当の先輩との別れになるだろうな┉って思ったんだ。
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