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第四章・輪廻
45・あの声(ルーカスSide)
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「次は…間違えないで!必ず…」
誰かがそう言った…それは誰が言ったのだった?全く思い出せない。
それに、そもそも私に対して言った言葉なのかも分からない。
だけど、心にズシンと来た…私はこのままで良いのか?と。
この国の王妃である母は、第一王子である私が王になる事に執着している。
少し前までは、それは私の為を思ってなのだ…と思っていた。実際は違っていた…私の為などではない!
私の弟であるノアの母に勝つ為。
もうとっくに亡くなっている人に、勝とうとするなんて…
おまけにその死因に関与したのは明らかに母である事に愕然とする。
それから私は夢を見た…ノアが母に刺されている夢。
これはもしかして、母の願望なのか?
現実ではないかも知れないが、私は恐ろしさで震えた。そして…
「十八歳おめでとうルーカス。いよいよ学園を卒業する歳だな!それから国外の色んな国に行って見識を広げるのも良いと思うぞ」
国王である父がそう言って、私の誕生日を祝ってくれる。それに続いて重臣達も口々に祝いを述べてくれている。
私が学園を卒業した後、諸外国への留学を希望しているのを聞いて、父は後押ししてくれるようだ…母はそれに渋い顔をしている。
その間に、ノアに出し抜かれるとでも思っているのだろうか?もう、そんな事を考える必要がないようにしてあげようか…
そして私は一つのガラス瓶を取り出す。
目の前のテーブルにコトリと置いて、何だろう?と見ている皆の前で口を開く。
「これはノアの母君を殺した毒が入っていた瓶です。調べればその成分が出るでしょう。そして、私はこの瓶を…母が持っているのを知っていました。ずっと前から…すみません父上。そして…ノア」
父上とノアが驚愕の表情で私を見ている。きっと誰も私がこんな事を言い出すとは思ってもみなかっただろう…
だけど私は間違えない為にそうした。
ここで母の凶行を止めなければならない!
あれは未来だ…きっとノアを殺そうとする。
「ル、ルーカス?あなた…何を?一体誰の為に…」
母が愕然としながら私を見る。出来たらこの人に愛されたかった…そしてそれは叶わぬ事なんだと思い知った今、何もかもが虚しい…
「私の為だなんて…やめて下さい!そうではなくて、自分の為ですよね?あなたはそれに取り憑かれているだけです。この先はどうか罪を償って下さい…」
私の誕生日の席でいきなり始まった、王妃への断罪。それも自分の息子によるそれに…この場はしんと静まり返る。
「ノア、母に代わって謝罪する。申し訳無かった…一つだけお願いしたいのは処刑だけは赦して欲しい!こんな非情な事をしでかした者だか、私の母だ…。一生幽閉で勘弁して欲しい…お願いします」
そう言ってノアに頭を下げる。そしてノアを見上げると…泣いていた。
「兄上…ありがとうございます。まさか兄上自らがそのような事をするとは!私はそれで構いません…」
それから私はノアの元に駆け寄って、ぎゅっと身体を抱き締めた。今までその後ろめたさで、したくても出来なかったことを。
父が合図をして、母は騎士達に連れて行かれた。
我が息子にそうされるとは夢にも思っていなかったのだろう…
ただ茫然として連行されて行った。
私は間違えなかった…ノアを守る為に。そしてこの国を…
それから私が第三の性の持ち主であり、母の犯した罪の責任を取り王族籍から抜けるつもりである事を告白した。
それから暫くして、ノアが皇太子になる事が発表された。
私は王族から抜けて臣下に下る。それでいい!
そして父は私を憐れに思って、留学への手助けと帰国してからの力添えを約束してくれた。それはノアも…
それで学園を卒業したら、この国を離れる事になるだろう。ただ、一つだけ心残りなのは…
「ドビアス…私は学園を卒業したら、留学に行くのだ。もし…嫌でなかったら…こんな何の力もない元王子で、私について来ても何の得にも…」
「一緒に行きます!どこまでも」
目の前のドビアスがハッキリと言った。本当に?自分の得にはならないのに?…そう思って私は泣いた!その気持ちが嬉しくて…
そして思わずドビアスに抱き着いて子供のように泣き続けた。
それにドビアスはちょっと困ったような表情をしながら…
「俺と行きましょう。きっと楽しい毎日になりますよ!」
そう言って眩しい笑顔を見せてくれた。
誰かがそう言った…それは誰が言ったのだった?全く思い出せない。
それに、そもそも私に対して言った言葉なのかも分からない。
だけど、心にズシンと来た…私はこのままで良いのか?と。
この国の王妃である母は、第一王子である私が王になる事に執着している。
少し前までは、それは私の為を思ってなのだ…と思っていた。実際は違っていた…私の為などではない!
私の弟であるノアの母に勝つ為。
もうとっくに亡くなっている人に、勝とうとするなんて…
おまけにその死因に関与したのは明らかに母である事に愕然とする。
それから私は夢を見た…ノアが母に刺されている夢。
これはもしかして、母の願望なのか?
現実ではないかも知れないが、私は恐ろしさで震えた。そして…
「十八歳おめでとうルーカス。いよいよ学園を卒業する歳だな!それから国外の色んな国に行って見識を広げるのも良いと思うぞ」
国王である父がそう言って、私の誕生日を祝ってくれる。それに続いて重臣達も口々に祝いを述べてくれている。
私が学園を卒業した後、諸外国への留学を希望しているのを聞いて、父は後押ししてくれるようだ…母はそれに渋い顔をしている。
その間に、ノアに出し抜かれるとでも思っているのだろうか?もう、そんな事を考える必要がないようにしてあげようか…
そして私は一つのガラス瓶を取り出す。
目の前のテーブルにコトリと置いて、何だろう?と見ている皆の前で口を開く。
「これはノアの母君を殺した毒が入っていた瓶です。調べればその成分が出るでしょう。そして、私はこの瓶を…母が持っているのを知っていました。ずっと前から…すみません父上。そして…ノア」
父上とノアが驚愕の表情で私を見ている。きっと誰も私がこんな事を言い出すとは思ってもみなかっただろう…
だけど私は間違えない為にそうした。
ここで母の凶行を止めなければならない!
あれは未来だ…きっとノアを殺そうとする。
「ル、ルーカス?あなた…何を?一体誰の為に…」
母が愕然としながら私を見る。出来たらこの人に愛されたかった…そしてそれは叶わぬ事なんだと思い知った今、何もかもが虚しい…
「私の為だなんて…やめて下さい!そうではなくて、自分の為ですよね?あなたはそれに取り憑かれているだけです。この先はどうか罪を償って下さい…」
私の誕生日の席でいきなり始まった、王妃への断罪。それも自分の息子によるそれに…この場はしんと静まり返る。
「ノア、母に代わって謝罪する。申し訳無かった…一つだけお願いしたいのは処刑だけは赦して欲しい!こんな非情な事をしでかした者だか、私の母だ…。一生幽閉で勘弁して欲しい…お願いします」
そう言ってノアに頭を下げる。そしてノアを見上げると…泣いていた。
「兄上…ありがとうございます。まさか兄上自らがそのような事をするとは!私はそれで構いません…」
それから私はノアの元に駆け寄って、ぎゅっと身体を抱き締めた。今までその後ろめたさで、したくても出来なかったことを。
父が合図をして、母は騎士達に連れて行かれた。
我が息子にそうされるとは夢にも思っていなかったのだろう…
ただ茫然として連行されて行った。
私は間違えなかった…ノアを守る為に。そしてこの国を…
それから私が第三の性の持ち主であり、母の犯した罪の責任を取り王族籍から抜けるつもりである事を告白した。
それから暫くして、ノアが皇太子になる事が発表された。
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そして父は私を憐れに思って、留学への手助けと帰国してからの力添えを約束してくれた。それはノアも…
それで学園を卒業したら、この国を離れる事になるだろう。ただ、一つだけ心残りなのは…
「ドビアス…私は学園を卒業したら、留学に行くのだ。もし…嫌でなかったら…こんな何の力もない元王子で、私について来ても何の得にも…」
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目の前のドビアスがハッキリと言った。本当に?自分の得にはならないのに?…そう思って私は泣いた!その気持ちが嬉しくて…
そして思わずドビアスに抱き着いて子供のように泣き続けた。
それにドビアスはちょっと困ったような表情をしながら…
「俺と行きましょう。きっと楽しい毎日になりますよ!」
そう言って眩しい笑顔を見せてくれた。
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