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第三章・転機
33・衝撃の事実
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何故ルーカス殿下が?ほとんど話した事もない私に、どんな話しがあると言うのか…
そう不思議に思うけれど、一国の王子がこんな所までわざわざやって来たのだ…それが冗談などではないのは間違いなくて…
「それは一体…どういったお話しなんでしょうか?それに私が関係しているという事なのですね?」
ルーカス殿下はこちらをじっと見ながら、肯定の意味合いで瞼を伏せた。
「昨日、弟のノアが君との婚約の希望を王に申し出た。君は了承してるのかい?」
まさか!?青天の霹靂とはこういう事だろう…信じられない!何と言う事をするんだ?怒りがふつふつと沸き起こる。
「し…信じられません!私は全く了承していません。な、何故勝手に…そんな事、到底赦せるものではありません!ゲホッ…コホ」
そう興奮しながら答えて、思わず咳込んでしまう…
「ロディア大丈夫か?体調が悪いのだからそう興奮しないで…。」
ドビアスが横から心配して声を掛けてくれた。口を抑え涙目になりながらも、大丈夫です…と呟く。
「驚かせてしまったようだね。でも間違えないで!あくまで『希望』だ。ロディアを自分の妃候補として名前を出した形だから。決まりじゃないから安心して欲しい」
──それって安心出来るのだろうか?私の名前が王にまで伝わった事に不安を感じる…。いくら何でも無理矢理婚約はないとは思うけれど。
「君の言動からすると、グレン伯爵家側からは全く希望していないのが分かった。だからこそより心配になった…ノアの事が」
ルーカス殿下のその発言におやっ?と思った。それではまるで…
「御無礼を承知で申し上げます。ルーカス殿下とノア殿下は今、王となる後継者問題で争っていると聞きました。そう考えると、もし私とノア殿下が結婚したとしたら、そちら側からしたら都合が良くないでしょうか?何の力も持たなたい家門との縁になる訳ですから。そうではないと?」
それにルーカスは、思い詰めた表情をしながら大きく頷いた。それから何かをじっと考えて、意を決したように口を開いた。
「君はノアが王になるつもりであるのを知っている。だけど、それにどういう理由があってなのかは知らないね?それには大きく二つの理由がある。そのうちの一つは君も思い当たるかも知れない。私の母である現王妃についてだ。ノアの母上を殺したのは…私の母だ。厳密には、ノアを殺そうとして代わりにノアの母上が…」
私はそう聞いた瞬間、驚きで身動いだ。
──何だって?王妃様が、ノア殿下の母君を殺した?
それからこの前夢うつつで見た、ロディアの記憶を思い出した…あの肖像画のノア殿下と同じ綺麗な紫紺の瞳を持つ美しい人。
あの方が殺されていただって!?
──だけど、何という秘密だ!!そんな自分の母の重大な秘密を私に…ルーカス殿下、どういうつもりで…?
「驚いただろうね…私もその事実を知った時、信じられなかったよ。信じたくなかったし…。だけどそれは紛れもない事実だ!そして私はその事でノアに対して負い目がある。」
そうハッキリと言い切ったルーカスは、それから沈痛な面持ちで項垂れてしまう…
「でも…ノア殿下の母君が亡くなられたのは、随分前だと聞いていますが…。恐らくはノア殿下が五歳から八歳くらいでしょうか?ルーカス殿下の立場を脅かす今なら分かりますが、その年齢の時になのですか?後継者とは程遠いその頃に、危険を犯してまで殺そうとする理由がないのでは…」
あの記憶の情景は十歳の時のものだ…あの時に随分前に亡くなった…とおっしゃっていた。それでいて、母君の記憶が鮮明にあるのなら五歳にはなっていただろう。だからこの範囲の年齢の時に亡くなられたと見るのが妥当だ。そしてルーカス殿下がこれだけ正直に告白されている以上、私も曖昧な言い方でなく率直な意見を言うべきだと思う。
「いいや…その時に重大な理由があるのだ…それは私に最も関わる理由で。思えば私の母が可怪しくなったのはその頃からだ…それまではそこまで非情な方では無かったのに。私のせいなのだな…私の…」
ルーカスは泣きそうな顔で、自分のせいで母が可怪しくなったのだと繰り返す。何が一体…?
「その頃に、私が第三の性の持ち主だと判明したのだ…」
えっ…私と同じ?国の第一王子であるルーカス殿下が…第三の性だって!?
そう不思議に思うけれど、一国の王子がこんな所までわざわざやって来たのだ…それが冗談などではないのは間違いなくて…
「それは一体…どういったお話しなんでしょうか?それに私が関係しているという事なのですね?」
ルーカス殿下はこちらをじっと見ながら、肯定の意味合いで瞼を伏せた。
「昨日、弟のノアが君との婚約の希望を王に申し出た。君は了承してるのかい?」
まさか!?青天の霹靂とはこういう事だろう…信じられない!何と言う事をするんだ?怒りがふつふつと沸き起こる。
「し…信じられません!私は全く了承していません。な、何故勝手に…そんな事、到底赦せるものではありません!ゲホッ…コホ」
そう興奮しながら答えて、思わず咳込んでしまう…
「ロディア大丈夫か?体調が悪いのだからそう興奮しないで…。」
ドビアスが横から心配して声を掛けてくれた。口を抑え涙目になりながらも、大丈夫です…と呟く。
「驚かせてしまったようだね。でも間違えないで!あくまで『希望』だ。ロディアを自分の妃候補として名前を出した形だから。決まりじゃないから安心して欲しい」
──それって安心出来るのだろうか?私の名前が王にまで伝わった事に不安を感じる…。いくら何でも無理矢理婚約はないとは思うけれど。
「君の言動からすると、グレン伯爵家側からは全く希望していないのが分かった。だからこそより心配になった…ノアの事が」
ルーカス殿下のその発言におやっ?と思った。それではまるで…
「御無礼を承知で申し上げます。ルーカス殿下とノア殿下は今、王となる後継者問題で争っていると聞きました。そう考えると、もし私とノア殿下が結婚したとしたら、そちら側からしたら都合が良くないでしょうか?何の力も持たなたい家門との縁になる訳ですから。そうではないと?」
それにルーカスは、思い詰めた表情をしながら大きく頷いた。それから何かをじっと考えて、意を決したように口を開いた。
「君はノアが王になるつもりであるのを知っている。だけど、それにどういう理由があってなのかは知らないね?それには大きく二つの理由がある。そのうちの一つは君も思い当たるかも知れない。私の母である現王妃についてだ。ノアの母上を殺したのは…私の母だ。厳密には、ノアを殺そうとして代わりにノアの母上が…」
私はそう聞いた瞬間、驚きで身動いだ。
──何だって?王妃様が、ノア殿下の母君を殺した?
それからこの前夢うつつで見た、ロディアの記憶を思い出した…あの肖像画のノア殿下と同じ綺麗な紫紺の瞳を持つ美しい人。
あの方が殺されていただって!?
──だけど、何という秘密だ!!そんな自分の母の重大な秘密を私に…ルーカス殿下、どういうつもりで…?
「驚いただろうね…私もその事実を知った時、信じられなかったよ。信じたくなかったし…。だけどそれは紛れもない事実だ!そして私はその事でノアに対して負い目がある。」
そうハッキリと言い切ったルーカスは、それから沈痛な面持ちで項垂れてしまう…
「でも…ノア殿下の母君が亡くなられたのは、随分前だと聞いていますが…。恐らくはノア殿下が五歳から八歳くらいでしょうか?ルーカス殿下の立場を脅かす今なら分かりますが、その年齢の時になのですか?後継者とは程遠いその頃に、危険を犯してまで殺そうとする理由がないのでは…」
あの記憶の情景は十歳の時のものだ…あの時に随分前に亡くなった…とおっしゃっていた。それでいて、母君の記憶が鮮明にあるのなら五歳にはなっていただろう。だからこの範囲の年齢の時に亡くなられたと見るのが妥当だ。そしてルーカス殿下がこれだけ正直に告白されている以上、私も曖昧な言い方でなく率直な意見を言うべきだと思う。
「いいや…その時に重大な理由があるのだ…それは私に最も関わる理由で。思えば私の母が可怪しくなったのはその頃からだ…それまではそこまで非情な方では無かったのに。私のせいなのだな…私の…」
ルーカスは泣きそうな顔で、自分のせいで母が可怪しくなったのだと繰り返す。何が一体…?
「その頃に、私が第三の性の持ち主だと判明したのだ…」
えっ…私と同じ?国の第一王子であるルーカス殿下が…第三の性だって!?
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