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第五章・真実の愛
51・愛しているから
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医師からの診察を終え、腹の子に問題がない事に私達は安堵した。
──ああ良かった┉。
長い移動や、身体に影響はないと告げられてはいたが、あの嗅がされた薬の事も気になっていた┉。それからは緊張の連続で、息を付く間もなかったから。
今日はもうこのまま休む事にしたのだが、私にはまだやらなければならない事が┉。どうしても今日話してしまわなければ!
目の前のマクシミリアンに、辛い事を話さねばならない心苦しさで胸がぎゅっとなる。そして┉
「マクス┉話があるんだ。オスカーの事だ┉マクスも違和感があるのではないか?何故攫われたのがあの子なのだろう┉と」
そんな突然の私の言葉にマクシミリアンは、驚いたようだった┉だが
「シルバ、今日無理に話さなくても良いのだぞ。疲れただろう?┉もちろん話したいのだったら真剣に聞くが。」
その優しい言葉に甘えたくなるが、それではいけないと、やはり話す決心をする。
「落ち着いて聞いて欲しい。実はオスカーの父親はガルド王なんだ┉。エリオットはマクスの、オスカーはガルド王の┉なのに双子で産まれて。それには私の母親がルドミラの王家出身な事が大きく関係している。聞いた事があるかは分からないけど、私は半性身であり受嚢身で。ずっと前に、それも一度だけガルド王に┉」
私の話を遮るようにマクシミリアンは、目を閉じ首を横に振る。
──マ、マクス!?その反応は、もしや┉怒っているのだろうか?
そう思うと急に心配になり手の先が冷たくなる。それを無意識に左右握り合わせて、不安な気持ちを落ち着かせようとした┉。
「分かった┉大丈夫だよシルバ。私達家族は何も変わらない!シルバは私の妻で、オスカーとエリオットは大事な息子達だ┉それは一生同じ。血がどうだとかは重要じゃないよ?愛しているかどうかだ┉。オスカーを愛している。だから私の子だ!」
「マ、マクシミリアン!」
私達はぎゅっと抱き合った。もう二度と離れないように┉
──愛しているから私達は家族だ!
私はその言葉を胸に刻む。
それから私達は泣きながら「愛している!」と繰り返し伝え合う。いつまでも┉いつまでも。
そのうち泣き疲れて眠くなり、うとうとしだす私の頭をマクスが優しく撫でて、狭いベッドで二人でくっついて眠る。
こんな状況だが、私達は幸せだった。
きっと今後は何もかも上手くいく!そんな根拠のない自信が、ふつふつと湧いてくる┉そんな夜だった。
次の日目が覚めると、兄上の元に例の影武者が駆け付けていた。
私達はその姿に驚く!まるでアルベルト王、本人のようで┉。
「これは驚いた┉こんなに似ているなど有り得ない。本当に双子ではないのか?」
ガルド王が驚きの余りにそう言って、その影武者エイダンは頷く。
「私自身もよく分かりません。他国に住んでいた私がこちらに連れて来られた記憶しかありませんから。血が少しは繋がっていたのかは知る由もないですから┉」
それには兄上も「もしかして┉」と独り言のように呟いたが、それ以上言及する事は無かった。そして┉
「エイダンすまないが、私の子が後を継ぐその時まで影武者を務めて欲しい!いや、影武者ではなく本人だと思ってくれていい!でも同じにする必要はもはやないのだ┉。あなたの思うようにしてくれれば。今回怪我した事で、心を少し入れ替えた┉とか言っておけば良いだろう。どうだ?やってくれるだろうか┉」
「はい。私はもうルイス王妃様のものですから!お側を離れずに済むのなら、何だってやります。やれない事などありません!」
そう見つめ合う二人を見ていたら、もしかして┉とある思いに至った。
だが、それはこの二人の事。余計な詮索はするまいと思う。
それにこの先、本当の王と王妃として共に歩んでいくのだから──。
──ああ良かった┉。
長い移動や、身体に影響はないと告げられてはいたが、あの嗅がされた薬の事も気になっていた┉。それからは緊張の連続で、息を付く間もなかったから。
今日はもうこのまま休む事にしたのだが、私にはまだやらなければならない事が┉。どうしても今日話してしまわなければ!
目の前のマクシミリアンに、辛い事を話さねばならない心苦しさで胸がぎゅっとなる。そして┉
「マクス┉話があるんだ。オスカーの事だ┉マクスも違和感があるのではないか?何故攫われたのがあの子なのだろう┉と」
そんな突然の私の言葉にマクシミリアンは、驚いたようだった┉だが
「シルバ、今日無理に話さなくても良いのだぞ。疲れただろう?┉もちろん話したいのだったら真剣に聞くが。」
その優しい言葉に甘えたくなるが、それではいけないと、やはり話す決心をする。
「落ち着いて聞いて欲しい。実はオスカーの父親はガルド王なんだ┉。エリオットはマクスの、オスカーはガルド王の┉なのに双子で産まれて。それには私の母親がルドミラの王家出身な事が大きく関係している。聞いた事があるかは分からないけど、私は半性身であり受嚢身で。ずっと前に、それも一度だけガルド王に┉」
私の話を遮るようにマクシミリアンは、目を閉じ首を横に振る。
──マ、マクス!?その反応は、もしや┉怒っているのだろうか?
そう思うと急に心配になり手の先が冷たくなる。それを無意識に左右握り合わせて、不安な気持ちを落ち着かせようとした┉。
「分かった┉大丈夫だよシルバ。私達家族は何も変わらない!シルバは私の妻で、オスカーとエリオットは大事な息子達だ┉それは一生同じ。血がどうだとかは重要じゃないよ?愛しているかどうかだ┉。オスカーを愛している。だから私の子だ!」
「マ、マクシミリアン!」
私達はぎゅっと抱き合った。もう二度と離れないように┉
──愛しているから私達は家族だ!
私はその言葉を胸に刻む。
それから私達は泣きながら「愛している!」と繰り返し伝え合う。いつまでも┉いつまでも。
そのうち泣き疲れて眠くなり、うとうとしだす私の頭をマクスが優しく撫でて、狭いベッドで二人でくっついて眠る。
こんな状況だが、私達は幸せだった。
きっと今後は何もかも上手くいく!そんな根拠のない自信が、ふつふつと湧いてくる┉そんな夜だった。
次の日目が覚めると、兄上の元に例の影武者が駆け付けていた。
私達はその姿に驚く!まるでアルベルト王、本人のようで┉。
「これは驚いた┉こんなに似ているなど有り得ない。本当に双子ではないのか?」
ガルド王が驚きの余りにそう言って、その影武者エイダンは頷く。
「私自身もよく分かりません。他国に住んでいた私がこちらに連れて来られた記憶しかありませんから。血が少しは繋がっていたのかは知る由もないですから┉」
それには兄上も「もしかして┉」と独り言のように呟いたが、それ以上言及する事は無かった。そして┉
「エイダンすまないが、私の子が後を継ぐその時まで影武者を務めて欲しい!いや、影武者ではなく本人だと思ってくれていい!でも同じにする必要はもはやないのだ┉。あなたの思うようにしてくれれば。今回怪我した事で、心を少し入れ替えた┉とか言っておけば良いだろう。どうだ?やってくれるだろうか┉」
「はい。私はもうルイス王妃様のものですから!お側を離れずに済むのなら、何だってやります。やれない事などありません!」
そう見つめ合う二人を見ていたら、もしかして┉とある思いに至った。
だが、それはこの二人の事。余計な詮索はするまいと思う。
それにこの先、本当の王と王妃として共に歩んでいくのだから──。
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