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第四章・運命の歯車
42・究極の告白(ルイスSide)
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「王妃様!そ、それはどういう意味なのでしょう?」
まだ朦朧としながらも、私の発言に対して狼狽えるエイダン。
こんな体調の悪い時に、このような事を告げなければならないのは気が引けるが、数少ない機会をふいには出来ない┉。
「すまない┉エイダン。そのままの意味だよ。私は近々、弟に会いに大帝国に行くのだ。もちろん弟に会うのが一番の目的ではあるけれど、それ次第によっては危険が伴うかも知れない。最悪、命を失うこともあるだろう┉」
唖然とするエイダンを見ながら、更に私は畳み掛ける。
「もし私が死んだらどうなると思う?まず間違いなく私の子供達を殺すだろうアルベルトは。私も王の心を救おうと頑張った。だけど私では無理だったのだ┉狂気に取り憑かれたあの人は、私を失った怒りを子供に向ける。」
「それは余りにも┉これ程に愛しているルイス様のお子を殺すなど、有り得ましょうか?」
私はそれに首を横に振った。
──そうだったら良かったのに┉。
もしもそうだったなら、このままここで暮らしていけただろう。
王を愛して、共に子供達の成長を見守って。
だけど今しかない┉私だって、いつまでも美しくはいられないだろう。
そうなったら王はどうする?私と子供達を殺して、次の美しい王妃を迎えるのか?
──因果応報だ┉。もちろん私は、意図した事ではなかった。
前の王妃と子供達を殺すなど、思ってもみなかったのだ。だけど┉
「そなたも前の王妃とそのお子の末路は知っているだろう?平気で自分の子を殺せるよ┉あの人は。」
エイダンも思う所があるのか、それ以上は反論せずに押し黙る。
「私が死んだ後、子供達のことはカリシュ王に秘密裏に手紙を出してお願いしてある。それに┉エイダン、そなたも自由になって良いのではないか?ずっと王の影武者を続けていくつもりか?エイダンさえ良かったら、子供達と一緒にカリシュに┉」
いいえ┉!エイダンは真面目な顔をしてきっぱりと言い切る。そして┉
「私は王妃様のお供をしましょう。御子様達を安全なところまでお連れしてから、王妃様のところへ向かいますので┉待っていてくれますか?一緒にあの世へ行きましょう。」
「えっ┉そなた、何を言って┉」
──私と共にあの世へ┉?それでは、後を追って死ぬ┉ということか?
「そなた┉それ、愛してると言っているのと同じだぞ?ハハハッ」
私は思わず笑った。笑ってしまったけど┉嬉しかった。
今まで誰からも愛してもらえない┉そんな渇望が満たされた気がした。
エイダンにぎゅっと抱きついた┉初めて。
前から恋心を自覚していたが、それを押し付けるつもりもないし、エイダンを危険に晒すつもりもなかった。だから私の心の中だけで┉そう思っていた。
だけど「一緒に死ぬ」など、究極の告白ではないか!?もう溢れる気持ちが止められなかった。
「か、風邪が伝染りますから!ルイス┉」
泣きながら、そっと口付けをする。
泣き笑いの表情で「嬉しい┉」と囁きながら。
それから私達は、一つになった。
風邪が伝染ろうと、王に斬られようと構わないと思った。
これでもう思い残すことはないな┉。
エイダンが死出の旅立ちに付いてきてくれるのなら、もう私は自由になっても良いのだ──。
まだ朦朧としながらも、私の発言に対して狼狽えるエイダン。
こんな体調の悪い時に、このような事を告げなければならないのは気が引けるが、数少ない機会をふいには出来ない┉。
「すまない┉エイダン。そのままの意味だよ。私は近々、弟に会いに大帝国に行くのだ。もちろん弟に会うのが一番の目的ではあるけれど、それ次第によっては危険が伴うかも知れない。最悪、命を失うこともあるだろう┉」
唖然とするエイダンを見ながら、更に私は畳み掛ける。
「もし私が死んだらどうなると思う?まず間違いなく私の子供達を殺すだろうアルベルトは。私も王の心を救おうと頑張った。だけど私では無理だったのだ┉狂気に取り憑かれたあの人は、私を失った怒りを子供に向ける。」
「それは余りにも┉これ程に愛しているルイス様のお子を殺すなど、有り得ましょうか?」
私はそれに首を横に振った。
──そうだったら良かったのに┉。
もしもそうだったなら、このままここで暮らしていけただろう。
王を愛して、共に子供達の成長を見守って。
だけど今しかない┉私だって、いつまでも美しくはいられないだろう。
そうなったら王はどうする?私と子供達を殺して、次の美しい王妃を迎えるのか?
──因果応報だ┉。もちろん私は、意図した事ではなかった。
前の王妃と子供達を殺すなど、思ってもみなかったのだ。だけど┉
「そなたも前の王妃とそのお子の末路は知っているだろう?平気で自分の子を殺せるよ┉あの人は。」
エイダンも思う所があるのか、それ以上は反論せずに押し黙る。
「私が死んだ後、子供達のことはカリシュ王に秘密裏に手紙を出してお願いしてある。それに┉エイダン、そなたも自由になって良いのではないか?ずっと王の影武者を続けていくつもりか?エイダンさえ良かったら、子供達と一緒にカリシュに┉」
いいえ┉!エイダンは真面目な顔をしてきっぱりと言い切る。そして┉
「私は王妃様のお供をしましょう。御子様達を安全なところまでお連れしてから、王妃様のところへ向かいますので┉待っていてくれますか?一緒にあの世へ行きましょう。」
「えっ┉そなた、何を言って┉」
──私と共にあの世へ┉?それでは、後を追って死ぬ┉ということか?
「そなた┉それ、愛してると言っているのと同じだぞ?ハハハッ」
私は思わず笑った。笑ってしまったけど┉嬉しかった。
今まで誰からも愛してもらえない┉そんな渇望が満たされた気がした。
エイダンにぎゅっと抱きついた┉初めて。
前から恋心を自覚していたが、それを押し付けるつもりもないし、エイダンを危険に晒すつもりもなかった。だから私の心の中だけで┉そう思っていた。
だけど「一緒に死ぬ」など、究極の告白ではないか!?もう溢れる気持ちが止められなかった。
「か、風邪が伝染りますから!ルイス┉」
泣きながら、そっと口付けをする。
泣き笑いの表情で「嬉しい┉」と囁きながら。
それから私達は、一つになった。
風邪が伝染ろうと、王に斬られようと構わないと思った。
これでもう思い残すことはないな┉。
エイダンが死出の旅立ちに付いてきてくれるのなら、もう私は自由になっても良いのだ──。
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