【完結】冷遇され臣下に下げ渡された元妃の物語

MEIKO

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第四章・運命の歯車

40・二人の行方(マクスSide)

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 私はシルバとオスカーの行方を追って、スサまでやって来た。
 ここには大帝国の王族の保養地であるスサの離宮がある。

 私の予想では、きっと二人はそこに居るに違いない。
 何故そう思うのかと言えば、極秘で聞いたところによると、ガルド王がこちらの離宮に来ているのだ。
 それもどういうご用向きでこちらに来ているのか、誰にも分からないという┉。
 侍従長のマッケランも一緒に来ているそうだが、そうなるとある程度の長期の滞在を見越してなのだと思われる。

 だけど、何故オスカーなのだ?それにシルバまで┉。
 オスカーを連れ去ろうとした犯人のロベルトは、どこまで知っていたのかは分からないが、死んでしまっている為に真相はまるで分かっていない。

 そのロベルトの最期言い遺した言葉「スサ」を手掛かりにここまで来たけれど、王までもがこの地にやって来ているのは偶然なのだろうか?嫌、そうではない筈┉。

 私が戦果の褒美としてシルバを求めた時、ガルド王は意外にも難色を示されていた。
 シルバと初めて出会った後、気になって調べてみると、王からも後宮内でも冷遇されている事実が┉。

 それならば!と、がむしゃらに戦果を上げ続け、時間は掛かってしまったが、やっとシルバを助け出して私の元に!と意気揚々と王に対してシルバの下げ渡しを求めた。それなのに┉
 王からも冷遇されている筈が、何故了承されないのだ?と焦り始めていた時、私に賛同し、王に対して口添えしてくれたのが宰相ロハスと王妃だった┉。
 恐らく、あの二人が居なければ、シルバを妻にという夢は叶わなかっただろう。

 ──もしかして、王はシルバを愛していた┉のか?
 そして、今回の事はシルバを再び手に入れようとして┉なのだろうか。
 だけど、そうなると分からないのはオスカーだ。
 シルバをさらうのではなく、オスカーを┉。

 その理由はまるで分からないが、私は二人を必ず助け出す!それが王相手であっても┉だ!
 私は二人の奪還を心に誓って、スサの離宮に乗り込む手筈を整える。


 スサの離宮は、元々保養の目的で建てられている為、城ほどに警備は厳重ではない。
 離宮に添って湖があり、そちらから忍び込むのは難しくないだろう。

 そう計画を立て、私と精鋭の者五人とで離宮に向かう。
 だが、王が居る筈の離宮が、思ったよりも警備の兵が少ないのに驚く。

 ──どういう事だ?王がこちらに居るというのに、これだけの兵とは┉?
 だけど、この場の雰囲気からも罠という訳でも無さそうだ┉。

 それで急遽作戦を変え、湖側からでなく警備の手薄な時間帯を狙って、正面から忍び込んだ。
 建物を囲むように配置されている高塀を壁面沿いに進み、湖をのぞむ庭園に出た。
 見ると、ここから離宮内へと回廊がぐるりと続いている。

 植え込まれている木々の影に隠れながらその回廊に近づき、腰ほどの高さの壁面を屈みながら走り抜ける。
 離宮内部に足を踏み入れて、警備の兵に気を配りながら中を進み、やがて大きな扉の部屋の前に来た。

 ──この部屋は明らかに客間だ。王以外に誰か賓客が居るのならば、この部屋なのか?

 そう思ってそっと扉を開けてみる。
 中に入ると、薄暗い室内の奥に僅かな光が見える。
 ベッド横に置かれた灯りが、薄っすらと枕元を照らしていて誰かが眠っているのが分かる。
 音を立てずにそっと近付いて、それを覗き込むと┉

 ──ハッ!な、何故?
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