41 / 57
第四章・運命の歯車
40・二人の行方(マクスSide)
しおりを挟む
私はシルバとオスカーの行方を追って、スサまでやって来た。
ここには大帝国の王族の保養地であるスサの離宮がある。
私の予想では、きっと二人はそこに居るに違いない。
何故そう思うのかと言えば、極秘で聞いたところによると、ガルド王がこちらの離宮に来ているのだ。
それもどういうご用向きでこちらに来ているのか、誰にも分からないという┉。
侍従長のマッケランも一緒に来ているそうだが、そうなるとある程度の長期の滞在を見越してなのだと思われる。
だけど、何故オスカーなのだ?それにシルバまで┉。
オスカーを連れ去ろうとした犯人のロベルトは、どこまで知っていたのかは分からないが、死んでしまっている為に真相はまるで分かっていない。
そのロベルトの最期言い遺した言葉「スサ」を手掛かりにここまで来たけれど、王までもがこの地にやって来ているのは偶然なのだろうか?嫌、そうではない筈┉。
私が戦果の褒美としてシルバを求めた時、ガルド王は意外にも難色を示されていた。
シルバと初めて出会った後、気になって調べてみると、王からも後宮内でも冷遇されている事実が┉。
それならば!と、がむしゃらに戦果を上げ続け、時間は掛かってしまったが、やっとシルバを助け出して私の元に!と意気揚々と王に対してシルバの下げ渡しを求めた。それなのに┉
王からも冷遇されている筈が、何故了承されないのだ?と焦り始めていた時、私に賛同し、王に対して口添えしてくれたのが宰相ロハスと王妃だった┉。
恐らく、あの二人が居なければ、シルバを妻にという夢は叶わなかっただろう。
──もしかして、王はシルバを愛していた┉のか?
そして、今回の事はシルバを再び手に入れようとして┉なのだろうか。
だけど、そうなると分からないのはオスカーだ。
シルバを攫うのではなく、オスカーを┉。
その理由はまるで分からないが、私は二人を必ず助け出す!それが王相手であっても┉だ!
私は二人の奪還を心に誓って、スサの離宮に乗り込む手筈を整える。
スサの離宮は、元々保養の目的で建てられている為、城ほどに警備は厳重ではない。
離宮に添って湖があり、そちらから忍び込むのは難しくないだろう。
そう計画を立て、私と精鋭の者五人とで離宮に向かう。
だが、王が居る筈の離宮が、思ったよりも警備の兵が少ないのに驚く。
──どういう事だ?王がこちらに居るというのに、これだけの兵とは┉?
だけど、この場の雰囲気からも罠という訳でも無さそうだ┉。
それで急遽作戦を変え、湖側からでなく警備の手薄な時間帯を狙って、正面から忍び込んだ。
建物を囲むように配置されている高塀を壁面沿いに進み、湖を臨む庭園に出た。
見ると、ここから離宮内へと回廊がぐるりと続いている。
植え込まれている木々の影に隠れながらその回廊に近づき、腰ほどの高さの壁面を屈みながら走り抜ける。
離宮内部に足を踏み入れて、警備の兵に気を配りながら中を進み、やがて大きな扉の部屋の前に来た。
──この部屋は明らかに客間だ。王以外に誰か賓客が居るのならば、この部屋なのか?
そう思ってそっと扉を開けてみる。
中に入ると、薄暗い室内の奥に僅かな光が見える。
ベッド横に置かれた灯りが、薄っすらと枕元を照らしていて誰かが眠っているのが分かる。
音を立てずにそっと近付いて、それを覗き込むと┉
──ハッ!な、何故?
ここには大帝国の王族の保養地であるスサの離宮がある。
私の予想では、きっと二人はそこに居るに違いない。
何故そう思うのかと言えば、極秘で聞いたところによると、ガルド王がこちらの離宮に来ているのだ。
それもどういうご用向きでこちらに来ているのか、誰にも分からないという┉。
侍従長のマッケランも一緒に来ているそうだが、そうなるとある程度の長期の滞在を見越してなのだと思われる。
だけど、何故オスカーなのだ?それにシルバまで┉。
オスカーを連れ去ろうとした犯人のロベルトは、どこまで知っていたのかは分からないが、死んでしまっている為に真相はまるで分かっていない。
そのロベルトの最期言い遺した言葉「スサ」を手掛かりにここまで来たけれど、王までもがこの地にやって来ているのは偶然なのだろうか?嫌、そうではない筈┉。
私が戦果の褒美としてシルバを求めた時、ガルド王は意外にも難色を示されていた。
シルバと初めて出会った後、気になって調べてみると、王からも後宮内でも冷遇されている事実が┉。
それならば!と、がむしゃらに戦果を上げ続け、時間は掛かってしまったが、やっとシルバを助け出して私の元に!と意気揚々と王に対してシルバの下げ渡しを求めた。それなのに┉
王からも冷遇されている筈が、何故了承されないのだ?と焦り始めていた時、私に賛同し、王に対して口添えしてくれたのが宰相ロハスと王妃だった┉。
恐らく、あの二人が居なければ、シルバを妻にという夢は叶わなかっただろう。
──もしかして、王はシルバを愛していた┉のか?
そして、今回の事はシルバを再び手に入れようとして┉なのだろうか。
だけど、そうなると分からないのはオスカーだ。
シルバを攫うのではなく、オスカーを┉。
その理由はまるで分からないが、私は二人を必ず助け出す!それが王相手であっても┉だ!
私は二人の奪還を心に誓って、スサの離宮に乗り込む手筈を整える。
スサの離宮は、元々保養の目的で建てられている為、城ほどに警備は厳重ではない。
離宮に添って湖があり、そちらから忍び込むのは難しくないだろう。
そう計画を立て、私と精鋭の者五人とで離宮に向かう。
だが、王が居る筈の離宮が、思ったよりも警備の兵が少ないのに驚く。
──どういう事だ?王がこちらに居るというのに、これだけの兵とは┉?
だけど、この場の雰囲気からも罠という訳でも無さそうだ┉。
それで急遽作戦を変え、湖側からでなく警備の手薄な時間帯を狙って、正面から忍び込んだ。
建物を囲むように配置されている高塀を壁面沿いに進み、湖を臨む庭園に出た。
見ると、ここから離宮内へと回廊がぐるりと続いている。
植え込まれている木々の影に隠れながらその回廊に近づき、腰ほどの高さの壁面を屈みながら走り抜ける。
離宮内部に足を踏み入れて、警備の兵に気を配りながら中を進み、やがて大きな扉の部屋の前に来た。
──この部屋は明らかに客間だ。王以外に誰か賓客が居るのならば、この部屋なのか?
そう思ってそっと扉を開けてみる。
中に入ると、薄暗い室内の奥に僅かな光が見える。
ベッド横に置かれた灯りが、薄っすらと枕元を照らしていて誰かが眠っているのが分かる。
音を立てずにそっと近付いて、それを覗き込むと┉
──ハッ!な、何故?
62
お気に入りに追加
1,503
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
公爵家の次男は北の辺境に帰りたい
あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。
8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。
序盤はBL要素薄め。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる