【完結】冷遇され臣下に下げ渡された元妃の物語

MEIKO

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第四章・運命の歯車

38・たっての頼み(ルイスSide)

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 あれから直ぐ大帝国側にシルバとの面会の許可を求める手紙をしたためた。
 恐らく許可はいただけると思うのだが、後はシルバが国境まで来てくれるのかどうかだ┉。

 子供達が生まれた祝いとして贈った品に、伝言を隠しておいたが気付いているだろうか?
 もしそれに気付いていて、あの事実を突き付けられているのなら、「ルドミラ」の┉と言えば間違いなく来てくれるだろう。
 きっと困惑しながらも┉。

 そしてその面会に、アルベルト王も共に行くという。┉やはりな?
 その事が気懸かりではあるが、それでなければ面会は実現しなかったと思う。

 そして今日は、アルベルトが朝から出掛けていて夜まで帰らないだろう。
 よい機会だ┉今からエイダンの所に行かなくては。

 「エイダン!今からそちらに行きます。」

 隠し部屋でこの部屋の音を聞いているであろうエイダンに、前もってそちらに行く事を伝える。
 それから部屋の端に巧妙に隠された扉を開け、下に降りて行った。

 「エイダン、用があるので入りますよ」

 いつもは隠し部屋の前で、出迎えてくれるエイダンの姿がない事を不思議に思いながらも入っていく。すると┉

 「エ、エイダン!?どうしたのだ?」

 部屋の中にあるベッドで、身動きせず寝たままのエイダン。近くに寄ると赤い顔をして、ガタガタと震えながら丸まるようにして寝ている。┉もしかして熱が!
 そう思い、額にそっと手を当ててみる。

 「凄い熱だ!!」

 私は王の部屋まで慌てて引き返して、薬を持って再び下に降りた。

 エイダンの身体を何とか起こして薬を飲ませる。
 そして汗をかいた身体を拭いて服を着替えさせようとしたところで、驚きで言葉を失う。

 「こ、これは┉何故?服を脱がなければ分からないのに┉」
 エイダンの身体には、無数の火傷の跡があった┉。
 
 ──王の影武者┉だけど、普段王が人に見せないこのような火傷の跡さえも、同じにしないといけないのか?
 どれほど痛かったであろうか┉。
 私はアルベルトと言うよりも、先代の王の非情ぶりに憤りを感じだ。そして┉

 ──もうこの影武者、終わらせなければならない。
 長男である我が子を思い、心に誓う。
 あの子に影武者は必要ない!
 何代の間、このカサンドラでは続いているのかは知らないが、もし今後そういう話になったとしたら絶対に反対しなければ┉。

 その痛ましい傷に心が痛みながら服を着替えさせ、額を冷やす為に冷たい水を持ってこようとすると、私の手首を掴むエイダンが。

 「起きたのか?もう大丈夫だ┉薬を飲んだからな。今、額を冷やしてやろう」

 「す、すみません┉ありがとうございます。何か私にご用だったのでしょうか?」

 エイダンは朦朧とした様子だったが、薬が効いたのか少し回復してきたようだった。

 「エイダン┉そなたにお願いがあって来たのだ。もしこの先、私に何かあったなら息子達を安全にカリシュ国まで脱出させてやってくれないだろうか┉?」

 そう言って、私は今まで少しずつ貯めた金目の物をエイダンに渡した。
 
 
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