39 / 57
第四章・運命の歯車
38・たっての頼み(ルイスSide)
しおりを挟む
あれから直ぐ大帝国側にシルバとの面会の許可を求める手紙をしたためた。
恐らく許可はいただけると思うのだが、後はシルバが国境まで来てくれるのかどうかだ┉。
子供達が生まれた祝いとして贈った品に、伝言を隠しておいたが気付いているだろうか?
もしそれに気付いていて、あの事実を突き付けられているのなら、「ルドミラ」の┉と言えば間違いなく来てくれるだろう。
きっと困惑しながらも┉。
そしてその面会に、アルベルト王も共に行くという。┉やはりな?
その事が気懸かりではあるが、それでなければ面会は実現しなかったと思う。
そして今日は、アルベルトが朝から出掛けていて夜まで帰らないだろう。
よい機会だ┉今からエイダンの所に行かなくては。
「エイダン!今からそちらに行きます。」
隠し部屋でこの部屋の音を聞いているであろうエイダンに、前もってそちらに行く事を伝える。
それから部屋の端に巧妙に隠された扉を開け、下に降りて行った。
「エイダン、用があるので入りますよ」
いつもは隠し部屋の前で、出迎えてくれるエイダンの姿がない事を不思議に思いながらも入っていく。すると┉
「エ、エイダン!?どうしたのだ?」
部屋の中にあるベッドで、身動きせず寝たままのエイダン。近くに寄ると赤い顔をして、ガタガタと震えながら丸まるようにして寝ている。┉もしかして熱が!
そう思い、額にそっと手を当ててみる。
「凄い熱だ!!」
私は王の部屋まで慌てて引き返して、薬を持って再び下に降りた。
エイダンの身体を何とか起こして薬を飲ませる。
そして汗をかいた身体を拭いて服を着替えさせようとしたところで、驚きで言葉を失う。
「こ、これは┉何故?服を脱がなければ分からないのに┉」
エイダンの身体には、無数の火傷の跡があった┉。
──王の影武者┉だけど、普段王が人に見せないこのような火傷の跡さえも、同じにしないといけないのか?
どれほど痛かったであろうか┉。
私はアルベルトと言うよりも、先代の王の非情ぶりに憤りを感じだ。そして┉
──もうこの影武者、終わらせなければならない。
長男である我が子を思い、心に誓う。
あの子に影武者は必要ない!
何代の間、このカサンドラでは続いているのかは知らないが、もし今後そういう話になったとしたら絶対に反対しなければ┉。
その痛ましい傷に心が痛みながら服を着替えさせ、額を冷やす為に冷たい水を持ってこようとすると、私の手首を掴むエイダンが。
「起きたのか?もう大丈夫だ┉薬を飲んだからな。今、額を冷やしてやろう」
「す、すみません┉ありがとうございます。何か私にご用だったのでしょうか?」
エイダンは朦朧とした様子だったが、薬が効いたのか少し回復してきたようだった。
「エイダン┉そなたにお願いがあって来たのだ。もしこの先、私に何かあったなら息子達を安全にカリシュ国まで脱出させてやってくれないだろうか┉?」
そう言って、私は今まで少しずつ貯めた金目の物をエイダンに渡した。
恐らく許可はいただけると思うのだが、後はシルバが国境まで来てくれるのかどうかだ┉。
子供達が生まれた祝いとして贈った品に、伝言を隠しておいたが気付いているだろうか?
もしそれに気付いていて、あの事実を突き付けられているのなら、「ルドミラ」の┉と言えば間違いなく来てくれるだろう。
きっと困惑しながらも┉。
そしてその面会に、アルベルト王も共に行くという。┉やはりな?
その事が気懸かりではあるが、それでなければ面会は実現しなかったと思う。
そして今日は、アルベルトが朝から出掛けていて夜まで帰らないだろう。
よい機会だ┉今からエイダンの所に行かなくては。
「エイダン!今からそちらに行きます。」
隠し部屋でこの部屋の音を聞いているであろうエイダンに、前もってそちらに行く事を伝える。
それから部屋の端に巧妙に隠された扉を開け、下に降りて行った。
「エイダン、用があるので入りますよ」
いつもは隠し部屋の前で、出迎えてくれるエイダンの姿がない事を不思議に思いながらも入っていく。すると┉
「エ、エイダン!?どうしたのだ?」
部屋の中にあるベッドで、身動きせず寝たままのエイダン。近くに寄ると赤い顔をして、ガタガタと震えながら丸まるようにして寝ている。┉もしかして熱が!
そう思い、額にそっと手を当ててみる。
「凄い熱だ!!」
私は王の部屋まで慌てて引き返して、薬を持って再び下に降りた。
エイダンの身体を何とか起こして薬を飲ませる。
そして汗をかいた身体を拭いて服を着替えさせようとしたところで、驚きで言葉を失う。
「こ、これは┉何故?服を脱がなければ分からないのに┉」
エイダンの身体には、無数の火傷の跡があった┉。
──王の影武者┉だけど、普段王が人に見せないこのような火傷の跡さえも、同じにしないといけないのか?
どれほど痛かったであろうか┉。
私はアルベルトと言うよりも、先代の王の非情ぶりに憤りを感じだ。そして┉
──もうこの影武者、終わらせなければならない。
長男である我が子を思い、心に誓う。
あの子に影武者は必要ない!
何代の間、このカサンドラでは続いているのかは知らないが、もし今後そういう話になったとしたら絶対に反対しなければ┉。
その痛ましい傷に心が痛みながら服を着替えさせ、額を冷やす為に冷たい水を持ってこようとすると、私の手首を掴むエイダンが。
「起きたのか?もう大丈夫だ┉薬を飲んだからな。今、額を冷やしてやろう」
「す、すみません┉ありがとうございます。何か私にご用だったのでしょうか?」
エイダンは朦朧とした様子だったが、薬が効いたのか少し回復してきたようだった。
「エイダン┉そなたにお願いがあって来たのだ。もしこの先、私に何かあったなら息子達を安全にカリシュ国まで脱出させてやってくれないだろうか┉?」
そう言って、私は今まで少しずつ貯めた金目の物をエイダンに渡した。
62
お気に入りに追加
1,501
あなたにおすすめの小説

【完結】最初で最後の恋をしましょう
関鷹親
BL
家族に搾取され続けたフェリチアーノはある日、搾取される事に疲れはて、ついに家族を捨てる決意をする。
そんな中訪れた夜会で、第四王子であるテオドールに出会い意気投合。
恋愛を知らない二人は、利害の一致から期間限定で恋人同士のふりをすることに。
交流をしていく中で、二人は本当の恋に落ちていく。
《ワンコ系王子×幸薄美人》
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
シャルルは死んだ
ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる