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第三章・予期せぬ計略
23・危機
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「シルバ、では行ってくる。私が留守の間、子供達を頼むぞ。それに┉身体を大事にな!決して無理はするな?」
私は深く頷きながら、どうかご無事で┉とマクシミリアンを見送る。
あれから直ぐに、二度目の妊娠が判明した私を気遣いながら、マクシミリアンは王都に向けて出立した。
この大帝国で権勢を振るっていた宰相の、ロハス侯爵家が密輸によって私腹を肥やしているという容疑が判明した。
その容疑が、沢山の証拠と証言で明確になり有罪となる。
即刻、宰相やロハス侯爵家の者達が処刑される。
元侯爵家の令嬢で、現王妃はガルド王の御子様達の母だという事が考慮され、廃妃となり幽閉されることとなった。
しかし、幽閉されて二日後毒を煽って自死しているのが発見される。
本当に自死なのか、殺されたのかは誰にも分からない┉。
その元王妃の御子様、王子殿下と王女殿下お二人は城を出て、離宮に住まいを移すこととなった。
実質、切り捨てられたのと同じことだが、何せガルド王の男の御子様はこの王子ただお一人┉。
そのうち王子殿下だけは、呼び戻されるのだと思われた。
辺境伯家当主マクシミリアンは、王都から遠く離れている為にこれ以上の情報が入ってこない状況を解決するべく王都に向かう。
領地に住まいを移していた重臣達も、この国の一大事として皆一様に王都に向かったのだ。
「かあさま、とうさまだいじょうぶかなぁ~」
「とうさまがいなくて、さびしい」
子供達もマクスが居ない状況は初めてで、心配になっている。
「大丈夫だよ!お父様はお城に行って王様と大事なお話しがあるんだ。そしたら直ぐに帰って来るからね。お母様と一緒に良い子で待っていられるよね?」
はーい!と返事する可愛い我が子達を見ながら、だけどやっぱり心配になる┉。
あの重臣達の中で、一番王からの信頼を得ていたあの宰相が!?と。
それに何と言っても、王妃様のご実家だ。
重臣の中では頭一つ抜き出ているくらいの権力も財産もある家門だ┉。
王だとしても、宰相の決断に口を挟むのは並大抵のことではなかったと思う。
そんな家門の出の王子が、もし皇太子になり、王になったら?それこそ向かうところ敵無しだろう。
そんな宰相が、わざわざ密輸などするだろうか┉?
もしかしたら、それを危ぶんだ者が居たのかもしれないな。
私が後宮に入った時に伝え聞いた話しでは、王家に生まれる男子は元々少ない家系だと聞いている。
だからあれだけ妃が居る中でも、男の御子様はお一人のみで┉。
だけど、王もまだお若いしこれからだって┉と思ったところで、私は一体何を考えているのか?と┉。
──関係ない!私には。
マクスやエリオット、オスカー、それと新しく産まれてくる子のことだけで頭が一杯だ!
取り敢えず、辺境伯家に関係する状況があるのか無いのかだけを確認して、マクスには早く私達の元へ帰って来て欲しかった。
そしてマクスが出立して二週間が過ぎた。
始めは父の居ないこの家に、寂しさを感じていた子供達も落ち着きを取り戻していた。
ロベルトに頼んでやり始めた勉強も、僕達がしっかりしないと!と思っているのか真剣に取り組んでいるようでホッとする。
ここから王都まで、馬車なら一週間かかるが早馬ならば四日ほど┉。
そろそろあちらを出て、今週末くらいにはマクスが帰って来るかも知れない!と待ち望んでいたある日、思っても見ない事態が起きる。
エリオットとオスカーが、いつものように外で遊んでいた時だ┉。エリオットだけが青い顔をして屋敷に飛び込んで来る。
「かあさま、たいへんだ!オ、オスカーがいないんだ。たったいままで、いっしょにあそんでいたのに、ふりむいたら┉もういなかった!」
──オスカーが!?何故?
私や屋敷の者達は、一心不乱にオスカーを探す。
森に入ったのではないか?川に落ちたのではないか?とありとあらゆる所を探しても見つける事は出来ない!
得も言われぬ不安が私達を襲った時、ロベルトが思い出したように口を開く。
「そう言えば┉見知らぬ馬車を見掛けました!最初、関係ないのだと思っていましたが。もしかして、その馬車に┉って事は考えられないでしょうか?」
──知らぬ馬車だと?でも、いくら小さいと言っても慎重に行動するオスカーが、知らない馬車になど乗るだろうか?
知っている人物が乗っていたなら別だろうが┉。
その後も関わりがある貴族や領民までもが参加して、大捜索が行われた。
だけど、忽然と消えたオスカーの行方は知れぬまま┉。
そんな中、差出人名がない手紙が屋敷に届く。
セバスが慌てて持ってきて、私に手渡す。震える指でその手紙を開けると┉
「オスカーに、会いたければ┉王都に来い┉だと!?」
私は深く頷きながら、どうかご無事で┉とマクシミリアンを見送る。
あれから直ぐに、二度目の妊娠が判明した私を気遣いながら、マクシミリアンは王都に向けて出立した。
この大帝国で権勢を振るっていた宰相の、ロハス侯爵家が密輸によって私腹を肥やしているという容疑が判明した。
その容疑が、沢山の証拠と証言で明確になり有罪となる。
即刻、宰相やロハス侯爵家の者達が処刑される。
元侯爵家の令嬢で、現王妃はガルド王の御子様達の母だという事が考慮され、廃妃となり幽閉されることとなった。
しかし、幽閉されて二日後毒を煽って自死しているのが発見される。
本当に自死なのか、殺されたのかは誰にも分からない┉。
その元王妃の御子様、王子殿下と王女殿下お二人は城を出て、離宮に住まいを移すこととなった。
実質、切り捨てられたのと同じことだが、何せガルド王の男の御子様はこの王子ただお一人┉。
そのうち王子殿下だけは、呼び戻されるのだと思われた。
辺境伯家当主マクシミリアンは、王都から遠く離れている為にこれ以上の情報が入ってこない状況を解決するべく王都に向かう。
領地に住まいを移していた重臣達も、この国の一大事として皆一様に王都に向かったのだ。
「かあさま、とうさまだいじょうぶかなぁ~」
「とうさまがいなくて、さびしい」
子供達もマクスが居ない状況は初めてで、心配になっている。
「大丈夫だよ!お父様はお城に行って王様と大事なお話しがあるんだ。そしたら直ぐに帰って来るからね。お母様と一緒に良い子で待っていられるよね?」
はーい!と返事する可愛い我が子達を見ながら、だけどやっぱり心配になる┉。
あの重臣達の中で、一番王からの信頼を得ていたあの宰相が!?と。
それに何と言っても、王妃様のご実家だ。
重臣の中では頭一つ抜き出ているくらいの権力も財産もある家門だ┉。
王だとしても、宰相の決断に口を挟むのは並大抵のことではなかったと思う。
そんな家門の出の王子が、もし皇太子になり、王になったら?それこそ向かうところ敵無しだろう。
そんな宰相が、わざわざ密輸などするだろうか┉?
もしかしたら、それを危ぶんだ者が居たのかもしれないな。
私が後宮に入った時に伝え聞いた話しでは、王家に生まれる男子は元々少ない家系だと聞いている。
だからあれだけ妃が居る中でも、男の御子様はお一人のみで┉。
だけど、王もまだお若いしこれからだって┉と思ったところで、私は一体何を考えているのか?と┉。
──関係ない!私には。
マクスやエリオット、オスカー、それと新しく産まれてくる子のことだけで頭が一杯だ!
取り敢えず、辺境伯家に関係する状況があるのか無いのかだけを確認して、マクスには早く私達の元へ帰って来て欲しかった。
そしてマクスが出立して二週間が過ぎた。
始めは父の居ないこの家に、寂しさを感じていた子供達も落ち着きを取り戻していた。
ロベルトに頼んでやり始めた勉強も、僕達がしっかりしないと!と思っているのか真剣に取り組んでいるようでホッとする。
ここから王都まで、馬車なら一週間かかるが早馬ならば四日ほど┉。
そろそろあちらを出て、今週末くらいにはマクスが帰って来るかも知れない!と待ち望んでいたある日、思っても見ない事態が起きる。
エリオットとオスカーが、いつものように外で遊んでいた時だ┉。エリオットだけが青い顔をして屋敷に飛び込んで来る。
「かあさま、たいへんだ!オ、オスカーがいないんだ。たったいままで、いっしょにあそんでいたのに、ふりむいたら┉もういなかった!」
──オスカーが!?何故?
私や屋敷の者達は、一心不乱にオスカーを探す。
森に入ったのではないか?川に落ちたのではないか?とありとあらゆる所を探しても見つける事は出来ない!
得も言われぬ不安が私達を襲った時、ロベルトが思い出したように口を開く。
「そう言えば┉見知らぬ馬車を見掛けました!最初、関係ないのだと思っていましたが。もしかして、その馬車に┉って事は考えられないでしょうか?」
──知らぬ馬車だと?でも、いくら小さいと言っても慎重に行動するオスカーが、知らない馬車になど乗るだろうか?
知っている人物が乗っていたなら別だろうが┉。
その後も関わりがある貴族や領民までもが参加して、大捜索が行われた。
だけど、忽然と消えたオスカーの行方は知れぬまま┉。
そんな中、差出人名がない手紙が屋敷に届く。
セバスが慌てて持ってきて、私に手渡す。震える指でその手紙を開けると┉
「オスカーに、会いたければ┉王都に来い┉だと!?」
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