21 / 57
第二章・辺境伯夫人へ
20・辺境伯家の幸福
しおりを挟む
私が出産した子は、やはり双子だった。
二卵性だったのか二人は余り似ていなかったが、一度に二人の子持ちになった私達は幸せだった。
長男はエリオット、マクシミリアンと同じ銀髪に私譲りの菫色の瞳をしていた。そして次男はオスカー、私と同じ黒髪に赤い目だ。
我がベルード辺境伯家は、とたんに賑やかになる。
マクシミリアンに二人の子供もいて、私は幸せの絶頂にいた。あの大帝国にいた時の孤独など無かったかのように思ってしまうほど┉。
子供の成長はあっという間で、声を発したかと思えば、急に歩き出したりして私達を驚かせる。
「かあさま!ぼくとてをつないで?」
「だめだよ!ぼくとつなぐ~!」
両手にエリオットとオスカーで、二人共私にべったりだ┉。
幸せな悩みかも?だが、向こうにいる父様が寂しそうだぞ?かと思ったら┉
「シルバは父様のだぞ!お前達には渡さん!」
「えぇーっ!だめ~」
「とうさまずるい~」
──私を取り合いする家族┉なんて幸せだろう。
エリオットとオスカーも二歳を過ぎて、そろそろ勉強や運動を始めさせようか?と思っている。
まだ早いかも知れないが、真似事みたいな感じでも今からやっておいた方が、将来あの子達の為になるから┉。
親としては、やりたい事をさせてやりたいし、可能性を伸ばしてやりたいと思う。
この広大な辺境の地を駆け回って遊ぶ、子供達を見ながらマクスと微笑み合う。
「マクス、私は幸せだ!全てあなたのお陰だよ。」
隣にいる愛しい人に感謝を伝える。
「シルバ、私だって幸せ者だ。一生手に入らないと思っていたあなたを自分の物に出来たのだから┉。」
愛してる┉そう呟きながら口付ける。そして、マクスに「次は女の、子が欲しいな?」唐突にそんな事を言われて赤面してしまう。
──んんっ、子供達に聞こえるかと思った!恥ずかしい┉。
だけど、もしかして次の子が!?と今密かに思っている。
確かになるまではマクスには言えないけれど。きっと男でも女でもどちらでも喜んでくれるだろう。
「エリオット様~、オスカー様!あまり遠くに行かれてはいけませんよー!」
今はすっかりとベルード辺境伯家に慣れて、子供達のお目付け役になっているロベルトが大きな声を張り上げる。
ロベルトは今は平民だが、元伯爵家の人間なので、子供達の教育にも剣術にも打って付けの人物だ。あれ程懐いているし、ロベルトに指導を頼んでみようかな?と思う。
それから私達は揃って屋敷に帰って来たところに、非常に慌てている執事のセバスが目に入る。
「セバス、どうした?何をそのように慌てていいるんだ?」
マクスのその言葉にセバスが振り返って、ホッとした顔をする。
「マクシミリアン様、大変です!今王都から使いの者が参りました。その者によりますと、宰相のロハス侯爵家がお取り潰しになりました。何やら密輸に手を染めていたと┉。侯爵家の者は処刑され、それによって王妃様は幽閉されましたが、その後自死したようにございます。」
──私は、衝撃を受けた。あの宰相が失脚し、処刑された┉だと?それに王妃様も自死。なんて事だ┉。
「それで、王子様は?それに王女様もお二人おられたのではないか?」
それには知らせの中で分からぬようで、セバスは伏し目がちに首を横に振る。
──何だろうか┉嫌な予感がする。何か作為的なような┉。
私は、自分が妊娠したかも知れないその時にこのような報せが┉と不安になった。
二卵性だったのか二人は余り似ていなかったが、一度に二人の子持ちになった私達は幸せだった。
長男はエリオット、マクシミリアンと同じ銀髪に私譲りの菫色の瞳をしていた。そして次男はオスカー、私と同じ黒髪に赤い目だ。
我がベルード辺境伯家は、とたんに賑やかになる。
マクシミリアンに二人の子供もいて、私は幸せの絶頂にいた。あの大帝国にいた時の孤独など無かったかのように思ってしまうほど┉。
子供の成長はあっという間で、声を発したかと思えば、急に歩き出したりして私達を驚かせる。
「かあさま!ぼくとてをつないで?」
「だめだよ!ぼくとつなぐ~!」
両手にエリオットとオスカーで、二人共私にべったりだ┉。
幸せな悩みかも?だが、向こうにいる父様が寂しそうだぞ?かと思ったら┉
「シルバは父様のだぞ!お前達には渡さん!」
「えぇーっ!だめ~」
「とうさまずるい~」
──私を取り合いする家族┉なんて幸せだろう。
エリオットとオスカーも二歳を過ぎて、そろそろ勉強や運動を始めさせようか?と思っている。
まだ早いかも知れないが、真似事みたいな感じでも今からやっておいた方が、将来あの子達の為になるから┉。
親としては、やりたい事をさせてやりたいし、可能性を伸ばしてやりたいと思う。
この広大な辺境の地を駆け回って遊ぶ、子供達を見ながらマクスと微笑み合う。
「マクス、私は幸せだ!全てあなたのお陰だよ。」
隣にいる愛しい人に感謝を伝える。
「シルバ、私だって幸せ者だ。一生手に入らないと思っていたあなたを自分の物に出来たのだから┉。」
愛してる┉そう呟きながら口付ける。そして、マクスに「次は女の、子が欲しいな?」唐突にそんな事を言われて赤面してしまう。
──んんっ、子供達に聞こえるかと思った!恥ずかしい┉。
だけど、もしかして次の子が!?と今密かに思っている。
確かになるまではマクスには言えないけれど。きっと男でも女でもどちらでも喜んでくれるだろう。
「エリオット様~、オスカー様!あまり遠くに行かれてはいけませんよー!」
今はすっかりとベルード辺境伯家に慣れて、子供達のお目付け役になっているロベルトが大きな声を張り上げる。
ロベルトは今は平民だが、元伯爵家の人間なので、子供達の教育にも剣術にも打って付けの人物だ。あれ程懐いているし、ロベルトに指導を頼んでみようかな?と思う。
それから私達は揃って屋敷に帰って来たところに、非常に慌てている執事のセバスが目に入る。
「セバス、どうした?何をそのように慌てていいるんだ?」
マクスのその言葉にセバスが振り返って、ホッとした顔をする。
「マクシミリアン様、大変です!今王都から使いの者が参りました。その者によりますと、宰相のロハス侯爵家がお取り潰しになりました。何やら密輸に手を染めていたと┉。侯爵家の者は処刑され、それによって王妃様は幽閉されましたが、その後自死したようにございます。」
──私は、衝撃を受けた。あの宰相が失脚し、処刑された┉だと?それに王妃様も自死。なんて事だ┉。
「それで、王子様は?それに王女様もお二人おられたのではないか?」
それには知らせの中で分からぬようで、セバスは伏し目がちに首を横に振る。
──何だろうか┉嫌な予感がする。何か作為的なような┉。
私は、自分が妊娠したかも知れないその時にこのような報せが┉と不安になった。
90
お気に入りに追加
1,500
あなたにおすすめの小説
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる