18 / 57
第二章・辺境伯夫人へ
17・傾国の美(ルイスSide)
しおりを挟む
「ルイス、お前はカサンドラ国王アルベルトに嫁ぐか?」
父である、カリシュの国王にそう問われて驚いた。
何故なら、より強い国に嫁ぐように言われていたから。
私が嫁ぐ先は、間違いなく大帝国のガルド王の元だ┉ずっとそう言われてきた。
先日、そのガルド王が我が国までやって来て初めての対面を済ませたのだが┉。
まだ先方からは何の沙汰もないが、わざわざ来るという事はその気持ちがあるのだと思われるが┉?
その事を問うと、父は渋い顔をした。
「大帝国側は、今は半性身の者を妃として迎えるつもりはないらしい。」
──これは意外な事を聞くな?今は┉それでは、いずれは迎えるつもりがあるという事か。もしかして、シルバか?
シルバ┉あの子は三つ離れた弟で、母親は違うが同じ半性身で特別な繋がりがある。
果たしてあの子に、ガルド王の妃が務まるのか?
大帝国には既に王妃がいて、後継者と目される王子もいるという┉。おまけに各国から送り込まれた数多くの妃達が居て。
私ならまだしも、あの控え目なシルバが。
──ガルド王は、シルバがお気に召したのか┉。それでは、結婚できる十六までは三年ほど後┉そういう意味合いなのだな。
「父上、なれどカサンドラ国には既に王妃がおられるのでは?王子も確かお二人はおられますね。大帝国に嫁ぐのではなければ、まだ他の国の王妃になれるところへ行った方がいいと思うのですが┉?」
大帝国ほどの大国ならば、王妃になれずとも嫁ぐ価値があるが、カサンドラ程度では┉わざわざ私が嫁ぐ必要はないと思う。それに、王妃に目くじら立てられるのも面倒だ。
間違いなく私の方が美しいのだぞ?女の嫉妬ほど醜いものはないしな。
「それならば、カサンドラ側にはお断りしておく。何処かでお前を見掛けて惚れ込んでいると聞いたがな┉。」
──私を見掛けた?お会いした事は無いのに。何やらきな臭い感じがする┉そんな男は近付かないに限るだろう。
そんな父とのやり取りなど忘れかけた時、衝撃の事実を知る。
カサンドラ国王が、謀反の疑いで王妃とそのお子二人を処刑したのだ!
表向きでは幽閉した事になっているが┉。
──それほど迄に、私を求めていると┉。
私が王妃とお子が既にいるからと断ったからとて、自分の血を分けた子を殺すのか!?
私は空恐ろしくなった┉。
このまま、断り続けたらカリシュに攻め込むのではないか?と。大帝国に次ぐ軍事力を持つ国だ。この国など一溜りもないだろうと思う。
私は怖かった┉この国が滅ぼされるかもしれない。
それよりも怖いのが、アルベルト王だ。
私はカサンドラ国に行く決心をした。私が嫁ぐ他はない。
せめて、あの子シルバが大帝国のガルド王に嫁ぐまでは┉。
そうして意を決してアルベルト王に嫁いだが『そんな男は近付かないに限る』そう最初に感じた私の予感が当たっている事を思い知らされることとなった。
二人の王子を産み、我が子さえも人質のように感じてしまう。
──あの恐ろしい人、アルベルトの前では。
父である、カリシュの国王にそう問われて驚いた。
何故なら、より強い国に嫁ぐように言われていたから。
私が嫁ぐ先は、間違いなく大帝国のガルド王の元だ┉ずっとそう言われてきた。
先日、そのガルド王が我が国までやって来て初めての対面を済ませたのだが┉。
まだ先方からは何の沙汰もないが、わざわざ来るという事はその気持ちがあるのだと思われるが┉?
その事を問うと、父は渋い顔をした。
「大帝国側は、今は半性身の者を妃として迎えるつもりはないらしい。」
──これは意外な事を聞くな?今は┉それでは、いずれは迎えるつもりがあるという事か。もしかして、シルバか?
シルバ┉あの子は三つ離れた弟で、母親は違うが同じ半性身で特別な繋がりがある。
果たしてあの子に、ガルド王の妃が務まるのか?
大帝国には既に王妃がいて、後継者と目される王子もいるという┉。おまけに各国から送り込まれた数多くの妃達が居て。
私ならまだしも、あの控え目なシルバが。
──ガルド王は、シルバがお気に召したのか┉。それでは、結婚できる十六までは三年ほど後┉そういう意味合いなのだな。
「父上、なれどカサンドラ国には既に王妃がおられるのでは?王子も確かお二人はおられますね。大帝国に嫁ぐのではなければ、まだ他の国の王妃になれるところへ行った方がいいと思うのですが┉?」
大帝国ほどの大国ならば、王妃になれずとも嫁ぐ価値があるが、カサンドラ程度では┉わざわざ私が嫁ぐ必要はないと思う。それに、王妃に目くじら立てられるのも面倒だ。
間違いなく私の方が美しいのだぞ?女の嫉妬ほど醜いものはないしな。
「それならば、カサンドラ側にはお断りしておく。何処かでお前を見掛けて惚れ込んでいると聞いたがな┉。」
──私を見掛けた?お会いした事は無いのに。何やらきな臭い感じがする┉そんな男は近付かないに限るだろう。
そんな父とのやり取りなど忘れかけた時、衝撃の事実を知る。
カサンドラ国王が、謀反の疑いで王妃とそのお子二人を処刑したのだ!
表向きでは幽閉した事になっているが┉。
──それほど迄に、私を求めていると┉。
私が王妃とお子が既にいるからと断ったからとて、自分の血を分けた子を殺すのか!?
私は空恐ろしくなった┉。
このまま、断り続けたらカリシュに攻め込むのではないか?と。大帝国に次ぐ軍事力を持つ国だ。この国など一溜りもないだろうと思う。
私は怖かった┉この国が滅ぼされるかもしれない。
それよりも怖いのが、アルベルト王だ。
私はカサンドラ国に行く決心をした。私が嫁ぐ他はない。
せめて、あの子シルバが大帝国のガルド王に嫁ぐまでは┉。
そうして意を決してアルベルト王に嫁いだが『そんな男は近付かないに限る』そう最初に感じた私の予感が当たっている事を思い知らされることとなった。
二人の王子を産み、我が子さえも人質のように感じてしまう。
──あの恐ろしい人、アルベルトの前では。
74
お気に入りに追加
1,500
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる