上 下
5 / 13

5

しおりを挟む
「サーシャ、リディア様の聖女認定日が
決まったよ」

「そう、いつかしら?」

「急だが明後日なんだ
陛下と皇后の予定が詰まっていてね」

「私やリディア様は大丈夫ですわ
大神官はどうかしらね」

「大丈夫だ。リディア様さえ調整出来ればね」

「わかったわ、クラウスとリディア様に
伝えるわ」

「あぁ、頼んだ」

殿下に頼まれたサーシャは直ぐに
クラウスとリディアに告げた

当日の朝

リディアはクラウスと共にホールで
リハーサルをしていた。

サーシャが現れるとクラウスは
警備の確認をすると聖騎士団の
控え室へと向かった

聖女認定 2時間前

リディアはサーシャと一緒に軽食を取り
お茶をしていた

「リディア様、普段通りに水晶を
光らせれば良いだけなので大丈夫です」

「はい、ありがとうございます」

「ふふっ、ラース卿が緊張していて
笑ってしまうわ」

「ラース卿がですか?」

「リディア様の専属護衛騎士でしょ?
それに彼ももうすぐソードマスターの
試験を受けるのよ」

神力を持った者で力が強い者は
聖女やソードマスターになる

女性は聖女となる事が多いし
男性は聖騎士となりソードマスターに
なる
もちろん女性の聖騎士も存在し
男性の聖師も存在する

そして
聖師、聖女、ソードマスターという
称号を与えられると
王族と同じように政治に関与でき
なんと言っても王族に対しての
不敬罪に問われる事がなくなり
一般貴族や民に不敬罪を問えるのだ。

リディアは早く聖女の称号が欲しかった

サーシャとお茶を終えたリディアは
クラウスとラース卿と共に
会場まで来た

「私リディアはこれから聖女認定式に
臨みます。宜しくお願いいたします」

手を合わせて女神様に語りかけると
リディアの頭の中に声が響いた

「リディアよ聖女となり民を導きなさい」

「行ってまいります」

リディアがホールに入ると祭壇の
向いには王族と伯爵以上の貴族が座り
左右には神官と聖騎士が立っている

大神官ルースと聖女サーシャは
階段の前に立って
リディアを見ていた。

クラウスにエスコートされながら
祭壇の階段まで来ると

サーシャが告げた

「これからリディア様の聖女認定式を
行います。
終了までお静かにお願いいたします」

ルースが階段を上がり水晶の脇に立つと
クラウスに手を預けながら
ゆっくりと水晶の前まで登った

水を張ったボウルの中央に大きな水晶が
あった

クラウスはリディアに頭を下げると
ルースの反対側に立った

良し、行くわよ!
リディアは手に神力を貯めると水晶に
放った。

キラキラキラキラ……水晶が光る

会場からは思わず「おぉ」と声が洩れた
その時だ

「さすが我が娘リディア!
我がマスラン家、自慢の嫁だ!!」

会場の皆が「は?」と思った時
リディアの手から更なる強い力が出た
水晶はキラキラを通り過ぎて
目を開けられない程に光った

そう、リディアはこの席にハワードが
居る事を思い出したのだ。

「おーっリディアよ
我が家に幸運を授けてくれ」

リディアはその言葉にプツリときた

「水晶よ、高く上がれ!」

リディアが腕を上げると水晶が
高く上がった

「行け!」

リディアの動きに連動して水晶が
ホールの中央に止まった

「砕けろ!」

リディアが拳を作ると…

バリーン!! 水晶が割れて床に落ちた

「はぁ、やったー」

リディアは達成感を感じていたが…

「馬鹿なの貴女は?
水晶を割る聖女なんて居ないわよ!
やりすぎだわ!全くもう」

リディアの頭の中に
女神の声が聞こえた

「ごめんなさい女神様…だって…」

「だってじゃないわ」

「……」


貴族や王族も神官、聖騎士も
砕けた水晶を見て驚いている

「ふふっ、やだわ…ちょっと
はははは」 

サーシャが笑っている

「ごめんなさい失礼しました
聖女リディアが水晶を割ったので
女神様がリディア様をお叱りになったの
リディア様はお転婆聖女様ですわ」

皆がざわついている

「女神がリディア様をお叱りしたと?」

「リディア様が聖女で大丈夫なのか?」


サーシャが手をパチンと叩いた

「さ、皆様、リディア様が聖女と
認められました。大神官より
聖女の証をお渡しします」

大神官ルースは慌てて
聖女認定を受けたリディアにブローチを
渡した

「リディア様、大陸1を誇る素晴らしい
力です。国の為、民の為に
どうか宜しくお願いいたします」

「はい」

会場から拍手が起こった

リディアが見ると最初に拍手をしたのは
皇后の様だ

クラウスの手を取り階段を降りた
リディアは柔らかい笑みを皇后に向け
礼をすると会場を後にした。

リディアがクラウスに案内された
部屋には聖騎士が待っていた。

リディアがラース卿に渡された剣を
手に取るとるとラースはリディアの前に
膝まずいた

「リディア・バレンスティンの
剣、そして盾となりあらゆる危険から
我を守るとここに誓うか」

「ラース・ファダンは
リディア・バレンスティンを主とし
あらゆる危険から守りこの身を捧げる
事を誓います」

「ラース・ファダンを専属騎士として
認めよう」

こうしてラース卿は
リディアの専属騎士としての誓いを終えた


そしてリディアはサーシャが待つ
庭園へと向かった。

もちろんラース卿も一緒だった



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

離婚された夫人は、学生時代を思いだして、結婚をやり直します。

甘い秋空
恋愛
夫婦として何事もなく過ごした15年間だったのに、離婚され、一人娘とも離され、急遽、屋敷を追い出された夫人。 さらに、異世界からの聖女召喚が成功したため、聖女の職も失いました。 これまで誤って召喚されてしまった女性たちを、保護している王弟陛下の隠し部屋で、暮らすことになりましたが……

【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」 物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。 ★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位 2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位 2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位 2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位 2023/01/08……完結

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)

蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。 聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。 愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。 いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。 ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。 それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。 心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

私は王子の婚約者にはなりたくありません。

黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。 愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。 いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。 そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。 父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。 しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。 なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。 さっさと留学先に戻りたいメリッサ。 そこへ聖女があらわれて――   婚約破棄のその後に起きる物語

「もう遅い!」・・・と言う気はありませんが、皆様、何がいけなかったのかちゃんと理解してますか?でないとまた同じ結果になってしまいますよ?

***あかしえ
恋愛
持って生まれた異能のせいで聖女と呼ばれ、王太子殿下の婚約者となっていましたが、 真の聖女は妹だったとか、その妹を虐めていたとか、 不特定多数の男性といかがわしい関係だったとか・・・事実無根な叱責を受け、 婚約破棄の末に国外追放されたのも昔のことです。 今はもう、私は愛しのマイダーリンを見つけて幸せになっていますから! 今更ではありますが・・・きちんと自らの罪を受け入れて、 あの時どうするべきだったのか、これからどうするべきなのかを分かっているのであれば、 皆さんをお助けするのは吝かではありませんよ?

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

聖女の取り巻きな婚約者を放置していたら結婚後に溺愛されました。

しぎ
恋愛
※題名変更しました  旧『おっとり令嬢と浮気令息』 3/2 番外(聖女目線)更新予定 ミア・シュヴェストカは貧乏な子爵家の一人娘である。領地のために金持ちの商人の後妻に入ることになっていたが、突然湧いた婚約話により、侯爵家の嫡男の婚約者になることに。戸惑ったミアだったがすぐに事情を知ることになる。彼は聖女を愛する取り巻きの一人だったのだ。仲睦まじい夫婦になることを諦め白い結婚を目指して学園生活を満喫したミア。学園卒業後、結婚した途端何故か婚約者がミアを溺愛し始めて…!

処理中です...