17 / 26
17
しおりを挟む
謁見室で待っていたのは
ブェールス侯爵夫婦とカルロスだ
「王族を刺した」
それは一族の処分を意味している。
覚悟を決めた一家は息をする事も
忘れるほどに追いつめられていた。
「待たせたな」
「申し訳ございません」
「何故に謝罪をするのだ。頭を上げよ」
3人はゆっくりと頭を上げた
「うむ、さてと どうしたものかな
私と侯爵の付き合いだ正直に話そう。
リディー嬢を疑ってはいない」
その言葉に3人は驚いた
「肝心のテリウスがまだ目覚めんのだ
あやつが目覚めれば刺した者がわかる
だろう」
侯爵は驚いた
「しかし……娘が……」
「何故そう思う
リディー嬢にテリウスを刺す動機が
あるのか?アイツからは聞いていない
んーそれにだなぁ、、
おい、これは内密だぞ
テリウスがだな宮医の1人にある物の
分析を依頼していたんだよ。
それがモモゴウズという花の蜜でな
何やら毒がある花らしいんだ。
リディー嬢がその場に居た時
ろれつがまわらずに身体の力が抜けていた
と侍女と騎士が証言しているのだよ。
もしやリディー嬢は毒を含んだ可能性が
あるんだ」
「……!?」
「何、大丈夫だ
建前上まだ牢にいるが専門医が
解毒剤を必死に作っている」
「あの…リディーは誰に毒を…」
「まだ言えん。
早まるなよ侯爵 時を待て。王命ぞ」
「か、かしこまりました」
「うむ、今は娘を信じて待っていろ」
「有り難きお言葉…身に染み入ります」
「そう時間はかからんだろう」
婦人は涙を流しながら頭を下げた。
「帰ってゆっくり休め戦いは続くぞ」
侯爵一家は馬車で放心状態になっていた
その場で拘束されて牢に入れられて
処刑日を待つ覚悟でいたからだ。
「せめて最後にリディーに会いたい」
それだけだった。
『地下牢』
「令嬢…令嬢…大丈夫ですか?」
「誰…」
「ジェレミーです。起き上がれれますか」
鉄格子の前で巾着を出す
「な、何?」
「お水をお持ちしました」
「まさか毒なの?いらないわ」
「違いますよ。陛下からです
解毒剤が入った水です飲んで下さい」
リディーは重たい身体を引きづって
鉄格子越しに水を手にすると飲んだ
ゴクゴクッ…
「はぁ、生き返ったわ。
そう…わかったのモモゴウズという毒
姉様がやられたのは毒よ……
助けて…姉様を……」
リディーはそう伝えると再び眠りについた
「令嬢…待っていてくださいね
もうすぐですから」
ジェレミーはリディーに優しく言うと
もう1つ巾着を置いて去った
この時
リディーの身体は思う以上に弱っていた
『テリウスの部屋』
「うっ……」
「「「!?」」」
侍女長と宮医がテリウスの声に反応し
宮医が慌ててテリウスの手を取った
「殿下おわかりになりますか」
呼吸は浅いが脈はしっかりと感じた
「うっ……」
侍女長はゆっくりと水を含ませた
ガーゼをテリウスの口元に運び水滴を
垂らした。
「もっと…くれ」
テリウスの首を支えながらコップの水を
流し込む
「ゴクッ……ゴクッ」
2人はテリウスの目覚めを陛下に伝えると
テリウスの部屋に陛下が来た
「皆テリウスが目覚めた事は口外するな
わかったな」
側近や騎士達は喜びもつかの間
互いに顔を見合わせて困惑したが
「かしこまりました」と
頭を下げた。
それから1時間程 2人だけの話しが
続いた。
『ブェールス侯爵家』
深夜
ドン ドン ドン
誰かが門を叩いている
「侯爵様、夜分に申し訳ございません
よろしいでしょうか」
執事は恐る恐る扉を開けた。
するとそこには王宮騎士団の制服を着た
騎士が立っていた。
執事は
「いよいよか…旦那様…」
心の中で呟くと目をきつく閉じた
侯爵はゆっくりと玄関に現れ
その後ろからカルロスが夫人を支えながら
歩いてきた。
騎士が侯爵に1枚の封書と袋を手渡した
「取り急ぎ陛下より
こちらを侯爵に渡すように命じられました」
侯爵は震える身体を隠しながら封書を
開いた
そこには
「モモゴウズの解毒薬をリディアーナ嬢
に飲ませろ。
テリウスは無事に生還した。
しかしこの事は口外禁止とする」
と記されている
「あ、、あああ……っ」
緊張が一気に解けた侯爵は
頭を抱え膝をつくと涙を流した
「ありがとうございました」
「いえ、では私達はこれで失礼します」
騎士は馬に跨ると颯爽とブェールス邸
から去って行った
侯爵は袋に入った草を抱きしめると
自ら台所へと向かい鍋に水を沸かし
始めた
「父上…それは?」
侯爵は陛下からの手紙をカルロスに
渡した。
内容を確認したカルロスは
全身から声を出した。
「うぉぉぉぉーっ!」
すぐに新しいガーゼを用意すると
出来たての薬草水をリディアーナに
飲ませた。
リディーは眠っていた
頭の中では色々と考えている。
身体が動かない。
睡魔と自分の戦いが続けられていた
「毒…姉様…飲む…」
「殿下…血が…流れて…だめ…起きて」
「痛い…水…喉…痛い…」
深い闇の中にいるような感覚だった。
つづく
ブェールス侯爵夫婦とカルロスだ
「王族を刺した」
それは一族の処分を意味している。
覚悟を決めた一家は息をする事も
忘れるほどに追いつめられていた。
「待たせたな」
「申し訳ございません」
「何故に謝罪をするのだ。頭を上げよ」
3人はゆっくりと頭を上げた
「うむ、さてと どうしたものかな
私と侯爵の付き合いだ正直に話そう。
リディー嬢を疑ってはいない」
その言葉に3人は驚いた
「肝心のテリウスがまだ目覚めんのだ
あやつが目覚めれば刺した者がわかる
だろう」
侯爵は驚いた
「しかし……娘が……」
「何故そう思う
リディー嬢にテリウスを刺す動機が
あるのか?アイツからは聞いていない
んーそれにだなぁ、、
おい、これは内密だぞ
テリウスがだな宮医の1人にある物の
分析を依頼していたんだよ。
それがモモゴウズという花の蜜でな
何やら毒がある花らしいんだ。
リディー嬢がその場に居た時
ろれつがまわらずに身体の力が抜けていた
と侍女と騎士が証言しているのだよ。
もしやリディー嬢は毒を含んだ可能性が
あるんだ」
「……!?」
「何、大丈夫だ
建前上まだ牢にいるが専門医が
解毒剤を必死に作っている」
「あの…リディーは誰に毒を…」
「まだ言えん。
早まるなよ侯爵 時を待て。王命ぞ」
「か、かしこまりました」
「うむ、今は娘を信じて待っていろ」
「有り難きお言葉…身に染み入ります」
「そう時間はかからんだろう」
婦人は涙を流しながら頭を下げた。
「帰ってゆっくり休め戦いは続くぞ」
侯爵一家は馬車で放心状態になっていた
その場で拘束されて牢に入れられて
処刑日を待つ覚悟でいたからだ。
「せめて最後にリディーに会いたい」
それだけだった。
『地下牢』
「令嬢…令嬢…大丈夫ですか?」
「誰…」
「ジェレミーです。起き上がれれますか」
鉄格子の前で巾着を出す
「な、何?」
「お水をお持ちしました」
「まさか毒なの?いらないわ」
「違いますよ。陛下からです
解毒剤が入った水です飲んで下さい」
リディーは重たい身体を引きづって
鉄格子越しに水を手にすると飲んだ
ゴクゴクッ…
「はぁ、生き返ったわ。
そう…わかったのモモゴウズという毒
姉様がやられたのは毒よ……
助けて…姉様を……」
リディーはそう伝えると再び眠りについた
「令嬢…待っていてくださいね
もうすぐですから」
ジェレミーはリディーに優しく言うと
もう1つ巾着を置いて去った
この時
リディーの身体は思う以上に弱っていた
『テリウスの部屋』
「うっ……」
「「「!?」」」
侍女長と宮医がテリウスの声に反応し
宮医が慌ててテリウスの手を取った
「殿下おわかりになりますか」
呼吸は浅いが脈はしっかりと感じた
「うっ……」
侍女長はゆっくりと水を含ませた
ガーゼをテリウスの口元に運び水滴を
垂らした。
「もっと…くれ」
テリウスの首を支えながらコップの水を
流し込む
「ゴクッ……ゴクッ」
2人はテリウスの目覚めを陛下に伝えると
テリウスの部屋に陛下が来た
「皆テリウスが目覚めた事は口外するな
わかったな」
側近や騎士達は喜びもつかの間
互いに顔を見合わせて困惑したが
「かしこまりました」と
頭を下げた。
それから1時間程 2人だけの話しが
続いた。
『ブェールス侯爵家』
深夜
ドン ドン ドン
誰かが門を叩いている
「侯爵様、夜分に申し訳ございません
よろしいでしょうか」
執事は恐る恐る扉を開けた。
するとそこには王宮騎士団の制服を着た
騎士が立っていた。
執事は
「いよいよか…旦那様…」
心の中で呟くと目をきつく閉じた
侯爵はゆっくりと玄関に現れ
その後ろからカルロスが夫人を支えながら
歩いてきた。
騎士が侯爵に1枚の封書と袋を手渡した
「取り急ぎ陛下より
こちらを侯爵に渡すように命じられました」
侯爵は震える身体を隠しながら封書を
開いた
そこには
「モモゴウズの解毒薬をリディアーナ嬢
に飲ませろ。
テリウスは無事に生還した。
しかしこの事は口外禁止とする」
と記されている
「あ、、あああ……っ」
緊張が一気に解けた侯爵は
頭を抱え膝をつくと涙を流した
「ありがとうございました」
「いえ、では私達はこれで失礼します」
騎士は馬に跨ると颯爽とブェールス邸
から去って行った
侯爵は袋に入った草を抱きしめると
自ら台所へと向かい鍋に水を沸かし
始めた
「父上…それは?」
侯爵は陛下からの手紙をカルロスに
渡した。
内容を確認したカルロスは
全身から声を出した。
「うぉぉぉぉーっ!」
すぐに新しいガーゼを用意すると
出来たての薬草水をリディアーナに
飲ませた。
リディーは眠っていた
頭の中では色々と考えている。
身体が動かない。
睡魔と自分の戦いが続けられていた
「毒…姉様…飲む…」
「殿下…血が…流れて…だめ…起きて」
「痛い…水…喉…痛い…」
深い闇の中にいるような感覚だった。
つづく
200
お気に入りに追加
489
あなたにおすすめの小説
【完結】4人の令嬢とその婚約者達
cc.
恋愛
仲の良い4人の令嬢には、それぞれ幼い頃から決められた婚約者がいた。
優れた才能を持つ婚約者達は、騎士団に入り活躍をみせると、その評判は瞬く間に広まっていく。
年に、数回だけ行われる婚約者との交流も活躍すればする程、回数は減り気がつけばもう数年以上もお互い顔を合わせていなかった。
そんな中、4人の令嬢が街にお忍びで遊びに来たある日…
有名な娼館の前で話している男女数組を見かける。
真昼間から、騎士団の制服で娼館に来ているなんて…
呆れていると、そのうちの1人…
いや、もう1人…
あれ、あと2人も…
まさかの、自分たちの婚約者であった。
貴方達が、好き勝手するならば、私達も自由に生きたい!
そう決意した4人の令嬢の、我慢をやめたお話である。
*20話完結予定です。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
【完結】婚約破棄の明と暗
仲村 嘉高
恋愛
題名通りのお話。
婚約破棄によって、幸せになる者、不幸になる者。
その対比のお話。
「お前との婚約を破棄する!」
馬鹿みたいに公の場で宣言した婚約者を見て、ローズは溜め息を吐き出す。
婚約者の隣には、ローズの実妹のリリーが居た。
「家に持ち帰って、前向きに検討させていただきます」
ローズは、婚約者の前から辞した。
※HOT最高3位!ありがとうございます!
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
不妊を理由に離縁されて、うっかり妊娠して幸せになる話
七辻ゆゆ
恋愛
「妊娠できない」ではなく「妊娠しづらい」と診断されたのですが、王太子である夫にとってその違いは意味がなかったようです。
離縁されてのんびりしたり、お菓子づくりに協力したりしていたのですが、年下の彼とどうしてこんなことに!?
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
困った時だけ泣き付いてくるのは、やめていただけますか?
柚木ゆず
恋愛
「アン! お前の礼儀がなっていないから夜会で恥をかいたじゃないか! そんな女となんて一緒に居られない! この婚約は破棄する!!」
「アン君、婚約の際にわが家が借りた金は全て返す。速やかにこの屋敷から出ていってくれ」
新興貴族である我がフェリルーザ男爵家は『地位』を求め、多額の借金を抱えるハーニエル伯爵家は『財』を目当てとして、各当主の命により長女であるわたしアンと嫡男であるイブライム様は婚約を交わす。そうしてわたしは両家当主の打算により、婚約後すぐハーニエル邸で暮らすようになりました。
わたしの待遇を良くしていれば、フェリルーザ家は喜んでより好条件で支援をしてくれるかもしれない。
こんな理由でわたしは手厚く迎えられましたが、そんな日常はハーニエル家が投資の成功により大金を手にしたことで一変してしまいます。
イブライム様は男爵令嬢如きと婚約したくはなく、当主様は格下貴族と深い関係を築きたくはなかった。それらの理由で様々な暴言や冷遇を受けることとなり、最終的には根も葉もない非を理由として婚約を破棄されることになってしまったのでした。
ですが――。
やがて不意に、とても不思議なことが起きるのでした。
「アンっ、今まで酷いことをしてごめんっ。心から反省しています! これからは仲良く一緒に暮らしていこうねっ!」
わたしをゴミのように扱っていたイブライム様が、涙ながらに謝罪をしてきたのです。
…………あのような真似を平然する人が、突然反省をするはずはありません。
なにか、裏がありますね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる