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リディーはあれから皇太子と蜜に
やり取りをしていた。
この日、皇太子に会うため
迎えに来た馬車に乗り込んだ
「リディアーナ嬢が到着しました」
「失礼致します」
リディーがテリウスの執務室に来た時は
侍女や騎士は当たり前のように廊下に
出る
テリウスはリディーを見てリディアーナを思う
「彼女は変わらずなのか?」
「はい」
「そうか…」
「ですが最近、、たまにですが
使用人が口元にスープを運ぶと
口元が動く時があると言っていました」
「そうなのか?」
「けれど、話しかけても目を開く事は
ありません」
「……わかった報告ありがとう
デビューまで日にちは無いが
君は大丈夫なのか」
「着実に姉様になっていますよ」
「すまない。君にしか頼めないからな」
「承知していますので」
「うん、それで今日 君に伝えておくのは
アカデミーに入学した時に
パシーという女の子とジェイミーという
奴が一緒に入学するから
何か困ったら頼ってくれ」
「パシーとジェイミーですか」
「彼等には君がリディーだと伝えてある
リディアーナでは無い。と
彼等は騎士だから護衛、、影だな」
「影?」
「身元を隠して君を護衛する。
私の幼なじみってところかな」
「それならば私も2人の身元は
聞かない方が良いのですね」
「出来れば、自然に同級生として
接してほしい。
彼等が平民だと言えば平民で…
貴族だと名乗っても偽名だと思ってくれ」
「はぁ…わかりました
パシーとジェイミーですね」
「あぁ頼む
それで何か証拠や証言など
わかった事があったら彼等に伝えてくれ」
テリウスとリディーが話をしていた頃
王宮の侍女が急ぎ足でとある1室に
向かっていた。
「し、失礼致します」
勢いよく扉を開けた侍女を睨むと
「うっさいわね!何なのよ!」
1人の令嬢は機嫌悪く言った
「今、ただ今
テリウス殿下の元にリディアーナ嬢が
いらしていますっ」
「は?」
令嬢の顔が般若のように変貌する
「誰?リディアーナ??
そんなわけないじゃない
あの人、具合が悪くなって倒れたんでしょう
だから妃候補から脱落したんじゃない」
「えっとですね
リディアーナ嬢はまだ選考に残って
おります」
「あなた、何言ってるの?
残るわけないじゃない。
だから妃教育にも参加していないんでしょ」
「妃教育を中断しているだけで
脱落ではございません」
「……………?
ちょっと1人にしてくれないかしら」
「はい」
侍女が部屋から出るとものすごい音がした
ガシャーン !!
廊下に出された侍女達は思わず身をかがめた
花瓶を壁に投げつけた後
頭を抱えた
「は?
リディアーナがテリウス殿下と会っている。
ですって?
そんなわけないじゃない!
だってアイツは…あの女は倒れたって…
意識が戻らないって…
どういう事なのよ……」
王宮に用意された妃候補の為の1室
令嬢はライバル令嬢の部屋に行き確認
する
今、テリウス殿下の妃候補は3人だ
それぞれの部屋の前には騎士が立っている
リディアーナが倒れたと一報が入り
妃教育から姿を消し
部屋の前に居た騎士もいなかった。
なのに…
リディアーナの使用部屋の前に
騎士が立っている
なんでよ…
アイツの荷物はもう
運び出したんじゃないの?
どうして騎士がいるのよ、、、、
ワナワナと身体を震わせて怒りを
隠さない女は
テリウス皇太子殿下の婚約者候補の1人
ミリアナ・シルワット公爵令嬢だった
そしてテリウスと密談している
リディーに狂気の目が向かおうと
していた。
リディーは王宮から戻りテリウスからの
提案に複雑な思いをよせていた。
それは…
「王宮に入り婚約者候補として。
つまりリディアーナとして過ごしてほしい」
という事だ。
プライベートでもリディアーナとして
過ごさなければならないなんて
リディーにしてみれば監獄と同じだ。
「ふざけないでよね
どれだけ私の人生をいじるのよ」
ブェールスとしてもリディーを大切にしたい
けれど王族からの頼みを断わるには
それなりの理由が必要になる。
ブェールス家で話し合いが行われたが
結局リディーは王宮に入る事に決まった
デビューパーティードレス。
そしてアカデミーの制服を詰めた荷物が
王宮に運ばれ
リディーは王宮行きの馬車の前で項垂れた
「行ってきますね…
姉様が目覚めたらすぐに教えてください
すぐに代わりますので!」
「すまないリディー」
侯爵夫婦やカルロスも口数少なく
リディーを見ていた。
「そうだ、リディー
デビューパーティーに行くからさ
一緒に踊ろう」
カルロスが言葉を絞り出すが
「え?そうですね」
リディーの心はここに在らずだった
デビューパーティーまで3ヶ月…
リディーはリディアーナとして
王宮入りをした。
つづく
やり取りをしていた。
この日、皇太子に会うため
迎えに来た馬車に乗り込んだ
「リディアーナ嬢が到着しました」
「失礼致します」
リディーがテリウスの執務室に来た時は
侍女や騎士は当たり前のように廊下に
出る
テリウスはリディーを見てリディアーナを思う
「彼女は変わらずなのか?」
「はい」
「そうか…」
「ですが最近、、たまにですが
使用人が口元にスープを運ぶと
口元が動く時があると言っていました」
「そうなのか?」
「けれど、話しかけても目を開く事は
ありません」
「……わかった報告ありがとう
デビューまで日にちは無いが
君は大丈夫なのか」
「着実に姉様になっていますよ」
「すまない。君にしか頼めないからな」
「承知していますので」
「うん、それで今日 君に伝えておくのは
アカデミーに入学した時に
パシーという女の子とジェイミーという
奴が一緒に入学するから
何か困ったら頼ってくれ」
「パシーとジェイミーですか」
「彼等には君がリディーだと伝えてある
リディアーナでは無い。と
彼等は騎士だから護衛、、影だな」
「影?」
「身元を隠して君を護衛する。
私の幼なじみってところかな」
「それならば私も2人の身元は
聞かない方が良いのですね」
「出来れば、自然に同級生として
接してほしい。
彼等が平民だと言えば平民で…
貴族だと名乗っても偽名だと思ってくれ」
「はぁ…わかりました
パシーとジェイミーですね」
「あぁ頼む
それで何か証拠や証言など
わかった事があったら彼等に伝えてくれ」
テリウスとリディーが話をしていた頃
王宮の侍女が急ぎ足でとある1室に
向かっていた。
「し、失礼致します」
勢いよく扉を開けた侍女を睨むと
「うっさいわね!何なのよ!」
1人の令嬢は機嫌悪く言った
「今、ただ今
テリウス殿下の元にリディアーナ嬢が
いらしていますっ」
「は?」
令嬢の顔が般若のように変貌する
「誰?リディアーナ??
そんなわけないじゃない
あの人、具合が悪くなって倒れたんでしょう
だから妃候補から脱落したんじゃない」
「えっとですね
リディアーナ嬢はまだ選考に残って
おります」
「あなた、何言ってるの?
残るわけないじゃない。
だから妃教育にも参加していないんでしょ」
「妃教育を中断しているだけで
脱落ではございません」
「……………?
ちょっと1人にしてくれないかしら」
「はい」
侍女が部屋から出るとものすごい音がした
ガシャーン !!
廊下に出された侍女達は思わず身をかがめた
花瓶を壁に投げつけた後
頭を抱えた
「は?
リディアーナがテリウス殿下と会っている。
ですって?
そんなわけないじゃない!
だってアイツは…あの女は倒れたって…
意識が戻らないって…
どういう事なのよ……」
王宮に用意された妃候補の為の1室
令嬢はライバル令嬢の部屋に行き確認
する
今、テリウス殿下の妃候補は3人だ
それぞれの部屋の前には騎士が立っている
リディアーナが倒れたと一報が入り
妃教育から姿を消し
部屋の前に居た騎士もいなかった。
なのに…
リディアーナの使用部屋の前に
騎士が立っている
なんでよ…
アイツの荷物はもう
運び出したんじゃないの?
どうして騎士がいるのよ、、、、
ワナワナと身体を震わせて怒りを
隠さない女は
テリウス皇太子殿下の婚約者候補の1人
ミリアナ・シルワット公爵令嬢だった
そしてテリウスと密談している
リディーに狂気の目が向かおうと
していた。
リディーは王宮から戻りテリウスからの
提案に複雑な思いをよせていた。
それは…
「王宮に入り婚約者候補として。
つまりリディアーナとして過ごしてほしい」
という事だ。
プライベートでもリディアーナとして
過ごさなければならないなんて
リディーにしてみれば監獄と同じだ。
「ふざけないでよね
どれだけ私の人生をいじるのよ」
ブェールスとしてもリディーを大切にしたい
けれど王族からの頼みを断わるには
それなりの理由が必要になる。
ブェールス家で話し合いが行われたが
結局リディーは王宮に入る事に決まった
デビューパーティードレス。
そしてアカデミーの制服を詰めた荷物が
王宮に運ばれ
リディーは王宮行きの馬車の前で項垂れた
「行ってきますね…
姉様が目覚めたらすぐに教えてください
すぐに代わりますので!」
「すまないリディー」
侯爵夫婦やカルロスも口数少なく
リディーを見ていた。
「そうだ、リディー
デビューパーティーに行くからさ
一緒に踊ろう」
カルロスが言葉を絞り出すが
「え?そうですね」
リディーの心はここに在らずだった
デビューパーティーまで3ヶ月…
リディーはリディアーナとして
王宮入りをした。
つづく
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