わかったわ、私が代役になればいいのね?[完]

風龍佳乃

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「お嬢様、また木登りですか…
旦那様がお呼びですよ急いでください」

呼びに来た執事の前でリディーは
木から飛び降りた

「よいしょっと」

「お嬢様は…全く困ったもんですね」

リディーはスカートの汚れを
パタパタとはたきながら

「行ってくるわ」 と笑顔を見せた。

「失礼します。お話しってなんですか?」

リディーは父が居るリビングに入ると
夫婦が揃って座っていた

「お母様も一緒だったのですね」

母は黙ったまま視線を落としている。
リディーは執事が言った「話し」が
良くない事だと察してしまった。

しばらく沈黙が流れたあと
父は意を決したように話し出した

「リディーこれから話す事を最後まで
聞いてほしい」

「なんでしょうか…」

「リディー、、
君は私達の本当の子では無いんだよ。
本当の家はブェールズ侯爵家なんだ」

ん?唐突に何の話しなの?
ちょっと意味がわからないんですけど?

リディーは父の言葉を聞きながら
他人事のように首を傾げた。

「貴女はね……
私達の子では無いのよ
本当はね、、
私達は貴女の叔父と叔母なのよ…」

絞り出した母の言葉に何となく
両親の言葉が理解出来てきた。
けれど「あ、そうなんですね」なんて
簡単に言えるわけない。

リディーの眉間に深いシワがよった

「リディーよ
つまりだ、君の産みの母は母さんの姉
なんだよ」

それから父はわかりやすく説明してくれた。


ブェールズ侯爵家にはカルロスという
第1子が授かりその下に私達が産まれた
しかし我が国には古来より
「双子が産まれると家門が分裂する」と
言い伝えがあり
私リディーは今から13年前
産まれてすぐに
母の妹であるシュエル伯爵家に養女として
出された。というわけだ

かなりね。いや、相当の衝撃よ
突然の事でよく分からないけれど
だから何?急に事実とやらを言われても
今更ね…

リディーはなぜ両親がそんな話しを
してきたのかわからずにいた。

「リディーよ
君の姉君であるリディアーナ嬢が病で
伏せられたんだ
原因は不明らしい…
それで侯爵がリディーを迎えたいと
言っていてね」

ちょっと待って!育てた娘が倒れたから
養女に出した娘を返せ!って事?
バカじゃない?何を言っちゃってるの?
悪いけどお断りよ!

「それで?お父様とお母様は
侯爵にそう言われたから「ハイハイ」って
私を追い出す気なの?信じられないわ」

「違う………
いや、違わないな…
元々 期限付きの家族なんだ…
本当ならば15歳になったら
リディーはブェールズ侯爵家の令嬢として
社交界に戻る約束だったんだ…」

ごめんなさい
何かわからなくなってきちゃった
期限付きの家族??
15歳になったら侯爵令嬢になる?
よく知らない人達と家族になるの?
はぁ?

ホロホロと涙を流す母を見てリディーは
怒りを爆発させてしまった。

「な、なんで貴女(母)が泣いてるのよ!
泣きたいのは私よ
今まで何も知らないで…
ずっと、、ずっと、、2人を……
家族だと…親だと思っていたのに!」

リディーは部屋を飛び出すと
いつもの丘へと走った

「ふざけないでよ!
意味わからないから……」

リディーの頬に大粒の涙が流れていた。

しばらく放心していたリディーは
丘の上で仁王立ちした

「もう少し大きくなったら
領地が見えるのに。って…
もう少し大人になれたら皆と一緒に
働ける。って思っていたのになぁ…
果物屋のトムさんや花屋のマリーさん
パン屋のベルさんと……サナさん……
お別れするの嫌だよ
もっと、、もっとみんなと一緒に居たいよ」

再びリディーの目から涙が溢れて流れた

「嫌だー!嫌だ!なんでよ、どうしてよ
私は……私はおもちゃじゃないわ
大人の都合で生かされるなんて、、
いや…」

その場に座り込んだリディーの背中に
誰かが手をのせた

「きゃあ」

「あ、ごめんリディー」

リディーが振り返ると幼なじみの
ラウルがいた

「ちょっ、、な、なんでいるのよ」

リディーはラウルに見られてしまったかと
恥ずかしくなった。

「あー、なんでって
この丘は僕達の待ち合わせ場所だから」

「え?待ち合わせなんかしてませんけど」

いつからだろう
隣領地のザッハル子爵家のラウルとは
毎日のようにこの丘で走り、話して笑い
一緒に過ごすのが当たり前になっていた

「リディーはつれないな…
ねぇ、何があったの?聞くよ?」

「え?」

「リディーがさ、そんなに泣くなんてさ
今まで無かったから…お別れって…何」

「ちょっとラウルいつから居たの?
忘れてよ。で、ラウルはどうして
ここに居るの?」

「え、僕?
うん、リディーに話しがあったから…
けど別に大した事じゃないし」

「何よ、言ってよ」

「今?リディーはそれどころじゃ
ないんでしょ?」

「いいから早く」

「うん、じゃあ言うね
僕さ、来年アカデミーに入る予定だったけど
学園に通う事にしたんだ」

「学園?」

「そう、
兄貴はアカデミーで領地経営学科で勉強
してるし
僕は次男だから街の学園で十分かな。
って」

アカデミーは貴族の子や平民でも有能で
才のある人達が専門学を学ぶところだ

そして学園は騎士を目指したり
継ぎ子 以外の貴族や裕福な平民が通うところ

学校は平民が最低限の読み書きや計算
社会の仕組みや歴史を学ぶところ

なのだ。

「学園かぁー
私もアカデミーなんて窮屈そうな
イメージしかないわ」

ラウルは思う。

「君がアカデミーに行きたくない
私は学園で十分よ」

そう言ってたからだよ…
なのになんで泣いてるの?別れって何?
本当は聞きたいけど
今は聞いたらいけない気がするよ…
ラウルは力無くリディーを見つめた



つづく
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