上 下
31 / 32

31

しおりを挟む
馬車に飛び乗ったアリーリアの隣では
メリッサが心配そうに覗いている

「はぁ、、ごめんね、、ふぅ…」

「私は大丈夫です」

「いや、突然に我儘を言ったから…
後で怒られちゃうかしら?はぁはぁ」

「謹慎処分ぐらいですね」

「謹慎処分?」

「はい3ヶ月分の給料停止と野外活動ですね」

「え?嘘…モルダも?」

「はい、おそらく」

「……」

「もうすぐバトラー伯爵邸です」

モルダが馬を走らせバトラー家の
門番と話しをしていた

慌てた門番が門を開くと中から執事と
思われる男性が駆けつけた

「門前に到着しました」

馬車がゆっくりと停止すると
寝巻きにジャケットを羽織った伯爵が
慌てて出てきた

「皇女殿下…よく…おいでくださいました。
ゼェゼェ」

「おはようございます
早朝にごめんなさいね。ガイルは?」

「はぁい、、自室におります」

「案内して!」

「えぇ?? いや、はい。ただいまーっ」

バトラー家の使用人がガイルの部屋に
駆け込んだ

「失礼します
ただいまアリーリア皇女殿下がぁ
お見えになりました」

ガイルはベッドから飛び起きた

「はぁ?」

ガイルが慌ててシャツを羽織った時だ

「ガイル!」

アリーリアがガイルに向かって
駆け寄った。

「ガイル…」

ガイルに抱きついた

周りは困惑だらけで何が起こったのか
全くわからない

ガイルは使用人と父親に部屋から出ろ。
と手を降った

モルダとメリッサも目配せをすると
廊下に待機した。

アリーリアはガイルに抱きついたまま
しばらく動かず ガイルは黙ったまま
優しくアリーリアの腰を引き寄せた。

しばらく過ぎた後

「アリー落ち着いたかい?」

「うん…あの…ごめんね」

「いいさ、俺に会いたくなって
我慢できなくなったんだろう?」

「ちょっ、、」

「可愛いアリーいつでもおいで
君ならばいつでも歓迎するさ」

それから2人はソファーに座り
アリーは夢の話しをガイルにした

「ふっ、アリー俺が何故ここに居るのか
知っているよね
どこにも行かないよ。ずっと側に居る
だから…ウエディングドレスを
着ていたのはアリーだよ」

「そんな事言って!」

「じゃあ俺が
最高のウエディングドレスを用意しよう。
アリーに着せてあげる」

「え?」

「俺はアリーの隣で白いタキシードを着るよ。
それでいいよな」

この人はどうしてこんなにもさらりと
そんな事を言えるのだろう…
私は自分の気持ちを伝えるのに
毎回苦労しているのに…

はぁ、、私は一生ガイルには勝てない。

アリーリアはそう思った。

それからはすぐに婚約式が整い
皇帝より正式な発表がされた。

まるで急がせる様な速さで婚約式を
終えたアリーリアはガイルと共に
墓地に向かった。

綺麗だけど古い石碑

初代グラマラス帝国皇帝エドアルド
そして皇后アリーリアが眠っていた

花を手向けた2人は自分達の亡骸に
手を合わせた。

アリーリアは挙式に向けて準備を始めた

「ねぇパシー」

「何でございましょう」

「宮にはサイラスとリリアナ妃が居る
のに…
私達の部屋まで改装してここに住んで
いいのかしら?」

「そうでございますねぇ
ガイル様は婿養子でございますし
問題ございません」

「そうなのかな?」

「はい。
皇太子殿下はガイル様と皇女殿下が
お側にいらっしゃると仕事がはかどる。
と仰っておりましたね」

「え?仕事?
宮から出さない大作戦?」

「おそらくそうでございますね
サイラス様は切れ者でございますから」

は?それって切れ者じゃなくて
暴君って言うのよ…
アリーリアはため息をついた。

挙式まで半年

アリーリアはため息の毎日だった

「やっぱり駄目かもしれない」

「何がダメなの?」

「リリはサイラスのどこが好きなの?」

「どうしたのよマリッジブルーなの?」

「今、毎日のようにガイルに会うの。
あの優しくて甘い瞳に見つめられると
骨まで溶けちゃいそうで…」

ぶはっ!! リリアナは思わず茶を吹いた

「あ、サイラスがね
茶を吹いたら駄目だって言ってたわ
大丈夫?」

「ちょっと…」
リリアナは笑いが止まらない

侍女達からも「ぐほっ」と聞こえた

「いいじゃない?
ガイルはアリーが大好きでアリーも
大好きなんでしょう?問題ないわ」

「で、サイラスのどこが好きなの?」

「あぁ、、
彼の紳士的なところや優しいところ
それと仕事が出来る素晴らしいところ」

「仕事が出来る。かぁー」

「そうね、切れ者って感じが素敵だわ」

でた…切れ者!だから暴君だって!

「そうなのね…」

「ガイル様も…タイプは違うけれど
感じ的には同じよね
やっぱりガイル様も王なのよ」

「へぇー。でもね第8夫人にならなくて
良かったわ」

「第8夫人?? あ、あれね…あれ嘘よ」

「はぁ?」

「北の話しよね?あれはサイラスが
アリーに仕掛けた話しよ。
それにパンテラ国王は今は第12夫人まで居るわ」

「嘘…」

「ふふっ、
あの頃にはアリーの相手としてガイル様にほぼ決まっていたわ」

「嘘つき…だって私
ガイルが他の人と結婚する夢を見て
だから、だから…」

「だから自分の気持ちに気づけた。
んでしょう?良かったわ」

「……」

「今が良ければいいじゃない?ね。
それに第8夫人だなんて義理母が
黙っていないわ。
そんな縁談を結んだらキャロル母が暴れているわよ」

リリアナの言う通りだ……

まんまと騙された。と気がついた
アリーリアだった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。

たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。 わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。 ううん、もう見るのも嫌だった。 結婚して1年を過ぎた。 政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。 なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。 見ようとしない。 わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。 義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。 わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。 そして彼は側室を迎えた。 拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。 ただそれがオリエに伝わることは…… とても設定はゆるいお話です。 短編から長編へ変更しました。 すみません

旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり
恋愛
 ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。  けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。  バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

私は既にフラれましたので。

椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…? ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

今日は私の結婚式

豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。 彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。

家出した伯爵令嬢【完結済】

弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。 番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています 6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております

処理中です...