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アリーリアとメリッサが待っていると
廊下に人影が見えた
メリッサが最上級の礼を取るのを見て
父、ディラン皇帝だとわかった。
アリーリアはとっさに礼をした

「待たせたねアリー。
この部屋に入りたいって?行こう」

ディランはアリーリアの手を繋ぐと
扉の鍵を開けた

他の人達は廊下待機の様だ

部屋は想像以上に広くて大きかった

「アリー、とても良い礼だったが
公式の場以外で礼はいらないよ」

つい無意識に礼をした事に恥ずかしく
なった

「は、はい」

ディランはアリーに優しく微笑むと
奥へと進んだ

「さ、ついたよ
アリーが見たいのはこれだね」

ディランは大きな額が入った包みを
開いていく

「この部屋には歴代王族の肖像画が
保管されているんだ」

ディランが布を開けた肖像画には
エドアルドが居た

アリーリアは困惑した

え?何でエドアルドなの
お父様…何を言っているの

「違ったか?」

「え?あの…」

ディランは隣の肖像画を開けた

そこには今は亡き前世のアリーリアが
いた

「説明しよう
この国は昔シャルパド王国として存在し
エドアルド王は隣国サーバと戦った
そして勝利した後サーバを統一させて
今のグラマラス帝国を創ったんだ
エドアルド王はシャルパド最後の王で
グラマラス最初の皇帝だ。
今から約100年前の話しになる」

アリーリアは戸惑った。
エドアルドが戦争をして国を広げた?
今から100年前?
私は?……何故100年もの歳月を過ぎて
蘇ったの?

「アリー
この女性を知っているね
アリーリア・グラマラス王妃殿下で
エドアルド皇帝の妃であり
病で亡くなった最愛の人だ」

待って! 最愛の人??
何を言っているのかわからないわ…

「この肖像画はエドアルド皇帝が
自身の記憶の中にいる
アリーリア妃の姿を描いた。
と伝えられている」

待って!理解が追いつかないわ。

しばらく自分の肖像画を見つめた

間違いなくアリーリア…私だわ

視線をエドアルドの肖像画に移した

アリーリアが知っている
エドアルドよりも、ずっと痩せていて
髪には少し白髪があった。

エドアルド…エド…
まさかここで再会するなんて…

アリーリアは下を向き奥歯を噛んだ

「さ、アリー行こう
目覚めたばかりだからな
ゆっくりと知ればいい
わからない事があったら聞きに来なさい
私に聞けなかったらキャロルでも
いいから」

ディランに抱き上げられたまま
部屋を後にし
自分の部屋に戻ったアリーリアは
困惑のまま数日を過ごした。


ディランとキャロルは大聖堂に行き
大神官に会った

「まさか本当に…こんな事があるなんて
私はまだ信じられないのよ
蘇りだなんて…」

「皇后陛下のお気持ちはお察し致します
ですが神託に間違いはありません。
アリーリア皇女殿下は間違いなく
シャルパド王国最後の王妃殿下の
アリーリア様でございます」

「わ、わかっているの…けれど…けれど…」

キャロルは戸惑っていた

「さ、キャロル…行こう」

ディランはキャロルの肩を抱くと
大聖堂を後にした

帰りの馬車の中で話しをしている

「ねぇ貴方…アリーちゃんに
肖像画を見せた。と聞いたわ
反応はどうだったのかしら?
ずっと気になっていたのよ」

「ん、エドアルド皇帝を知っている様だ
かなり動揺している様子だったな」

「そう、、私は神託だの神だの
よくわからないわ。蘇りだなんて
けれど実際に起こった事は事実なのよね」

「そうだな。
君には辛い思いをさせてしまったな」

「止めてよ私達は一緒よ
辛かったのは貴方もなのよ」

「あぁ、ありがとうキャロル」

ディランはキャロルの隣に座ると
キャロルを抱きしめて口付けをした



アリーリアは
真実を知りたくて歴代書を読んでいた

シャルパド王国の時代

アリーリア王妃殿下は病にて死去。
実際の死亡日よりも半年遅い
命日になっている

エドアルド皇帝は
アリーリアの死去から5年後
皇帝の座を従兄弟に渡して退位している
しかし命日の記載が残されていなかった

何でかしら?

モーラス公爵家は父の代を終え
爵位を返上して
モーラス家は無くなっていた。

リール伯爵家

反逆罪、一族公開処刑

どういう事??モナリナの家が反逆罪?
一族が処刑になったって事は
モナリナも?

アリーリアは別の歴代書を探した

そこには新貴族派と呼ばれた者が
隣国サーバと手を組んで反乱を起こし
シャルパド王国の乗っ取りを計った事が
書かれていた

モナリナが反乱軍の首謀家門?
サーバと繋がっていた?
待って!モナリナとエドアルドは
愛し合っていたのよね?
反乱を抑える為に婚姻を結ぼうと
していた。って事?
だったら何故エドアルドは…
陛下はどうして
私とエドアルドの結婚を止めな
かったの?

わからないわ…

アリーリアは今はもう会う事がない
エドアルドに真実を確かめたかった
けれどもそんな事が出来るはずも無く
深いため息をついた

私は…本当に何も知らなかった
今もあの頃も…
何故、記憶を持ってこの身体に戻った
のかも…

アリーリアは見えない不安に
包まれていた。
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