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次の日

アリーリアは気持ちを無にしながら
婚約者としてアカデミーに向かった。

しかし、そんなアリーリアを令嬢達が
ほおっておかなかった

「あら、
アリーリア様にご挨拶申し上げます」

モナリナの取り巻きの1人は狙った様に
現れた

「お話しがございますので
少しよろしいでしょうか?」

アリーリアはグッと奥歯を噛み締めた

「えぇ、、少しならば」

連れられた場所は校舎の裏側
そこにはモナリナと取り巻き達が
集まっていた

「こんな所に私を呼び出すなんて
余程の事なのですわよね」

アリーリアは静かに呼吸を整えた

モナリナはアリーリアの前に立つと
扇子を広げてニタリと笑う口元を
隠した

「アリーリア様…私からお話しを
させて頂きたいです」

いつもモナリナの隣に居る令嬢だ

アリーリアは無表情のまま答える

「何かしら」

「実は、、エドアルド殿下とモナリナ嬢は
想い合っていますの…
ですから…もう婚約者の座にしがみつく
のはやめませんか?」

別の令嬢も話しだした

「そうですわ。いくら公爵令嬢という
立場だとしても愛し合う2人を
引裂くのは……」

「そうですわよ、アリーリア様
早く婚約破棄してエドアルド様を
解放して差し上げたらいかがでしょう?」

令嬢達から放たれる言葉に涙が零れ
そうだった

「この婚約もこの先の結婚も国が、
王家が決めた事。あなた方が
口を出す事ではありません」

アリーリアは毅然と言った。

しかし令嬢達は引かなかった

「ふふっ
もし貴女とエドアルド殿下が一緒に
なって誰が幸せになりますか?
よく考えて下さいませ
愛し合う2人が一緒に国を納めれば
皆が納得し歓迎します」

その時
モナリナが扇子をパチンと閉じた

「みんな、
いくら私とエドが想い合っていても
一緒になりたいと願っていても
結局は無理なのよ
だって自分の事しか考えられない人が
必死に王太子妃の座にしがみつくの
だからね」

令嬢達はモナリナの言葉を聞いて
アリーリアに失笑を向けた

「そうだった!ご存知ですか?
何でも西3番地に猛毒を売ってる店が
あるらしいです
私達のような下級ごときには買えません
けれども公爵令嬢ならば手に入るかも
しれませんね」

「えっ」

な、何?? 私にその毒を煽れと?
何を言っているの!
アリーリアは怒りと悲しみで
倒れそうだった

その時

「ここに居たのか」

声の主はエドアルドだった

「皆で何をしているんだ」

モナリナはエドアルドの腕にしがみつき

「何も、、ご挨拶申し上げただけですわ」

そう言いながらエドアルドを見つめた

「そうか、今日は約束があるだろう行くぞ」

エドアルドはチラリとアリーリアを
見るとモナリナ達と一緒に背を向けた

歩きながら去って行くエドアルドを
見ながらアリーリアは拳を握った

「ふざけないでよ」

その日
王宮へと戻ったアリーリアは
令嬢達の言葉を繰り返し思い出し
公爵家に戻る事を決めた

すぐに許可が降りて公爵家に向かった

「見送りにも来ないなんて…
エドアルド!貴方には失望よ
私から縁を切るわ!」

モーラス公爵家では
久しぶりに帰る娘を迎える準備をして
アリーリアが到着するのを楽しみにして
いた

久しぶりに両親に会ったアリーリアは
楽しい時間を過ごしていた

そろそろ話さないと…

アリーリアはエドアルドとの今の関係や
モナリナ伯爵令嬢について話しをした。

両親は

「若き者ゆえの交流だろう」

「貴族との繋がりは大切だから」

等…決まった言葉しか返ってこなかった

アリーリアは呟いた

「ここにも私の居場所など無いのね」

それからは食事が喉を通らなくなった。
誰かと話しをするのも面倒になった。

部屋から出ずにボーッとしていた…

「西3番地に猛毒を売っている…」

誰かが教えてくれた楽になれる方法…
そうだわ、行ってみよう

アリーリアは貴族令嬢の姿を隠して
3番地を歩いた。

「無いじゃない」

諦めかけた時に古びた店を裏路地に
見つけると扉を開けた。
店内にはマムシやらヘビが入れられた
瓶が並び誰が見ても怪しげだった

小さなカウンター席に男性が座り
アリーリアを見ている

「あ、あの…お店の方は?」

鋭い目付きでアリーリアを見ながら

「あんたみたいなお嬢様が来る所じゃ
ないぞ。帰れ」

そう言うとアリーリアに背を向けた

「違う!あの…猛毒下さい!!」

「は?お前さん、何を言ってるんだ
自分の言ってる事がわかってるのか?」

「わかってる!わかってるわ
もう、、疲れたのよ!嫌なのよ!
全てを 全てを消したいの」

男はアリーリアを黙って見ていた

「お願いします!私に売って下さい!」

アリーリアの目から涙が溢れた

「あんた、、もしかして…
お前さんは俺たちとは違う人間だ
家は大丈夫なのか?そんな事をしたら」

「わかってる!でもいいの!
お願いします!方法がないんです
私を、、私を助けて下さい」

店内にアリーリアの泣き声が響いていた

男はスッと椅子から立ち上がると

「ちょっと待ってな」と店の奥に入った

カウンターの上に古びた小さな箱を
置いた

「お嬢さん、、これなら苦しまず
一瞬で逝けるよ」

アリーリアは震える手で小箱を持った

「おいくらかしら?」

「要らないよ。
必要無くなったら持ってきてくれ」

アリーリアは金貨が入った巾着を
カウンターに置くと小箱を握りしめて
店を飛び出した
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