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あの時
ギルバートとナタリーがダンスを
踊る中、伯爵がギルバートの元に
行こうとしたのを止めたファルモンドは
伯爵にそっと語りかけていた

「君の倅は大胆不敵だね
  何をも恐れない彼の姿は
  貴族達の脳裏に残る事だろうな」

伯爵は膝から崩れ落ちそうだった。


王宮・中庭

「キャサリン嬢か」

「あら、ファルモンド殿下
  ご機嫌いかがですか?ふふっ
  良いお顔をされていますわね」

「まぁな、そうだ頼まれ事
  ありがとう」

「いえ、大した事ではありませんわ
  それよりもこれからですわよ
  ご武運を…」

「あぁ、
 また頼む事もあるかもしれないが
 よろしく」

「ふふっ、もちろんですわ」



王宮・ファルモンドの執務室

「よく来てくれたサバラ侯爵
  久しぶりですね。変わりなく
  過ごされていましたか」

「はは、殿下も大きくなられて
  驚きましたよ
  私はさほど変わりませんがね
  少しゴタゴタしました」

「そうだね、しかし1番悪いのは
  俺の父上だからな」

「いや、、それは何とも言えませんな」

「それで侯爵、カテリーナは
  どんな感じだろうか」

「昨日の今日ですから
  もう少し時間が必要かと思います」

「そうだな、急ぐ必要は無いが
  父上と母上の許可はもらった。
  侯爵とカテリーナの心待ちだな」

「な、なんと?両陛下の許可済み
  ですか?」

「あぁ、正式に決まったら挨拶を頼むよ」

カテリーナが知らないところでは
秘密の会話がされていた。


カテリーナとギルバートの婚約が白紙に
なり1ヶ月が過ぎた
カテリーナはキャサリンを含め
令嬢達との茶会や劇場鑑賞など
毎日を忙しく楽しく過ごしていた。


異変

この日カテリーナは学園で
キャサリン嬢が待っている。と
伝えられた噴水広場へと向かったが
2時間を過ぎてもキャサリン嬢が
現れる事は無く
カテリーナは仕方なく広場を後に
したのだが、この頃から
カテリーナの周りでは不審な空気が
流れ始めていた。

キャサリン嬢が待っている。
そうカテリーナに伝えて来た生徒が
学園から消えた。
その生徒は貴族なのか、平民なのか?
誰にもわからなかった。
キャサリンはファルモンドに伝え
ファルモンドは密にカテリーナを
護衛する騎士の選抜に入ったのだが…


「大変です!!」

アンが執事のヘンリーの元に駆け込んだ

「朝からなんですか?」

「お嬢様が消えました!!」

「?!」

「お部屋にお嬢様が居なくて、
  絨毯に血が…と、とにかく見て
  下さい!」

ヘンリーは驚き、すぐに
カテリーナの部屋へと向かった。

バァン

ヘンリーが部屋に飛び込むとベッドが
乱れていてシーツと絨毯に血痕を
見つけた

「お嬢様を探せ!」
 ヘンリーの声が屋敷に響いた

アンは使用人が集まっていた
厨房に走りカテリーナの捜索を伝え
ヘンリーは侯爵夫婦の元へと向かった

部屋を見た侯爵は屋敷をヘンリーに
任せると早馬に乗り王宮へと
馬を走らせた



カテリーナは眠っていた。
夢なのか、数人の男に襲われて
無我夢中で抵抗するも薬を嗅がされて
しまった。く、苦しい…

目を覚ましたカテリーナは
激しい頭痛に顔を歪めた

手足を縛られて猿轡をされていた

ここはどこ…

ガチャ

知らない男が入って来てカテリーナを
覗いた

「起きたかい、頭痛いだろこれ飲みな」

男は小瓶に入った液体をタオルの
隙間からカテリーナの口に流し込んだ

「オレがしてやれる事は
  このぐらいしかないんだ許せ」

カテリーナに薬を飲ませた男は
そう言うと出て行った

カテリーナが見回すと小屋の様だった
質素なベッドに椅子とテーブル
あちらこちらに塵や埃が積もり
誰も使っていないと思われた。

カテリーナは頭痛に耐えながら
入り口に向かい身体を転がすが
痛みに耐えきれず再び目を閉じた。

カテリーナが目を覚ますと当たりは
暗くなりかけていて夕方の様だった

ランプの灯りが近づいて来てカテリーナ
は助けを求め様としたが
そこに立っていたのはナタリーだった

「あら、凄い格好ね
  プハッ、ほんとギルに見せたいわ」

ナタリーはカテリーナの髪を鷲掴みに
して睨みつけた

「こんな女のどこがいいのかしら?
  全くわからないわ
  ねぇどうやって義母に取り入ったの?
  あの夫人、嫁はカテリーナしか
  考えられない。とか言ってさ
  馬鹿よね。そう思うでしょ?」

な、何を言ってるの?私とギルバート
の婚約は白紙になったのよ
それにあなたは謹慎中のはずよね。

言葉にしたいのにタオルで口を塞がれて
話せない。

「がをでって……」

「うるさい!」
ナタリーは
カテリーナの髪を引っ張って身体を
倒した

「いい?今日からあんたは私の
  遊び道具よ。楽しませてね」

バシッ!バシッ!ドカ!

ナタリーは抵抗出来ないカテリーナを
叩いて蹴った

「はぁ、楽しむつもりだったけど
  疲れるし手が痛いわ」

カテリーナは痛みを堪えて
黙っていた。

「ねぇ、また明日来るわ
  そうしたらもっと遊びましょ」

次の日も夕方になると
ナタリーが現れてカテリーナに
暴行をくわえた

朝になると男が現れて鎮痛剤を
カテリーナに飲ませてスープに
ちぎったパンを含ませて食べさせた

夕方、ナタリーが来た

「ふふっ、あはははは
  いい顔になったわね。その顔最高よ
  そうそう、私の手が痛くなっちゃう
  から、コレ使うわね」

ナタリーは鞄から鞭を出して
カテリーナを叩いた

バシッ!

「んぐっ」

「ハハハッ いいわね」

バシッ!バシッ!

しばらくカテリーナを叩くと
カテリーナは気絶してしまった

「はぁ、疲れたー
  ほんと目障りだったのよねー
  ギルを寝屋に誘った時に何て言ったと
  思う?僕にはカテリーナが居るから
  それは出来ない。って
  他の男達はすぐに付いてきたのに
  まぁ貢いでくれるだけでも
  いい男なんだけどさ
  どうせなら伯爵夫人になりたい
  じゃない?だ・か・ら邪魔」

気絶しているカテリーナに話すと
ナタリーは小屋を後にした。

男が小屋に入ると
血塗れで髪を切られたカテリーナが
居た。
意識が無くて眠っているのか
気絶しているのかもわからない

「ひでぇな」

鞄から薬を出して傷に塗るも
カテリーナは動かない

「さすがにやばいだろ」

男は手足を縛っていたロープを切った

「お嬢さんよ、逃げるなら
  今日のうちだぜ」

そう言うと水が入った水筒を
カテリーナの前に置いて小屋を去った

カテリーナが意識を戻すと
外が明るかった。
痛い身体をやっと起こした

「あっ」
目の前にあった水筒の水を一気に飲んだ

手足のロープが切られている。
カテリーナは痛む身体でゆっくりと
出口に向かった

小屋を出たカテリーナは
茂みに身を潜めて休んだ

「どこに向かえばいいの?」

逃げなきゃ…遠くへ
逃げなきゃ…早く

身体を引きずりながら見つけた建物に
転がり込んだ
木の椅子を見つけ横になると
カテリーナは雨の音を聞きながら
眠りについた。


王宮

カテリーナが消えた。

その一報にファルモンドは
私兵を集めてカテリーナ捜索を指示した

侯爵家を中心に捜索したが
見つからず、リール子爵家と
イプス伯爵家の周辺にも騎士を派遣した
だがカテリーナは見つからなかった

カテリーナ不明から5日
侯爵家のポストに地図が投函されていた
のをヘンリーが見つけて侯爵に
渡された。が
どこの地図なのかわからない
侯爵はファルモンドに見せた

「ん、どこだ この〇は池か?
  この家は屋敷なのか?」

サバラ侯爵とファルモンド殿下が
メモを見ながら暗号の様な地図と
格闘していた。
騎士の1人が「恐れ入ります」
声をかけてきた

ファルモンドは「何だ」と返すと
騎士は言った

「自分の生家の近くに森があり
  昔は野生動物が多く監視小屋が
  ありました。
  森は整備され野生動物が居なくなり
  監視小屋は使われていません
  その近くに小さな池があります」

ファルモンドはメモを騎士に見せた

「間違いありません、監視小屋です」

ファルモンドは直ぐに騎士を
向かわせた。




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