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会社員 佐原英理斗
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*会社員 佐原英理斗*
朝の八時二十三分。
ケータイに緊急ニュースとして飛び込んできた記事。
『防衛省・小木大臣が地球滅亡会見!?NASA発表の地球爆発報道!』
記事は丸閥出版社が出したものだった。
丸閥出版社はそこそこに名の通った出版社、嘘という線はないと言っていいだろう。
それよりもさっきからうるさくピーピー鳴っているケータイの方が心配だ。
ケータイを確認すると、ずっと電話を鳴らしていたのは妻だった様だ。
少し迷った後、電話に出る。
「…何だ」
『あなた!やっと出た!』
途端に電話の向こう側から妻のかん高い声が響く。
『ニュースご覧になりました!?地球滅亡ですって!』
「ああ、そうだな」
かなり興奮気味で、鼻息が荒い。
『ああ、じゃないですよ!息子は?私達の大切な息子はどうするんですか!?あなたも帰ってきて!』
完全にヒステリーになっている。
佐原は自分の焦る心を抑え、妻に一心に呼びかける。
「安心しろ。落ち着け。今慌てても仕方がないだろう」
妻のヒステリーは不安だが、急いで会社に向かわねば、と現実的なのか非現実的なのかわからない頭脳が判断する。
電子掲示板を確認するが電車はオール運休。
いつもよりも人数の少ない駅員に理由を尋ねると、どうやら今朝の地球滅亡騒ぎで大勢が休みをとったらしい。
おかげで駅員はもう電車を動かせる人数ではなくなり、ひとまずこの大騒ぎを治めることに専念することとなったそうだ。
再びニュースページを開くと、今度はもっと多くの出版社、新聞社、テレビ局が似たようなニュースを報道していた。
それをいち早くキャッチし検証しようとするネット民もいたが、NASAのような高化学が或る訳でもないので出来ない。
しかも何故か、海外との連絡手段が全て断ち切られている。
防衛省への問い合わせも殺到し過ぎて通じない。
佐原は思った。
本当に恐ろしいことが起きているのかもしれない、と。
妻に『今から帰る』とメールを入れると、家に帰るため足を進めた。
朝の八時二十三分。
ケータイに緊急ニュースとして飛び込んできた記事。
『防衛省・小木大臣が地球滅亡会見!?NASA発表の地球爆発報道!』
記事は丸閥出版社が出したものだった。
丸閥出版社はそこそこに名の通った出版社、嘘という線はないと言っていいだろう。
それよりもさっきからうるさくピーピー鳴っているケータイの方が心配だ。
ケータイを確認すると、ずっと電話を鳴らしていたのは妻だった様だ。
少し迷った後、電話に出る。
「…何だ」
『あなた!やっと出た!』
途端に電話の向こう側から妻のかん高い声が響く。
『ニュースご覧になりました!?地球滅亡ですって!』
「ああ、そうだな」
かなり興奮気味で、鼻息が荒い。
『ああ、じゃないですよ!息子は?私達の大切な息子はどうするんですか!?あなたも帰ってきて!』
完全にヒステリーになっている。
佐原は自分の焦る心を抑え、妻に一心に呼びかける。
「安心しろ。落ち着け。今慌てても仕方がないだろう」
妻のヒステリーは不安だが、急いで会社に向かわねば、と現実的なのか非現実的なのかわからない頭脳が判断する。
電子掲示板を確認するが電車はオール運休。
いつもよりも人数の少ない駅員に理由を尋ねると、どうやら今朝の地球滅亡騒ぎで大勢が休みをとったらしい。
おかげで駅員はもう電車を動かせる人数ではなくなり、ひとまずこの大騒ぎを治めることに専念することとなったそうだ。
再びニュースページを開くと、今度はもっと多くの出版社、新聞社、テレビ局が似たようなニュースを報道していた。
それをいち早くキャッチし検証しようとするネット民もいたが、NASAのような高化学が或る訳でもないので出来ない。
しかも何故か、海外との連絡手段が全て断ち切られている。
防衛省への問い合わせも殺到し過ぎて通じない。
佐原は思った。
本当に恐ろしいことが起きているのかもしれない、と。
妻に『今から帰る』とメールを入れると、家に帰るため足を進めた。
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