27 / 41
26.金平糖が降ってくるんだから。
しおりを挟む
「あぁ、そう言えば涙流、今日は猫耳の帽子はしていないのですね?」
俺は頭に手を乗せてはっ、とする。
「うん、そう言えば…急いでたから忘れてた…」
「うーん…別にいいのですが…まわりの者に変な目で見られていますので」
と言って、美来が指をパッチンと鳴らす。
すると俺の頭に、リアルな猫耳と尻尾が生えた。
「わ、わわわっ何だコレ!?」
すごい。尻尾も耳も思うままに動く。
「一時的に生やしただけですので、すぐに消えてしまいますが…まぁ家に帰るまでは持つでしょう」
自分の耳と尻尾だがモフモフだ…!
一人感動していると、美来が
「あ」
と声を上げた。
「どうしたの、美来?」
「いえ、彼処の薬局のヤケド治しはよく効くんです」
と指さしたのは小さな薬局。
美来は俺の手を引いて細い路地に入ると
「涙流、処方箋を頂いてくるついでに買ってきますので、ここで和と待ってて下さい」
と和を降ろした。
「うん!言ってらっしゃい!」
美来が俺に手を振って、大通りに消えていく。
和の方を見ると、相変わらず和は苦しそうにしていた。
薄暗いこの路地だと、さらに顔色が悪く見える。
「な…る……?」
和がうっすらと目を開ける。
「和!」
体調は大丈夫?と言葉を続けようとしたとき、背後から声が聞こえた。
「あぁ?何だこの猫?弱小妖怪がここで何やってんだよ?」
振り返るとそこには顔が大きな一つ目の大男と、大きな口を持つ口裂け女ならぬ、口裂け男がいた。
「あ、えっと…その…薬を…」
オドオドモニョモニョ喋る。
いきなり暗がりからこんなんが現れたので、少し怖くて怯えてしまった。
一つ目の大男が言った。
「あぁん、何だ?聞こえねぇなぁ?ハッキリ喋らんかワレェ!」
コイツの喋り方、癖あるな…怖い。
和の裾をグッと強く握り締める。
「す、すみません…」
俺は目に涙を浮かべながら頭を下げた。
すると口裂け男はにやにや笑いながら俺の顔を覗き込んできた。
「へぇ、それが謝罪?足りないなぁ?」
一つ目の大男の蹴りが腹に入る。
「ぐっ……!?」
その蹴りは重たくて、吐血しながら座り込んだ。
ブラックアウトしていく世界の中で、口裂け男の笑い声が聞こえた。
△▼△▼△
気付くと、そこは路地より薄暗い部屋だった。ホコリ臭い。
ぼやける視界に目を開けると、そこには口裂け男が居る。
「お、起きたぁ?びっくりしたよ~。キミ、人間だったんだぁ?」
男を睨みつけて室内を見回すと、ギリギリ三メートル離れないところに椅子に縛られた和がいた。
意識は…あるんだろうか?
「人間はここに居ちゃいけないんだよぉ…?わかるかなぁ?」
「お前には関係ないだろ!!」
怖いが、強く言い返す。
「君…さ、あのキツネの人のモノらしいケド、今アイツはぐったりしてるし、君に勝ち目はないんだよ?」
それなのにそんな強気でいられるのすごいよ、と、口裂け男が嘲笑う。
「何が…何が目的なんだよ!!」
ニヤリと汚く笑う口裂け男と一つ目。
「いやぁ思っちゃったんだよねー和サマが大事にしてるキミを、和サマの目の前で俺らのモノにしたら和サマはどう思うかなぁって」
俺は頭に手を乗せてはっ、とする。
「うん、そう言えば…急いでたから忘れてた…」
「うーん…別にいいのですが…まわりの者に変な目で見られていますので」
と言って、美来が指をパッチンと鳴らす。
すると俺の頭に、リアルな猫耳と尻尾が生えた。
「わ、わわわっ何だコレ!?」
すごい。尻尾も耳も思うままに動く。
「一時的に生やしただけですので、すぐに消えてしまいますが…まぁ家に帰るまでは持つでしょう」
自分の耳と尻尾だがモフモフだ…!
一人感動していると、美来が
「あ」
と声を上げた。
「どうしたの、美来?」
「いえ、彼処の薬局のヤケド治しはよく効くんです」
と指さしたのは小さな薬局。
美来は俺の手を引いて細い路地に入ると
「涙流、処方箋を頂いてくるついでに買ってきますので、ここで和と待ってて下さい」
と和を降ろした。
「うん!言ってらっしゃい!」
美来が俺に手を振って、大通りに消えていく。
和の方を見ると、相変わらず和は苦しそうにしていた。
薄暗いこの路地だと、さらに顔色が悪く見える。
「な…る……?」
和がうっすらと目を開ける。
「和!」
体調は大丈夫?と言葉を続けようとしたとき、背後から声が聞こえた。
「あぁ?何だこの猫?弱小妖怪がここで何やってんだよ?」
振り返るとそこには顔が大きな一つ目の大男と、大きな口を持つ口裂け女ならぬ、口裂け男がいた。
「あ、えっと…その…薬を…」
オドオドモニョモニョ喋る。
いきなり暗がりからこんなんが現れたので、少し怖くて怯えてしまった。
一つ目の大男が言った。
「あぁん、何だ?聞こえねぇなぁ?ハッキリ喋らんかワレェ!」
コイツの喋り方、癖あるな…怖い。
和の裾をグッと強く握り締める。
「す、すみません…」
俺は目に涙を浮かべながら頭を下げた。
すると口裂け男はにやにや笑いながら俺の顔を覗き込んできた。
「へぇ、それが謝罪?足りないなぁ?」
一つ目の大男の蹴りが腹に入る。
「ぐっ……!?」
その蹴りは重たくて、吐血しながら座り込んだ。
ブラックアウトしていく世界の中で、口裂け男の笑い声が聞こえた。
△▼△▼△
気付くと、そこは路地より薄暗い部屋だった。ホコリ臭い。
ぼやける視界に目を開けると、そこには口裂け男が居る。
「お、起きたぁ?びっくりしたよ~。キミ、人間だったんだぁ?」
男を睨みつけて室内を見回すと、ギリギリ三メートル離れないところに椅子に縛られた和がいた。
意識は…あるんだろうか?
「人間はここに居ちゃいけないんだよぉ…?わかるかなぁ?」
「お前には関係ないだろ!!」
怖いが、強く言い返す。
「君…さ、あのキツネの人のモノらしいケド、今アイツはぐったりしてるし、君に勝ち目はないんだよ?」
それなのにそんな強気でいられるのすごいよ、と、口裂け男が嘲笑う。
「何が…何が目的なんだよ!!」
ニヤリと汚く笑う口裂け男と一つ目。
「いやぁ思っちゃったんだよねー和サマが大事にしてるキミを、和サマの目の前で俺らのモノにしたら和サマはどう思うかなぁって」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる