金平糖

三月 深

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11.私はなんだか凄く気になって

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「明日は美呼様に会えるのか―!楽しみだなー!…っあ!?美来とあの後お散歩してない!」

美来の背中に乗せてもらう約束してたのに…残念だ……。

がっくしと俺は肩を落とした。

「涙流、飛行機で酔うタイプか?」

突然何を言い出すんだ、コイツは。

「いや、別に酔わないけど」

「わかった」

と言うと和はこめかみに手を当てて何かを考え始める。

和の様子を見ると鳥は「あー忙しい」と言いながら消えた。

妖怪特有のアレだ。

本っ当、急に消えるとびっくりするからやめて欲しい。

すると和が急に立ち上がって

「よし涙流、寝るぞ」

と言いだした。

「今九時だぞ!?寝るには早くないか!?」

「いや、あれは寝とかないとキツい」

和はそれだけ言うと何一つ説明せず

「ほら、行くぞ」

と俺を寝室に連れて行った。

部屋に敷かれていたのは一枚のふわっふわの布団。

「やっぱ早くねぇ…?」

と和に声をかけるが、和は類い稀に見る真剣な顔で俺の両肩を掴み

「寝ろ」

と言って俺を無理やり布団に突っ込んだ。

そして何を血迷ったか、自分も隣に潜り込んできた。

まぁ、布団一組しかなかったしな。

「なぁ和。なんでこんなに早く寝ないといけないんだ?」

「黙って寝ろい!」

和はぐっと目を瞑って、その和を揺する俺を枕でべしべし叩く。

「んなことされたら寝れねえって!!」

枕を和から奪い取って、頭の下に置いた。

「じゃー寝るぞー」

と和が部屋の明かりを消した。

俺もまた諦めて暗い部屋の布団の中でもぞりと身体を動かして寝た。

のだが。いや、寝れるわけねぇよな。

俺の百五十センチというまさに日本男児的なサイズ感がどうやらデカい和にはちょうどいいらしく、今俺は和の抱き枕となっている。

俺は和に背を向けて寝ているので、首に和の寝息がかかるのだ。

あー、くすぐったい!

えい、こうなったら、と体をぐるんと回転させて、和と向かい合った。

んぎゃ~っち…近いっ!

俺と和との間は、拳一つ分ほど。

頑張って和から距離をとろうと身を引くが、びくともしない。

「和…っ苦しい…ちょっと離れて…つか離して…」
「んー…」

和が唸る。起きるか…?

「すぴぃ」

寝た…!?

まさかコイツ…眠りが深いのか…!?

「和っ起きろ、ムシすんなっ!離せ、せめて力緩めろ!」

必死に胸を叩くと、さらにギュッと抱き寄せられた。

和め、ふざけんなよ…!

あぁ、でもこれすごく暖かい…。

和の方を向いて初めてわかるような暖かさに、思わず眠気が襲ってきて…。

俺は寝た。
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