初めまして、幼馴染殿

三月 深

文字の大きさ
上 下
4 / 20

4.新聞

しおりを挟む
「っ!?」

紙には大きく『号外!学園の王子と謎の転校生が電撃結婚!?』の文字が。

うわぁ…うわぁ…!噂が広まる!嘘なのに!

その下…その下…ヘンなことは書かれてないだろうか?

いや、十分ヘンだけども!

あった!

『あぁ、はるねですか?あいつは自分では否定してますが、確実に奈良木氏にホレてますね。ぞっこんラブです。え、奈良木氏?あれは云わずもがな恋してますでしょ。婚約者て(笑)。あ、どうやら奈良木氏曰く、二人は幼馴染みなのだとか。こりゃ運命ですな。文・七草高子さん』

たーこ…!あんにゃろう…!

危険だ。このままいくと夫婦扱いでもされかねん。

ていうか下手すりゃ私が不登校になる。

たーこのかの書き方じゃ私が否定しても意味がなさそうだ。

やはりこうなったら奈良木に否定させるしか…!

するとカンカンとこの屋上へと続く梯子を登る音がした。

たーこか?いや、たーこにしては音がうるさい。

これはたーこより重い人…かなり長身の男子か?

サッ…と物陰に隠れる。

「あっ、よかった~、誰もいないや」
この声は…
「奈良木!?」
「うわぁっ!?」

しまった、声に出ていたようだ。

「えっ…おばけ?ぼ、僕おいしくないよ…!?」

いや、さすがにおばけでもお前を食べたりはしないだろ。

だがさすがに私が出ていかないとここにおばけ伝説でも出来そうだ。

「すまん奈良木、私だ」

物陰から姿を現す。

「うわぁっ!?…ってハルくんか…ってハルくん!?なんでここに!?」
「いちゃ悪いか?」
「いや、悪くないけど…」

ん?奈良木が何か持っている。

あれは…丸まった新聞?

「あっ、号外!」

奈良木に見られたら困る…。

「あぁ、コレ?はるねちゃんも見た?嬉しいよねぇ…。スクラップにしたい」

見られてた…ていうかスクラップにするほど喜ばれてる…。

なんか悪いことしてないのに罪悪感…。

「それでさぁ…この『学園の王子』ってどゆこと?」

ん~?ナンノコトカナァ?とか茶番はおいといて。

…やばい。奈良木の目が笑ってない。

「あーいやぁ…気にすることじゃ…ない…よ?奈良木には関係ないことだし…」
「いやぁ気になるじゃん?大切な人のことだし。ていうか何『奈良木』って?前みたいに『ヒーちゃん』って呼んでよ」

カツカツと奈良木が詰め寄ってくる。

踵が行き止まりのフェンスにあたった。

くそっ、これ以上下がれない!

「ねぇ、呼んでよ?」
「わ、わかった!ヒロ!ヒロって呼ぶから!それでいいだろ!?」

ダメ…か?と、そっと上をみる

奈良木…ならぬヒロが、私に覆い被さるようにフェンスに手をついている。

近い近い近い近い近い近い…!

「はぁ…はるねちゃん、それはズルいよ…」

言いながらヒロがズルズルと座り込む。

よくわからんが…セーフなのか?

「私が何かしたのか?したならすまん」

もしかして無意識のうちにスネ蹴ったりしてたか?

「いや…大丈夫。ていうか、で?学園の王子って何のことなの?」

あー、その話に戻るんですね。

「どうしても?」
「どうしても」
「絶対に?」
「絶対に」

けして譲る気のないヒロの目。

こんなしょうもないことでそんな眼力発揮すんなよ…。

「…仕方無いか…放課後体育館のステージに来い」

このままおいかけっこになるよりは…うん、仕方無い。

たーこが居なければ大丈夫なはず。

「体育館のステージ?なんで?」

キーンコーンカーンコーン…とタイミングよくチャイムが鳴る。

「ほら、チャイム鳴った!急ぐぞ!」

二人で教室に戻ってきた私たちが冷やかされたことは言うまでもない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

彼はもう終わりです。

豆狸
恋愛
悪夢は、終わらせなくてはいけません。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

七年間の婚約は今日で終わりを迎えます

hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

処理中です...