女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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再び大国へ

第九十二話 準備

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 良い案も思いつき、そろそろ起きようと体を動かす。



「もう起きますか?」

「そうだね。起きようか」



 少しだけ違和感を感じたのでイレーナの方を向いて確認すると、少しだけ名残惜しそうな表情をしていたのが気になった。

 せっかく起きようとした体を再びベッドに預けて、イレーナを見つめる。



「信希…?」

「もうちょっとイレーナと一緒に居たくなった」



「え…?」

「今朝はそんなに急ぐ必要は無いし、もう少しゆっくりしていよう」



「ま、まぁ…いいと思いますけど…」



 不思議そうにしているイレーナは、自分の気持ちには気づいていないのか?はたまたオレの勘違いか…。まぁ一緒に居るのは至福の時間でもあるから全く問題ない。



「なぁ、イレーナ?」

「はい?」



「もうちょっとハグしたい」

「はぐ?」



「抱きしめるってこと」

「え…?」



 お願いしますと言わんばかりに、イレーナへ向けて両手を伸ばしてみる。

 最初こそ戸惑っているように見えたけど、少しすると近づいてきてオレの事を抱きしめてくれる。



「ありがとう」

「少しだけですよ…?」



「か、カフィンもぉ…」



 ん?あれあれ?聞こえちゃいけない声と言葉が聞こえている気がしませんか…?



「ん?イレーナ?」

「……」



 イレーナではないのは既に理解している。だが、彼女は何も言わずに腕の中に居る。



 そして、背後からオレの服を引っ張る感覚がある…。



「ね、ねぇ…」



 お、オレも男だ…。覚悟を決めるんだ。



 イレーナを抱きしめたまま、オレは力を入れてカフィンの方を向くために寝返りをうつ。



「ひゃっ──」

「痛かった?」

「だ、大丈夫です…」



「カフィン?」

「カフィンも『はぐ』したい…」



「こ、こまったな…。オレがいいの?」

「……」



 コクリと頷く姿はとても可愛いもので、オレのケモミミ愛が爆発しそうになる…。だけど、先ほどもイレーナに指摘されたばかりで…。

 いや、ここはカフィンの気持ちに寄り添うことを優先しよう。



「おいで、ここでもいい?」

「うんっ」



 オレはイレーナを抱えたまま、空いた腕でカフィンも抱きしめる。



「あったかぁい…」

「それはよかった」



 しばらくの間、二人の女性を抱きしめるという男の夢を体現していたオレだが、流石に居心地も悪くなってくるので起きることにした。



「そろそろご飯にしようか」

「はい。起きましょう」

「はぁーい」



 そうして起き上がるために動こうとしたときに、部屋の扉が開く。



「信希さま、朝食はいかがするの──」



「「あ…」」



 入口に立つユリアとオレたちの視線がばっちりと交差する。



「ズルいのじゃ…まさか子供たちの前でも…」

「ちょ、ちょ、ユリア!今起きるところだったんだ」



「じいぃー……」



 今日はえらくジト目をもらう日だな…。



「ゆ、ユリアもくる…?」

「はいですじゃ」



 ユリアはすぐにオレの布団に入ってきて、空いてる所でオレの側に密着してくる。

 ひんやりとした空気に触れ、起きたくない気持ちと早くこの状況を抜け出したい気持ちで、自分の思考がおかしくなっているんじゃないかと思った。



「カフィンも居たのかの、信希さまはやさしいじゃろ?」

「うんっ」

「信希、重くないですか…?」



 状況で言えば、オレは三人の女性に押しつぶされているような状況とも言える…。



「大丈夫、イレーナの事を重いなんて思ったこと無いよ」



 それにこの状況が続くと、少し…いやかなりマズイ状況になる…。

 いい匂いがするし、それに女性の香りもしてとてもマズイ…。

 別の話をして、そっちに集中して誤魔化さなくては!



「今日、お城には誰が行こうか…」

「ん-、みんなで話した方がいいんじゃないですか…?」



「た、たしかに…」



 会話、四秒で終了。



「あ。ユリア、朝食は?」

「まだ、みんな部屋で寝ていますじゃ」



「そ、そっかぁ…」



 こっちは三秒…。



「あ。カフィン?今日の朝は何か食べたいものはある?」

「食べられるだけで嬉しい…」



「そ、そう…」



 全て数秒で会話が終わるんですけど…?もしかしてオレ…、会話できなくなっちゃった?



「信希さまはこの状況を自分で作っておいて、逃げたくなってるのかの?」

「え、えーと…」



 バレちゃった…。



「…」

「…」



 誰も何も言わなくなっちゃうし…。なんだこれ…。

 そうだ。いっそ開き直って眠ることにしよう。



 ──。



 結局眠ることなんてできるはずもなく、しばらくの間みんなを抱きしめ抱きしめられることになっていた。



「そろそろ起きようか」

「はい」

「はーい」



「洗面とお手洗いに行きますじゃ」

「あー。カフィンもお願いしてもいい?」



「もちろんじゃ。カフィンよこちらにおいでな?」

「うん」



 カフィンはユリアにも懐いているみたいだった。ユリアは子供の事が好きなのかな?これまでの印象だったら、特別に子供が好きという印象は無かったが…。

 それ以前にこのメンバーの中に、少しでも子供が居たことは無いか。



「じゃあ、ワタシも行って来ます」

「うん。オレはヨーファを起こして、洗面を済ませてからキッチンに行くよ」



 そうして長い夜は終わって、オレたちは王城へ向かうための準備を進めて行くのだった。



 ──。
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