女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

文字の大きさ
上 下
90 / 127
再び大国へ

第九十話 ちょっとした失敗

しおりを挟む
 自分の袖辺りに違和感を感じたことで眠りから覚めたような気がした。



「ん…?」

「あ、あの…ごめんなさい…」



 誰だ?聞きなれない声だけど…。

 まだ自分の意識もはっきりしていないところへ、子供っぽい声が聞こえてここは夢の中かと思ってしまったが、懐かしい匂いを感じて一気に覚醒していく。



「ん、カフィン?どうしたの?」

「え、えっと…」



 何かを言いたそうだけど、オレはその匂いと彼女の申し訳なさそうな態度で大体状況を察することが出来た。



「失敗しちゃった?」



 こくりと頷くカフィンに、もしも自分に子供が居たのなら経験している感情なんだろうかと、新しい感覚を覚えた。



「大丈夫だよ。お手洗いはもう大丈夫?」

「うん…」



「すぐ綺麗にしような」

「……」



 オレは浄化の魔法で汚れている布団をすぐに綺麗にしていく。

 カフィンの服や体も一緒に綺麗にすればいいんだけど、こればかりは流石に本人も気持ち悪いかもしれないと思ったので、お風呂に行くように促していく。



「オレ用のお風呂使ってくれていいよ、こっちにおいで」

「うん…」



 怒られると思っていたのだろうか、少し怯えたようなカフィンを引き連れて自分用の風呂の方へと案内していく。



「使い方は分かる?綺麗に洗えたら上がって、このタオルを使ってくれな?」

「……」



 あれ?動かなくなっちゃったぞ?



「カフィン?」

「こわい…」



「あ、あー…」



 これはまずくないか…?イレーナを起こすか?いやここはユフィを…?いや待て、どうしてカフィンはオレを起こしたんだ?そもそも、同じ女性を起こせばよかったはずなのに、オレを頼ってくれている時点でちゃんとお世話をするべきなんじゃないか…?



「一緒がいいならイレーナを起こしてこようか?」

「…」



 カフィンは頭を左右に振っている…。困ったな。



「じゃあ、ユフィを呼んでこようか…?」

「やだ…」



 ど、どうしたもんか…。



「オレと一緒がいいの?」

「うん…」



 やっべぇ…。かわいいんだけど、何この生き物…。

 こんなに懐かれるようなイベントは起きてないと思うんだけど…。それに、こんな小さな女の子と一緒にお風呂に入ってもいいのか?本当に大丈夫…?

 いや、オレも男だ。そして、カフィンはまだまだ子供だ。イレーナたちと一緒に入るのとはわけが違うだろう。



「わかった、じゃあはいろっか」

「うんっ」



 安心したのか、カフィンは笑顔を見せてくれる。

 そうだ。不安に感じているに違いない子供の気持ちを蔑ろにしている場合ではないだろう。



 オレはすぐに湯舟にお湯をはり、温まれるように準備する。



「ちゃんと見てるから、綺麗に洗うんだよ?」

「うん」



 見ているというのはもちろん建前だ。そういうと少しでも安心するかと思ったから…。

 それに、カフィンにもケモミミと尻尾が付いているからな…。あんまり見ていると、小さな女の子で暴走してしまうかもしれない。もしもそんなことになってしまったら、ここにいる女性たち全員からとんでもない視線を向けられることだろう…。考えるだけでも恐ろしい。



「怒らないの…?」

「ん?何が?」



 カフィンは、何かオレが怒るようなことをしたのだろうか。



「起こしたし、汚いから…」

「ははっ、心配しなくていいよ。オレも子供のころ沢山失敗したことあるよ、そんなオレがカフィンの事を叱るわけないじゃん。今度からは、寝る前にお手洗い行くようにしような?」



「う、うん…」



 自分の父親や母親には叱られていたんだろうか…。もしかしたらそうなのかもしれない。むしろそれが普通なのか?自分の時もそうだったような記憶があるし、難しい問題だよな。



「迷惑じゃない…?」

「大丈夫って言ってるじゃないか、心配しなくていいよ」



「カフィンとお兄ちゃんがここに居ていいの…?」

「ヨーファと約束したことがあるんだ。男の約束だから教えられないけど、カフィンを守るためにヨーファも兄貴の役目を果たしてるんだ。心配しなくていいよ。それに、オレは獣人のお姉ちゃんたちが好きなんだ。だからね、カフィンたちがちゃんとした生活が出来るようにしてあげるよ」



「どうして…」

「シアンは分かる?」



「うん」

「あの子もパパとママに捨てられちゃったらしいんだ。あれだけ大きくなってもツライって泣いてることもあるんだよ。だからね、子供のころに助けられるなら助けてあげたいんだ」



「なんで?」

「ん-…。これはヒミツの事だからカフィンにしか教えないよ。秘密に出来る?」



「うんっ」

「オレはね神様から子供たちを助けるように言われてるんだ」

「かみさま?」

「そうそう。この世界を守ってくれてる人たちだよ。ちょっと前に会って、困ってる人が居ないか世界を見て回ってくれってお願いされたんだ」



「す、すごい…」

「そう。オレがカフィンたちみたいに困ってる子供たちにしてあげたいことと、神様からのお願いが一緒だったからちゃんと助けてあげる」



「ありがとう…」

「ちゃんと生活できるようになったら大変かもしれないけど、頑張るんだよ?オレもちゃんと支えてあげるから、ね?」



「うんっ!頑張る!」



 本当にエライな。子供たちがここまでしっかりしているのに、この国の大人たちは…やれやれといった感じだ。



「あんまり長く入ってものぼせちゃうから、そろそろ上がろうか」

「うんっ」



 さっきから、ちょこちょこカフィンの体が密着してくるけど、不思議と女性らしさを感じることは無かった。イレーナやユリアとは違う、もちろんヨーファとも別物なのだが、今日一日で初めての体験が多すぎておかしくなっちゃいそうだ。



「あー、尻尾も乾かさないとね。少しだけリビングに行こうか」

「うん」



 流石に眠っている人たちの横であれこれしていたら、起こしてしまうかもしれないからな。

 体と頭を軽くふいて、服を着てリビングに向かっていく。



 もちろんというか、誰も起きてはいないので静かなリビングでカフィンの尻尾と頭を乾かしていく。

 今朝がた、お風呂に入った後のカフィンを乾かしてあげたいと思っていた要望が叶ってしまった。状況は違ったが、これはこれで良いものだ…。



「痛かったりしたら言うんだよ?」

「うん」



 カフィンの頭や尻尾は、イレーナやシアンとは全くの別物だった。

 こう、何というか…。とても可愛らしい!小さいからではないと思う…。なぜだろう…、この気持ちは何というのだろう…。

 いや、今はカフィンをお手入れすることに集中しないか。もしも、暴走したりしたら他の女性たちに殺されかねない。落ち着け…落ち着け…。



「熱かったりしない?」

「大丈夫…」



 その体の小ささも相まって、乾かすのにそう時間は掛からなかった。



「じゃあ、お部屋に戻ろうか」

「うん」



「眠れそう?」

「うん、まだ眠たい」



 そんな話をしながら自分の部屋へと戻っていく。

 部屋の扉を開けると──



「信希様、朝でしょうか…?」

「あ、まだ夜だよ。お手洗いに行ってたんだ」

「そうでしたか…。ではまだ休んでおきます」

「ん…」



 少し驚いた。まさか起きていたわけじゃないよな…?

 オレはカフィンの方へ『しーっ』と合図して、再び布団の中に戻るように促していく。

 一応、綺麗にしたところの布団も確認しておく。全く問題ないみたいだったので一安心だ。



 カフィンが布団に入ったのを確認して、オレも自分が眠っていたところへ戻っていく。

 そして再び沈むように眠りについていく。



 ──。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!

クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』  自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。  最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...