女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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再び大国へ

第八十八話 食事の準備

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 メイドのユフィは本当に優秀で、気づいたらオレたちが選んだ食材は全て馬車の中へ運び込まれていた。

 いったい、いつの間に運んでいたんだ…。恐怖すら感じるレベルなんだけど…。



「信希様、食材はもう揃いましたでしょうか」

「そうだね、ちょっと多すぎた気もするけど…」

「問題ございません。処理も全てお任せください」



「二人とも、先に乗ってくれ」



 オレは再び、イレーナとロンドゥナが馬車に乗るために手を貸す。



「ありがとうございます」

「ありがとうな」



「落ち着いて考えると、普段でも手を貸すような気もするな」

「信希?」



「ああ、いやこっちの話」



 思わず声に出てしまっていたみたいだ。

 オレはユフィの事を見るが、流石にメイドに手を貸すわけにもいかないのか…?でも女性だしな?一応…。



「先に乗ってくれ」

「私は最後で構いませんので」

「ちょっと気になるんだ。お礼だと思ってくれたらいい」

「感謝いたします。失礼します」



 ちゃんと断りも入れて、好意も受け取る…。流石だな、見習うことが多いと思ってしまう。

 店の店主にお礼を一言言って、オレも馬車に乗り込む。



「信希様、このまま宿に向かってもよろしいでしょうか」

「そうだね、もう大丈夫」

「かしこまりました」



 ユフィが返事をすると馬車が動き出した。

 御者と予め打ち合わせているんだろうか…?なんかすごいな、オレの知らないことがいっぱいだ。



「今何時くらいだろうね。色々あったから時間の感覚がなくなってきてる」

「夕ご飯には早いくらいじゃないですか?」



「僭越ながら、もうすぐ夕方になるかと」

「そんなに経ってたのか…。みんながお腹を空かせてないかな」



「あっちにはユリアもいるから、食事の準備ならできるだろう」

「そうだといいけど…」



「では、到着してすぐに私が食事を準備させていただきます」

「あ、あー…。多分キッチンは使いにくいかもしれないからオレが準備するよ」



「信希様がご自身で準備なさるのですか…?」

「割といつも自分でやってるよ」



「差し支えなければ、お手伝い致します」

「そうだね、準備とかお願いしようかな」

「かしこまりました」



「イレーナたちはゆっくりしていてくれ、今日は付き合ってもらったし」

「じゃあ、ゆっくりしていますね」

「おっ、では私と勝負しよう」



「ふふっ、今日は負けませんよ?」

「ほどほどにな、毎日寝るまでやってるんだから…」



「そのうち信希にも負けないくらいになるぞ」

「ええ、目標は信希との真剣勝負ですね」



 二人はいつになく張り切っているみたいだった。何がそこまで彼女たちを突き動かすんだろう…。



「もうオレより強いんじゃないの…?」

「馬鹿にしてますね…?怒りますよ…」

「ふむ、流石に小馬鹿にされると良い気はせんな」



「してない、してないよ…?」



 何を言っても藪蛇になりそうなので、黙っておくことにしよう…。



「信希様、到着いたしました」

「本当?随分早いね」



「よーしイレーナ、勝負だ勝負!」

「ええ、やりましょう」



「ははっ…」



 ユフィに促されるように馬車から降りると、本当に宿泊している宿の前だった。

 二人が馬車から降りられるように、再度手をとって転ばないようにしてあげる。



「一度宿の中に入ろうか」

「はい」

「それがいいだろう」



「…?」



 ユフィが少しだけ何かを聞きたそうにしているようにも見えたが、言っても伝わらないだろう…。

 宿の中に入ると、受付に居た店主が酷く怯えていたようだけど…、多分気のせいだろう。うん、そう思うことにしよう。



 そして、一度部屋の中に入り、周囲の人たちから認識されないように魔法を発動していく。



「信希様…?お連れ様がいると伺っていますが…」

「ああ、これからみんなの所に行くから静かに付いてきてね?」

「かしこまりました」



 認識阻害の魔法は便利だけど、どんなことが原因で他の人から発見されるか、まだ謎が多いので使うときには細心の注意を払っている。

 宿から出る時も、扉を開ける必要があるので魔法の効果を強くしている。

 既に何度も使用しているので慣れたものである。特に問題もなく馬車の中に入ることが出来た。



「うん。もう大丈夫、ここで靴を脱げば中に入れるからね」

「…?か、かしこまりました…」



「よーし、イレーナやるぞ!」

「ロンドゥナさん勝負です!」



「やれやれ、さながら子供だな…」



 二人が馬車の壁の中に吸い込まれていくように見えたので、ユフィが驚いた表情をしている…。

 そりゃそうか…。多分初めて見る光景だろうし、説明もしてないしな…。



「靴を脱げば見えるはずだから──」

「す、すごい…」



 驚きのあまり、キャラが崩壊していそうなユフィに、オレはスリッパを創造して渡す。



「これを使ってね」

「ありがとうございます」



「じゃあ、食事の準備をしようか」

「かしこまりました」



 話しかけると完璧なメイドさんに戻るあたり、流石プロといった感じだろうか。



「みんなただいまー」

「「おかえりぃ!」」



「まーた、オセロやってたんだね…」

「ヨーファとカフィンもいるのじゃから当然なのじゃ」



「お、二人とも目が覚めたみたいだね。調子はどう?どこか痛いとかない?」

「だ、大丈夫」

「……」



 これまであまり会話は出来ていないカフィンからの返事はあったものの、明らかに集中していてオレの声なんて聞こえていないヨーファはオセロに夢中みたいだった。



「これから夕飯の準備をするからね、ご飯ができたらオセロは一旦やめるんだよ?」

「「はーい」」



「信希さま、手伝うのじゃ」

「あー…、メイドさんのユフィがお手伝いしてくれるみたいだから、ゆっくりしていていいよ?二人の面倒も見てくれているみたいだし」



「メイド…」



 ユリアはジトっとした目でユフィの事を見ていた。



「メイドのユフィーナです。御用があれば何でもお申し付けください、明日までの短い期間ではありますが何卒宜しくお願い致します」

「信希さまが案内したのじゃから文句はないが、余計な気は起こすなよなのじゃ」

「かしこまりました」



 なんか不穏な空気だな…?ユリアの口調もちょっとおかしいし…。



「じゃ、じゃあユフィ。キッチンに食材を持っていこう」

「かしこまりました」



 さて、みんながお腹を空かせているか分からないけど、食事の準備をしていこう。



 ──。
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