女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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再び大国へ

第八十七話 帰りに

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 王様に会うための約束を取り付けて、オレたちが宿泊している宿まで送ってくれることになったのだが、案内された馬車でまたまた問題が発生してしまう。



「えーっと、メイドさんも一緒なの?」

「この者に、身の回りの世話はお申し付けください。我々の非礼のお詫びと思っていただけると幸いです」



「ん-…、別に必要ないんだけど…?」

「見たところイレーナ様やロンドゥナ様の服装は、着るのが大変なご様子です。信希様が必要なくとも、メイドを使っていただけると幸いです」



「え、ええ…」



 オレはこれまでに感じたこと無い気持ちになって、思わず二人に助けを求めるように見つめてしまう。



「了承された方がいいと思います。あまり断りすぎても彼らにも面子というものがありますので」

「そうだ。それに私らの着替えが大変なのは事実だしな」

「そ、そっか…」



「ご心配せずとも、彼女にもこういった心得も準備させておりますので、満足のいくようにお使いいただけると思いますので」

「わ、わかったよ。そこまで言うならお願いするよ、でも明日までだよね?」



「はい。その予定でございます。もしもその後も必要でしたら申し付けてください。そのまま信希様のメイドにすることもできますので」



「な、なんてこっちゃ…」



「では、私はこの後に明日お迎えする準備がございますので、ここまでですが、何かあればそのメイドにお伝えください。どんな用事にも対処できますので、宿泊なさっている宿もそのメイドに伝えていただければ、お送りいたしますので」



「あ、ああ。ありがとうな?」

「では、明日の昼前に伺わせていただきますので──」



 なんだか最後にすごい展開になって動揺してしまったが、あちら側からしたらオレも随分とイレギュラーな存在だよな…。

 動き出した馬車の乗り心地はとても良いものだった。魔改造する前の馬車よりも遥かに乗り心地特化といった感じだ。

 オレは預かったメイドに宿の場所を告げて、送ってもらうようにお願いした。



 それにしてもこのメイドさんは美人だな…。イレーナたちほどではないが、普通に育ったのではないと思わせるような雰囲気を持っている。

 だけど、少しだけ問題がある…。オレたちの馬車にこの人を乗せてもいいのかということだ…。



「な、なぁ。イレーナ?」

「はい?どうしました?」



 メイドには聞こえないようにできるだけ小さな声で話していく。



「このメイドさんをオレたちの馬車の中に入れてもいいのか…?」

「あぁ…」



 思わずイレーナと見つめ合ってしまう。

 このメイドが付いてくるのを『了承しろ』と言っていた彼女は、自分たちの馬車の存在を忘れてしまっていたみたいだ。



「ど、どうする…?みんな中に居るし…」

「いいのではないですか…?口は堅いでしょうし、子供たちにも知られていますよ…?」



 本当にいいんだろうか…かなり不安になってきた。

 そもそも御使いってことを知られている時点で問題ないのか…?いやいや、でもそれとこれとは別だよな…?御使いだから便利な魔法具を作れたりするわけじゃないはずだ。イレーナたちの反応からも、オレが特殊中の特殊というのは事実だ。



「あー。メイドさん、名前聞いてないから…」

「ユフィーナと申します。ユフィとお呼びくださいませ」



「ああ、ユフィだね。オレたちが暮らしているところは少しだけ特殊なんだ。それに、他のみんなが待っているからそこに帰らないといけないんだ」

「かしこまりました。馬車が向かう先の変更ですね?」



「いやいや、行先はさっき言った宿でいいんだけど…」

「…と、仰いますと?」



「馬車の中に住んでるんだよね…?それで、そのことをヒミツにしてほしいんだけど…」

「かしこまりました。この命に代えましても秘密をお守りいたします」



 ちょ、ちょっと重いよ…。そこまでのつもりじゃないんだけど、どうやら秘密は守ってくれるみたいなので、そのまま案内することにした。



「子供たちはもう起きてるかな?それにご飯の用意もしないとだよね、食材はあったかな?」

「そうですね…在庫はありますけど、旅っぽい食事になるので買い足した方が良いかもしれないですね?」



「ご用命でしたら、食材の買い出し承ります」



 メイドさんのユフィはすぐに反応してくれて、進んで買い出しをしてくれるみたいだった。



「ど、どうしよう…出来れば食材を見ながらメニューを考えたいんだけど…」

「かしこまりました。近くの仕入れの良い店へ馬車を向かわせます。そこで食材を調達致しましょう。費用も用意しておりますので、ご安心ください」



「す、すごいな…」



 明らかに準備されているのではないかと思ってしまう。

 オレたちがどういう行動をするのか理解しているんだろうか…。それともどんな事態が起きても対処できるっていうのは、本気で言っていたんだろうか…。

 流石のイレーナとロンドゥナも、驚いたような表情をしているのでオレだけが感じている違和感ではないみたいだ。



「肉が好きな子が多いんだよね。良い肉ってあったりするかな?」

「問題ございません。野菜、肉、魚、その他各種の重要な素材に、この国で準備できる調味料はすべて揃っている商会へ向かいますので」



 す、すごすぎる…。

 オレたちが素材を売っていた商会とは違ったりするんだろうか…?聞いているだけで特別なところへ案内されているような感覚になるので、もしかしたら王室御用達みたいな感じなのかもしれない…。



「良い物が手に入ると良いね…」

「そ、そうですね」

「肉料理か、楽しみだな」



 そして、時間は掛かるだろうなと思って少し寛ごうとした矢先、ユフィがオレを呼んだ。



「信希様、到着したようです。既に準備も出来ていますので、ご一緒に参りましょう」

「え、早いんだね?」



「流石に馬車の速度を超えることは出来ませんが、お待ちいただかなかったのなら安心しました。こちらへどうぞ」



 ユフィがそう言いながら馬車を降りていく。

 案内してくれる人が居るだけでこんなに快適になるのかと、ちょっとだけ良いなと思ってしまった。



「足もとにお気を付けください」

「ああ、ありがとう。二人とも、オレの手を使ってくれ」



 少しだけぎこちなかっただろうか…。ユフィが気を使ってくれているのに気付いて、オレもイレーナとロンドゥナをエスコート?してみた…。



「ありがとうございます」

「私にも気を使ってくれるとは、まだ諦めるには早いかもしれんな」



「そ、そう…」



 少しだけ思っていた反応とは違ったが、おかしな所は無かったみたいだ…。



「中へどうぞ、必要なものをお選びください」

「わかった。ありがとうね」



 そしてオレたちは準備されていた商会の店舗で食材を調達していく。



 ──。
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