女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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再び大国へ

第八十五話 約束

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 行動自体はとても早いと思う。

 少し前のオレだったら、外堀を埋めたり根回ししたりと色々な絡め手を使うために考えることが多かったけど、今のオレならさっさと行動に移した方が問題解決まで早いと感じているから、ここまで迷わずに行動出来ているのかもしれない。

 それ以前に、ケモミミ様だからという可能性もあるか…。



「信希?いきなり王城に行っても会えるとは限りませんよ…?」

「うん、大丈夫。別に今日会いたいわけじゃないから、約束を取り付けるだけでも十分かな」



「やはりこの国にも孤児がいるんだな…?シアンの事があったからまさかとは思ったが」

「そうだな、それに…少しだけ引っかかってることもあるんだ」

「聞いてもいいですか…?」



「もちろん。この国には人間が多いのに、獣人だけの子供が孤児になっているのが気になっている。ヨーファの話だと、獣人の孤児が多いみたいだからな…」



 そう、二人と出会った後に話しかけられた男との会話で、もしかしてと思っていたことだ。



「それって…」

「この国で何かが渦巻いていると?」



「まだ分からない。確証じゃないから…、ただそうじゃなければいいなと思うことにしている」



 今は他にもやることがある。そちらに集中することで、この嫌な考えをなるべく表に出さないようにしている。



「もしも、信希の考えが的中していたとして…、この国を滅ぼすつもりなのか…?」

「どうだろう…。正直、奴隷にされているのが子供で、とんでもない扱いを受けているのであれば根絶やしも視野に入ってくる…。でも、あの子たちをオレが面倒見切れないのは事実だし…。できればこの国の中で解決できる問題にしたいと思っているよ」



「そうか…」

「信希は少し変わりましたか…?」



「いや、結局のところ孤児になっている獣人たちの、根本的解決にはならないなって思っただけというか」

「なるほど…。自分の足で歩けるようにしてあげたいんですね?」



「まぁ、そうなる…」

「ははっ、信希は本当に優しいな」



 まぁ、ヨーファとの約束でもあるからな。あいつもまだ子供なのに、妹を守るために強くあろうとしているんだ。

 そういう考えのやつが増えればいいと思ったから、そうすればもっと多くのケモミミ様が誕生することにもなるから…。



「うまく行くといいですね。あの子たちのためにも」

「必ず成功させるから心配する必要はない」



「ふふっ、お手並み拝見ですね?」



 今から向かう王城での目的を明確にするには、十分な時間だったかもしれない。そうこう話しているうちに、宿で教えてもらった王城に到着することが出来た。



「なぁ、王様に会いたいんだけど」

「…一般人か?王に会うのであれば、それなり準備や手続きが必要になることを知らないのか?」



「あー。じゃあ、オレは神の使い『御使い』という役割を持ってるんだ。その仕事の一環で王様に用事があるんだけど、取り次いでくれないかな?」

「ふっ、お前は何を言っているんだ。御使い様がこんなところに居るわけがないじゃないか。それに御使い様を語っていると確実に殺されるぞ?」



 どうやらこの門番には話は通じないみたいだ。

 どうしたものかとイレーナへ視線を送ってみると──。



「信希、ワタシに任せてください」

「ああ、頼むよ」



「…?」

「門番さん?ワタシの服装に心当たりはありますか?この服装を許されているのは白狐人族だと分かっていれば通じると思うのですが」



 流石はイレーナだ。ちゃんと下準備をしてくれていた。この街に来た時には『もう必要ない』と言っていた装束を身に纏ってくれていた。

 王に会うかもしれないからと思っていたが、そんな使い方もできるのかと感心してしまった。



「白狐人族…」

「それに、こちらに居るのは竜人族の方です。どちらも御使い様への協力を生きる目的とする種族です。その二種族がここに居れば、取り次ぎするくらいは出来るのではないですか?」



「竜人族まで…?」



 門番の男は、イレーナとロンドゥナを交互に見比べて、彼女の言葉が本当かどうか確かめているようだった。



「多分、この人はどんな手を使ってでも王様に会うつもりですから、その時危うくなるのは、自分の首だとご理解いただけると良いのですけれど」

「わ、分かりました。取り次ぎするのでしばしここでお待ちいただけますか…?」



「ああ。もちろんだ」



 門番は慌てたように門の中へと駆け込んでいった。



「ちょっと、いやかなり怖かった…イレーナって怒るとあんな感じになるのか…」

「何を言っているんですかっ!あの人を守ってあげるために少しだけ強く言っただけです!怒っていませんし、簡単に殺すとか言う信希に言われたくありません!」



「ご、ごめんごめん」



 オレの言葉にイレーナはご立腹みたいだ。

 でも正直、優しいイレーナしか知らないから、美人の怒っている表情は怖さとは別に何かプラスされているような気がした…。



 ──。



 門番が城の中に入っていってから少し経った頃に、偉そうな服装をした男と一緒に戻ってきた。



「お待たせいたしましたぁっ!一度中へどうぞっ!」



 全力で走ってきたのか、ぜぇぜぇと息が上がっている偉そうな男がオレたちにそう告げる。



「ああ。分かった。二人ともオレから離れないでね?」

「わかりました」



 イレーナはそう返事をすると、オレの腕にしがみ付いてきた。

 すこーし想像していたのと違うんだけど…。



「あのー…?そんなに引っ付かなくてもいいんじゃない?」

「これは、信希を暴走させないためでもありますからね?」

「なるほど、では私も反対を担当するか」



「あ、あれえぇ…?」



 両腕に女性を引き連れているオレは、さながらろくでもないリア充野郎に見えるのではないだろうか…?しかも、この状況で王城に入ろうとしているのだから、自分でもなかなかの度胸だと思う。

 とりあえず、偉そうな服装の男について行くことになった。



 ──。

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