女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

文字の大きさ
上 下
83 / 127
再び大国へ

第八十三話 やりたいこと

しおりを挟む
「それで信希、この子たちは?」

「い、いやぁ…」



 港で保護?した少年たちを、いきなり馬車の中に連れてきたら流石に怒られてしまうのも無理はなかったか…。

 勢いでどうにかなると思ったけど、どうにもならなかったみたいだ。



「両親が居ないみたいで、港で盗みを働こうとしてたから魚を買って戻ってきたんだ」

「でも、連れて来ることにはなりませんよね?」



「放っておけない…でしょ?」

「はぁ…。どうするつもりなんですか…?このまま連れて行くわけにもいかないのでは?」



「ああ。それは任せてくれ、オレに考えがある。こいつらがちゃんと生活できるようになんとかしてみるよ」

「もう…。また無理はしないでくださいね?すぐに力を使いすぎるんですから…」



 イレーナは大きな魔法のこと言っているんだろうか…。オレの元居た世界の知識を言っているんだろうか…。



「分かってる。今回は政治的な解決をするって約束するよ」

「政治的ですか…」



「そ、それより!ご飯を作ろう。少年たちは出来るまで座って待っててくれ」

「信希…?お名前も知らないんですか…?」



「そういえば聞いてなかったな。色々あったから忘れてた。二人は自己紹介できるかな?」



「オレはヨーファ」

「カフィンはカフィン」



「ヨーファにカフィンね。どのくらい一緒に居るか分からないけど、とりあえずよろしく。お姉ちゃんも怒ってるけど、良い人だからね。オレの奥さんになるかもしれない人なんだ、分からないことは彼女にも聞いていいからね」

「ワタシはイレーナです。ヨーファさんにカフィンさん、よろしくお願いします」



 二人は少しだけ緊張しているような感じだった。でも、不安そうな感じではないのでとりあえず安心することが出来た。



「すぐに準備するよ。イレーナは二人と待っていてもいいよ」

「じゃあ、温かい飲み物でも準備して待ってますね」



 馬車に戻ってきた時は、日が昇っていてかなり明るくなっていたが、馬車の中は太陽を感じることが出来ないので、みんなまだ眠っているみたいだった。

 イレーナだけはリビングのテーブルで寛いでいたので、帰ってきてすぐに問い詰められてしまった。

 でも、流石はイレーナといった感じで、オレが説明するとちゃんと理解してくれる。少しだけ強引だとも思ったが、今回は魔法を使ってはいない。オレもちゃんと進歩しているのだ。

 全員分の食事を準備しながら、そんなことを考えていた。

 イレーナたちの方をちらちら見ていると、彼女が二人になにやら色々質問したり、二人からの質問に答えていたみたいだった。なんとも和ましい雰囲気だとも思ったが、もしも『オレたちに子供が出来たらこんな感じになるのだろうか』という考えがよぎったところで、我に返る。



「今は、他に優先することがあるだろ」



「信希?」

「そろそろ準備できるから、みんなを起こしてきてくれる?」

「わかりました」



 食事の準備はすぐに終わりそうだった。

 魚たちは手早く塩焼きにすることにした。そんなに臭みも感じることもなく、新鮮そのものといった感じだった。種類は白身魚の様だったので、朝ごはんにするのもさっぱりしていて良い感じだと思われた。



 ──。



「おやおや、ここに幼子が居るとは…またまた何かあったのか?」

「可愛らしいですじゃ、獣人の子供ですから信希さまが連れてきたのじゃろて間違いないのじゃ」



「ごはーん」

「まだ眠ってたいのぉぉ」

「この匂いはお酒を飲みたくなります…」



「可愛らしいお子様たちですの、どこからおいでになったんですの?」

「少々汚れているな?朝食が済んだら風呂で磨いてやろう」



「ロンドゥナ、妹のカフィンのお風呂頼める?ヨーファ、兄貴のほうはオレが風呂に入れるよ。服も入る前に準備するよ」

「ああ、任せてくれ。カフィンか、よろしくな?私はロンドゥナ」

「…うん……」



 流石にこの人数に囲まれてしまうとビックリしてしまうよな。



「さっ。ご飯できてるから、運んでくれ」

「「はーい」」



 ──。



 朝食も食べ終わり、オレはヨーファと一緒に風呂に入っていた。

 使い方は分からないだろうから、オレが洗ってあげる。

 体も洗い終わったところで、二人で並んで湯舟に浸かる。



「妹のことは心配しなくてもいいぞ。連れて行こうなんて考えてないから、それに他のみんなも優しいから安心してくれ」

「うん…」



「それに、男同士だ。少しだけ大切な話をしておこう」

「…はなし?」



「ああ。両親がどこにいるのか分かるか?」

「…分からない」



 ヨーファはツラそうな表情になってしまうが、オレは大切なことなので落ち着いて続けることにした。



「妹のことは大切か?」

「もちろんだ!」



 その気持ちだけあれば十分だと思うが、こいつは生き方を知らなさすぎる…。そして、それ以上に不安の種がこの世界にある。



「ヨーファたちみたいに、親から捨てられた獣人は他にも居るのか?」

「…いる。でも、気づいたら居なくなってたりするんだ…」



「なるほど…」



 まさかとは思うが、ヨーファの言っていることが本当なのであれば、オレが一番許せないことをしているヤツがこの国に居るのかもしれない。



「金は…持ってるわけないか」

「うん…」



「じゃあ、一つオレと約束をしよう」

「約束…」



「簡単だ。ヨーファは妹の事を守ってやるんだ。これは兄貴の務めだ」

「うん!」



「そしてこれは、オレとヨーファの男の約束。もしもヨーファが大人になって子供を作ることになっても、絶対捨てたりしないって約束してほしい」

「オレが、子供を作る…?」



「今はまだ難しいかもしれないけど、オレくらい大きくなれば分かることだ。ちゃんと大切にしてあげると約束してほしい。カフィンの子供たちもだ」

「わかったよ!」



 今のヨーファには難しい話かもしれない。

 でも、自分の親と同じような考えになってしまうのは、十分に考えられる可能性だった。今のオレに出来るのはこれだけかもしれないけど、少しでも減ってくれるように行動していこう。



「ヨーファは良いやつだな。じゃあオレも二人のために頑張ってみるよ」

「…?」



 オレの言ってることを聞いてはいるものの、難しいんだろう理解は出来ていなそうな表情だった。



「この国の王様に会って、ヨーファみたいに大変な状況にある子供を助けられる施設を作るから、そこで働くんだ。勉強もできるようにして、ちゃんとした大人になれるように環境を整えてやる」

「働く…勉強…それをすれば、大人になれるのか!?」



「ああ、もちろん。大変かもしれないけど、頑張れるか?」

「カフィンのためだ、オレが頑張るよ!」



「ヨーファ、それは違う。カフィンも一緒に頑張るんだ。二人で協力すればいい」

「わかった!」



「それが出来るまで、オレたちと一緒に居れば良い。飯の心配もしなくていいから」

「で、でも…。マサキは王様に会えるのか…?偉い人には会える人が少ないって知ってるぞ…」



「任せろ、オレは無敵だからな。男の約束はちゃんと守ってやる」

「オレも約束守るよっ」



 純粋で真っすぐ見つめてくるその瞳に、オレはまだまだこの世界は捨てたものじゃないと改めて実感した。

 ヨーファに笑いかけている自分は、嬉しかったのか安心したのか、初めての感覚で無意識に拳を突き出して、ヨーファと約束を交わしていた。



 ──。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...