女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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今とこれからと

第七十二話 順番

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 先日、みんなのことをもっと知りたいというオレのお願いを実行するために、馬車が進んでいる間や夕食の後など、みんなと少しずつ話をするのが日課になりつつあった。



 最初こそ話す順番をどうするか考えようと思っていたが、出会った順番で良いだろうと言うミィズの提案であっけなく決まってしまった。

 そんなこんなで旅の途中に一人当たり一時間ほどだが、会話する時間を確保することが出来た。



 みんなのこれまでのこととか、オレと出会う前のこと、好きなこと嫌いなこと、楽しいことしてみたいこと、これからのことなどなど。

 沢山のことが一気になだれ込んでくるので整理するのが大変だったが、他ならない彼女たちの事だ。オレもちゃんと向き合うことでみんなのことを少しずつ知ることが出来た。

 それから『本当にオレと一緒でもいいのか』という一番大切なことを時期を見ながら確認するようにしていた。彼女たちのことを疑いたくはないが、こうも皆が自分と一緒に居たいとなると不安にもなってくる…。



 イレーナ、ユリアと全く会話していないと言われればそうではない。少しの間ではあるが、みんなとの会話の合間や、食事の準備をしている時などに彼女たちが積極的に話しかけてくれていたので、話していないなんていう感覚は無かった。



「みんなと会話するのも随分慣れたなぁ…。風呂の中は唯一のまったり空間…」



 神に会ってからというもの、なかなか一人になれる時間がない。お風呂に入っている時だけは自分の時間を確保することが出来ている。

 眠っている時もだが、それは一人の時間とは言えないだろう…。イレーナもユリアも、あれだけ強引に迫ってきていた割には部屋に来ることも少なくなった。他のみんなに気を使っているのかもしれない…。



「早くみんなとのこともはっきりさせないと…、不安を大きくさせるだけかもしれないな」



 そうは言っても…これからのことを決めるとなると、自分の中でも迷いが生じる。

 イレーナやユリアの時は『勢い』みたいなものがあった。だけど、他のみんなの時は考える時間がある。そのせいもあるのか、みんなの人生のことも考えて中々踏み出すことが出来ずにいる。



 ああでもない。こうでもない。と悩んでいる時に、またまた頭を悩ませる問題が起こってしまう。



「信希、入ってもいいですか?」

「ほぇ?」



 オレ専用とは銘打っているものの、もはやイレーナは全く気にしていないようにそこに立っていた。

 確認していることからも、まだ入り口にいるのだが服は脱いでしまって、タオルで前を隠しているだけなのはすぐに理解することが出来た。



「入る気まんまんじゃん…。まぁいいんだけど…」

「ありがとうございます」



 分かってましたと言わんばかりの笑顔を向けてくる彼女に、オレ自身随分と変わってしまったなと思わされる。



「信希はお風呂長めに入りますよね」

「あー、そうかも?それに最近は悩むことも多くて…つい?」



 彼女はそう言いつつ体を流していた。

 流石にそんな姿を凝視する度胸はないので、思わず天井を見つめていると彼女は覗き込んでくる。



「入りますね?」

「あ、ああ…」



 肌を重ねたからとは言っても、やはりまだ緊張はする…。



「ち、近くない…?」

「嫌ですか?」



「そうじゃないけど…」



 彼女はオレの目の前に背を向けて座った。

 こちらを見ていないのは唯一の救いなのかもしれない…。



「信希は、みなさんのことどんな風に考えていますか?」

「え…?」



 彼女のから聞こえた質問に少しだけ意外だと思った。

 悩んでいるオレの相談にでも来てくれたのだろうか。



「どんな風にっていうと…?これからの事とかって意味かな」

「そうですね…。ワタシとユリアさんは勢いで信希に飛び込んでしまいましたが…他の皆さんは違いますよね…」



「あ、ああ…。まだオレが決められないせいで心配も大きくなっているんじゃないかって思ってる…」



 少しだけぎこちない会話になってしまっているが、オレは目の前に座っているイレーナを見て平静で居られる自信はない…。

 彼女の後姿をちらりと見ると、ケモミミと濡れてしまっているが尻尾がゆらゆらと動いているのがどうしても気になってしまう。無意識なんだろうか…それともこの尻尾でオレの事を誘っているのか…?



「そうですね…。タイミングが違ったら、今こうしているのはワタシじゃなくて他の人だったのかもしれないと…」

「そんなことはないんじゃない?今の結果はイレーナが勇気を出してくれたおかげでもあるし、みんなの協力もあってのことだろ?」



「そんなもの……ですかね?」

「そっかぁ。今イレーナとこうしていられるのも、少なからずみんなの協力もあってのことだよな…」



「そうですね」

「そんな風に考えると、今オレがとっている態度って結構嫌な奴だよな…」



「そう…ですか…?」



 流石に返答にも困ってしまうよな。



「ちゃんと返事しないとな…」

「でも、悩んでいるってことは皆さんの事も好きだってことですよね」



「そ、そうなんだけど…」

「例の『複数人と関係が』というやつですか?」



「そうだね…。ずっとそのことで悩んでる」

「では、ユリアさんはどうして良かったんですか?」



「どうして…。勢い…だけじゃないよな…」



「可愛かったからですか?」

「確かに可愛かった…」



「勢いで押されてしまいましたか?」

「もちろんそれもあるな…」



「眷属だから…ですか?」

「違う!…と思う…」



「だったら、他のみなさんは可愛くないとか?」

「そんなことはない!みんな可愛いし綺麗だと思うぞ」



「だったら、いいんじゃないですか?」

「え…?」



「みなさん、信希が悩んでいるのと同じかそれ以上に不安だと思いますよ?」

「そう…だよな…」



 全部イレーナの言う通りだ。オレは実際何に悩んでいるんだろう…。



「あ…」

「信希?」



 イレーナがオレを確認するために振り返る。

 尻尾や肌があちこちに触れて…、いや!今は考えることがあるだろう!



「オレは、みんなを養っていく自信が無いのかもしれない…」

「…?ありますよ?」



「あえ?」

「ご飯や住むところの話ですよね?」



「そうだね、それに一生面倒をみたり?子供の教育とか…?」

「それはパートナーと一緒に乗り越えるものでは…?」



「あえぇ?」

「ワタシと信希の子供が出来た時には、女の子だったらワタシと同じように教育しないといけませんから」



 ワタシと信希の…? こ、こども…。これから先デキちゃうってこと…?



「ソ、ソウナンダー…」

「白狐人族の教育は分かりませんよね?」



「ソ、ソウダネ…」

「だったら、子供の教育なんかは二人でするんじゃないですか?」



「あ、ああ…」



 あれ…? 言われてみればそんなものなのか?



「でも、それはイレーナだからじゃないか…? シアンやレストは子供っぽいけど…そういうことには疎いんじゃないの…?」

「それはワタシにも分かりませんので」



「だよねー…」



 その辺は、オレとそれぞれで話し合えってことか。そりゃそうだよな。



「そろそろあがろう?」

「はい」



 オレの言葉に反応したイレーナは、すぐに立ち上がり…。



「お、おしりが…」

「え?」



「しっぽが…」

「信希は変なところで反応しますね?」



 もしかして、男女でお風呂に入るのって普通の事なの? オレがおかしいのか…。



 微笑みながら湯舟を出たイレーナは、濡れてしまった尻尾をフリフリさせていた。



「す、すごい…。こんな風になるのか…」

「まさき…?そんなに見られると恥ずかしいんですけど…」

「あ、ごめんね…?」



 ついつい彼女の尻尾に目を奪われてしまった。

 正気に戻ったオレもすぐに湯船から出て、軽く体をシャワーで流してからタオルで体を拭いていく。



「どうして湯舟のあとに体を流すんですか?」

「あー。湯舟に入った後って意外に汚れてる?らしいよ、汗とか垢とかが付いてるらしいから洗った方が綺麗になるみたいだね」



「わ、ワタシもっ…」



 いそいそとイレーナもシャワーで体を洗うみたいだった。

 なんだか可愛いね。



 ここで少しだけ疑問になったことがあるので、イレーナに聞いてみることにする。



「なあ、イレーナ。尻尾って乾かすの大変じゃない?」

「そうですね…、少し時間はかかるかもしれませんね」



「な、なるほど…」



 ここでとんでもない考えが浮かんでしまう。

 か、乾かしてみたい…。



「イレーナがよかったら、オレも尻尾乾かしてみたいな…」

「わ、ワタシのをです…か?」



「ダメかな?」

「いいですけど…面倒なだけですよ?」



「いいの!やってみたい!」



 勢いで言ってみたけど、なんと承諾されてしまった。



 ──。

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